イカは、烏賊とも書く海生軟体動物の一群です。
当記事ではイカの目に注目してみました。
イカの生態
イカは、全世界の浅い海から深海まで、あらゆる海に分布しています。
淡水域に生息する種は、現在確認されていません。
体長は2センチから20メートルに達するものまで、種によって大きな差があります。
イカは、小魚、甲殻類を主食とします。
天敵は、カツオやマグロなどの大型魚類、カモメやアホウドリなどの鳥類、アザラシ、ハクジラ類のイルカやマッコウクジラなどの海生哺乳類です。
敵から逃げるときは、頭と胴のあいだから海水を吸いこんで、一気に吹きだすことで高速移動します。
さらに墨袋から墨を吐き出して、敵の目をくらませます。
タコの墨は、外敵の視界をさえぎることを目的としていますので、一気に広がりますが、イカの墨は、いったん紡錘形にまとまってから大きく広がります。
紡錘形にまとまるのは、自分の体と似たかたちのものを出し、敵がそちらに気を取られているうちに逃げようとしているから……と考えられています。
タコが煙幕を出すのに対して、イカはデコイ(分身)を出すといった感じでしょうか。
なお、イカは神経系や筋肉がよく発達しています。
漏斗からの噴水と、外套膜の収縮、ヒレを使って自在に泳ぎます。
10本の腕は、筋肉質でしなやかに伸縮します。
腕の内側には、キチン質の吸盤が並んでいます。
吸盤にスパイクのような鋭いトゲが並ぶ種もいて、これは獲物を逃さないためと考えられています。
イカは体内に貝殻を持ちますが、種によって組成や形状が大きく異なります。
閉眼目と開眼目のイカの貝殻は、有機質の薄膜で軟甲といいます。
コウイカ科のイカの貝殻は、石灰質の船形で、イカの甲またはイカの骨と呼ばれます。
トグロコウイカの貝殻は、巻貝状で内部に規則正しく隔壁が存在します。
なお、イカの皮膚には色素細胞がたくさん並んでいて、精神状態や周囲の環境によって体色を自在に変化させることができます。
まるでカメレオンのようですね。
イカの目の特徴と役割
ダイオウイカの目は、海洋生物のなかではもっとも大きく、なかには、直径27センチもの目を持つ個体もいます。
このことは広く知られているのですが、実は、イカの目は、われわれ人間と同じ「カメラ眼」なのはご存知でしょうか?
イカは貝類と同じ軟体動物ではありますが、貝が小さな眼点を持つのに対して、イカはカメラ眼という非常に高性能の眼を持っています。
イカは、この優れた目で仲間を識別するといわれています。
ちなみに、鏡の像から自分自身を認識できるともいわれています。
イカの脳を解剖すると、巨大な「視葉」があり、目の役割が脳のなかでも非常に大きいことが分かります。
コウイカの目は、両眼視野が86°、単眼視野は107°と両眼視野の範囲が非常に広くなっています。
一般的には、捕食者は、単眼視野を狭めてでも、両眼視野を比較的広くとる傾向があります。
一方、被捕食者は、視野全体を広くして全方位を警戒する傾向があります。
イカの目の性能は捕食者側に近しく、獲物を捕獲するのに最適化されています。
ちなみに、色は分からないようです。
イカは1種類の視物質しか持っておらず、スルメイカは495nm、コウイカは508nmの光を吸収する視物質をもっています。
また偏光を検出する能力があるといわれます。
イカのその他雑学など
イカには、巨大軸索と呼ばれる普通の生物に比べて極端に太く扱いやすい神経があります。
これを利用して、神経細胞や神経線維のしくみ、薬理作用の解明が進みました。
ちなみに、この実験で用いられたのはヤリイカです。
また、イカは平衡石という平衡感覚をつかさどる組織を持ちます。
平衡石には、特定の周期で樹木の年輪のような環状の模様が形成されます。
これでイカの年齢や生育環境を知ることができます。
イカのまとめ
以上、イカとその目についていかがでしたか?
見た目は人間とはかけ離れていますが、目の性能は人間に非常によく似ていて高性能のようですね。
普段はあまり意識していませんでしたが、今度、鮮魚コーナーに行ったときは、じっくりその目を見てみようと思います。
(ライター ジュン)