ムカデエビって、ムカデなの?エビなの?と思っているあなた!!
ムカデエビはエビという名前がついていますが、その正体はムカデに近いゴカイそっくりな生物。
ムカデエビの生態
ムカデエビはカリブ海やカナリア諸島、西オーストラリアに生息しています。
体長は15~40㎜で、丸い道教太ムカデのように細長い胴体を持っています。
目は退化していて、見えません。
顎には分泌腺があり、捕食の時には毒や粘液を分泌します。
刺毛が密生していて、遊泳に適した体をしており、胴体や肢は常に波打つような動きをし続けるので、遊泳にとても向いています。
泳いでない時でも胴肢は常に動き続けています。
オーストラリアなどにあるアンキアライン洞窟呼ばれる種の洞窟に生息していて、これは陸水と海水の両方が流入する洞窟のことを言います。
内部は下に重い海水、上に軽い淡水がたまった塩分躍層が形成され、ムカデエビ類はこの層より下の海水にいることが確認されています。
洞窟内では食物連鎖の頂点に立っていて、毒牙によって甲殻類などを捕食することが出来ますが、普段はろ過摂食による有機物やバクテリアを栄養としていると考えられています。
また、腐肉色も行うということも確認されています。
雌雄同体で、雌性生殖孔は7番目、オスの生殖孔を14番目の胴肢の腹節に一対ずつ持っているのだが、交尾などの行為は特に見られないことから、謎の部分が多いというのも実情です。
また、ムカデエビは発生過程のかなり遅い時期まで卵黄の栄養に依存するということはわかっています。
ムカデエビの歴史
ムカデエビはおよそ3億年前、恐竜がこの世にいた時代よりも遥か前の時代からこの地球上に生息していたと考えられています。
そして、その時代から何ら形状を変えることなく、現在に至る生きた化石なのです。
オーストラリアやカリブ海、カナリア諸島と分布が隔離されているのは、大陸移動との関連が深いと言われていて、大陸移動の生き証人としての役割も担っているというわけ。
もともとムカデエビが生息している海域は中生代にはテチス海と呼ばれる一つの大洋に含まれていて、ムカデエビはそのテチス海に広く分布していたと考えられています。
大陸の移動によってその分布が分断されたというのが一つの有力な説なのだが、それでは説明のつかないこともあるのだそうで、地中海沿岸とインド洋東部にはムカデエビがおらず、それは、この地域のムカデエビが絶滅したと考えるしか説明がつかないのだが、それを立証する証拠はなく、未だ仮説のままであるのだとか。
ムカデエビの保全
オーストラリア、バハマ諸島、ユカタン半島ではムカデエビ類の保全活動が行われています。
ダイバーたちの呼気が洞窟内の水に溶け込み、溶存酸素量を増加させてしまうことによって、生態系に影響を及ぼす恐れがあると考えられているからです。
洞窟内の潜水の時には閉鎖式リブリーザーを使うことなどが推奨され、生態系に与える影響を極力減らそうとする努力が行われているのです。
ムカデエビのまとめ
ムカデエビはカリブ海やカナリア諸島、西オーストラリアに生息しています。
体長は15~40㎜で、丸い道教太ムカデのように細長い胴体を持っています。
オーストラリアなどにあるアンキアライン洞窟呼ばれる種の洞窟に生息
ムカデエビはおよそ3億年前、恐竜がこの世にいた時代よりも遥か前の時代からこの地球上に生息していて、その形状は変わっていない。
洞窟内では食物連鎖の頂点に立っていて、毒牙によって甲殻類などを捕食している。
現在の隔離分布に関しては大陸移動による分断という説が有力であるが、仮説にとどまったままである。
(ライター ナオ)