イソギンチャクは、刺胞動物門・花虫綱・六放サンゴ亜綱・イソギンチャク目に属する動物の総称です。

柔らかい無脊椎動物で、口のまわりに毒のある触手を持ちます。

 

一方、クマノミはクマノミ亜科に属する海水魚の一種。

ここではイソギンチャクとクマノミの関係について紹介します。

イソギンチャクの生態

イソギンチャクは、岩の上などに定着して生活する動物です。

体は基本的には円筒形です。

イソギンチャクの上部は口盤と呼ばれ、その中央には口があります。

口盤のまわりには触手が並びます。

イソギンチャクの触手は基本的には円錐形ですが、先端部がふくらんだものや、多数の枝をもつ場合もあります。

 

体の側面は滑らかなものが多いのですが、しかし、これも突起を持つものや、多数の房状の突起を持つものなどもありさまざまです。

イソギンチャクの下部は足盤と呼ばれ、この足盤で岩などに吸着します。

 

イソギンチャクは、じっとその場に留まっているイメージがありますが、実は意外と動けます。

足盤を使って、時速数センチほどのスピードで移動することができるのです。

 

また、イソギンチャクは、さまざまな動物と共生しています。

もっともよく知られているのは、クマノミとの共生ではないでしょうか?

イソギンチャクには、クマノミ以外の魚も住み着いていることがありますが、彼らはクマノミとは異なり、触手に触れると捕食されてしまいます。

クマノミの生態

クマノミは、熱帯に広く分布する海水魚の一種で、腹背の高さに比べて左右の厚みの少ない、ずんぐりとした体形です。

オスは最大で10センチ、メスは15センチまで成長します。

雄性先熟性で、大きく成長したオスがメスに性転換します。

群れの構造や性転換のタイミングは、生息地によって異なります。

 

また、雑食性で動物プランクトンや藻類を食べます。

ちなみに昼行性で縄張りを持ち、その愛らしい見た目に反して、実は攻撃的です。

 

イソギンチャクとは相利共生の関係にあり、弱った魚を触手に近づけたり、イソギンチャクの捕食者を追い払ったりといった行動を取ります。

 

相利共生とは……異種生物間にみられる協同作用の一つ。

互いに利益を得ている場合をいう。

 

定常的でない軽い程度のものから,完全に依存し合って相手なしでは生存できない場合までいろいろの段階があるが,依存度の強いものを相利共生と呼ぶことが多い(たとえば地衣類で,藻類と菌類が共同組織をなして共生しているような場合)。《出典:ブリタニカ国際大百科事典》

イソギンチャクとクマノミの関係について

イソギンチャクは、触手にある刺胞(毒液発射用のマイクロカプセル)で、魚などを刺してしびれさせてエサにします。

しかしクマノミ類だけは例外です。

イソギンチャクはクマノミを食べないのです。

 

その理由はよく分かっていなかったのですが、最近になって、クマノミ類の体表をおおう粘液の化学組成が、イソギンチャク類の粘液の化学組成に似ていることが分かりました。

 

ようするに、イソギンチャクはクマノミをエサだと認識できないのです。

この粘液のおかげで、クマノミはイソギンチャクと共生でき、食肉魚から身を守っているのです。

 

クマノミは、共生しているイソギンチャクのまわりに縄張りを持っています。

もし、イソギンチャクの天敵(触手を食べる魚など)が侵入してきたら、それを追い払います。

 

また、クマノミは大きなエサを見つけた場合は、それを口にくわえて持ち運び、イソギンチャクの触手のすき間に貯めこみます。

その一部はイソギンチャクのエサになるといわれています。

イソギンチャクとクマノミのまとめ

以上、イソギンチャクとクマノミの関係はいかがでしたか?

ちなみに、イソギンチャクとクマノミは、相利共生の関係ではありますが、ほとんどのクマノミは冷えこんだ冬の海に堪えることができません。

 

というわけで、イソギンチャクは冬をクマノミなしで過ごすのですが、それで厳しい生活を送っているかというと、実はそういうわけでもないようです。

相利共生ではありますが、ややクマノミのほうが依存度が高いようですね。

(ライター ジュン)