水族館などではよく一緒に飼育展示されているチンアナゴとニシキアナゴ。
両者の違いは一目瞭然ですが、それぞれ生態にも違いがあるのでしょうか?
チンアナゴとニシキアナゴについて詳しくお話します。
チンアナゴの特徴と生態
チンアナゴはウナギ目アナゴ科に分類される海水魚の一種で、インド洋、西太平洋の熱帯域に分布し、日本では高知県から琉球列島にかけての水深10mくらいの水域に分布しています。
全長40㎝程度で体は灰白色で多数の暗色点を持っていて、特に鰓孔周辺や肛門周辺に大きな黒色斑があるのが特徴です。
上唇、胸鰭の形状はどうぞ奥野ゼブラアナゴと同じでゼブラアナゴの上唇の左右の遊離縁は前方で繋がっていて胸ビレはありません。
チンアナゴは流れの強いサンゴ礁の外縁部の砂底に生息しています。
頭部を外に出して潮の流れに乗ってくる動物プランクトンを捕食し、プランクトン飼育の難しい小規模環境では冷凍イサザアミをあたえます。
エサを目で見て確認し、体を伸ばして1つずつ丁寧に捕食する姿は可愛らしいもの。
この、周りをじっと見てエサの在りかを探す様子が人気を集めているとういわけです。
時には自分ではないチンアナゴがだした糞を間違って口に入れる場合もあり、そんな時は慌てて吐き出すようなこともあるのだとか。
水槽内の個体が皆同じ方向を向いているのは、エサが流れてくる方向に向かっているからだそう。
口を開けていればプランクトンが自然と口の中に入ってくる!?まるで鯨のような捕食方法です。
体の下部は常に砂に入っていて、敵が近づくと全身を穴に引っ込めて隠れます。
新しい場所の砂に入る場合には尾から体をくねらすようにして穴を作りながら入っていきます。
巣は自身から出る粘液によって固められ、抜けても簡単に崩れないようになっています。
チンアナゴを飼育していると時折水槽の中で喧嘩をすることがあります。
他のチンアナゴよりも低姿勢になっている個体同士を見つけたら、それは喧嘩している証拠です
口を大きく開けて、顔も怒こっているのがわかるほどです。
時々水槽の中では2匹が絡まっている様子を見ることができます。
これは交尾やスキンシップではなく、エサを求めて動き回っているうちに思わず絡まってしまった結果・
以外にも間抜けな面のあるチンアナゴです。
ニシキアナゴの特徴と生態
ニシキアナゴはインド洋から太平洋に生息しています。体長は40㎝程あり、直径は1㎝程度。
主にインド太平洋西部の熱帯域に広く分布し、生息域はモルディブからパプアニューギニア、北は日本の琉球列島やフィリピンの近海にまで広がっています。
水深18~75mの砂地でよく見られます。
ニシキアナゴは巣なの中に縦穴を掘り、単体や小さな集団で生活しますが、通常は頭と体の最上部だけが砂から突き出ていて、大きな魚などが近づくと体全体を砂に引っ込めます。
食性は動物ブランクンです。
チンアナゴとニシキアナゴの違い
チンアナゴとニシキアナゴの最大の違いは体表の模様です。
チンアナゴは灰色を基調とした大きさの違う黒のおしゃれなドット柄。
一方ニシキアナゴはチンアナゴとは違ったこれまたおしゃれな白とオレンジのポップな縞模様です。
そして、よく見ると両者は顔の形が違います。
チンアナゴの顔の形はニシキアナゴに比べて丸く、ニシキアナゴはしゅっと面長です。
更によく観察してみると、何か危険を感じた時にすっと穴に潜ったり、逆に巣穴から出てくるのが遅いのはニシキアナゴ。
チンアナゴに比べてニシキアナゴの方が若干警戒心が強いようです。
ちなみに、水族館の展示などでは両者は同じ水槽の中でもしっかり綺麗に棲み分けしています。似ているとはいえ、それぞれの違いはしっかりと自覚!?しているようです。
(ライター ナオ)