北極と南極はよく比較されますが、北極にはペンギンは生息しておらず、ホッキョクグマやアザラシなどがいます。
逆に南極ではホッキョクグマがいないので(当たり前?いるとしたらナンキョクグマ!?)、2種類のペンギンたちが繁殖を行っています。
世界一過酷な子育てをする皇帝ペンギン
ペンギンの中の最大種である皇帝ペンギン。その堂々たる風貌は子供たちにも人気です。
体長は115~130㎝程度。重さは20~45kgほど。
普段は南極大陸周辺の海で群れになって暮らしています。エサは魚類や甲殻類、オキアミなど。
繁殖期になると南極大陸に上がり、産卵、子育てを行います。この繁殖期が世界一過酷な子育てをするといわれる所以で、皇帝ペンギンは南極の冬の気温が-60℃にもなる環境で行うわけです。
海から50~160㎞ほど距離まで行き、そこで交尾、産卵、抱卵を行います。
海からここまでの距離を離れるのには天敵であるアザラシなどの攻撃を避けるためと考えられています。
メスは交尾後1個の卵を産卵し、その後再び海に戻ります。卵を温め孵化させるのはオスの役目!
オスは抱卵嚢と言われる中年になって、だぶついたお腹の皮と肉!?の上で65日間、卵を温めて孵化させますが、この間オスはエサを一切口にしないわけで、繁殖時期を合わせると120日間ほど絶食状態にあり、体重は40%も減少するのだとか。
海でしっかりと食事をとり体力を回復させたメスは陸に戻ってきて、胃の中にあるものを吐き出して雛に与えます。
暑さに耐性のない皇帝ペンギンは世界でも数か所ほどでしか飼育されていないそうですが、日本では名古屋港水族館と白浜アドベンチャーワールドに行くと本物の迫力ある皇帝ペンギンに会えるようです。
探検家の奥さんの名前からとったアデリーペンギン
綺麗なツートンカラーがトレードマークのアデリーペンギン。
アデリーペンギンの中にはヒゲペンギンやジェンツーペンギンも含まれていて、共通するのは尻尾の長さなのだとか。
皇帝ペンギンが冬の間に繁殖期を迎えるのに対し、アデリーペンギンは夏から秋にかけて繁殖期を迎えます。
1840年に南極大陸に上陸したフランス人の探検家の奥さんの名前にちなんでつけられたというアデリーペンギンは体長は60~70㎝。
体重は5kほどの、皇帝ペンギンから比べるとかなりの小型のペンギンになります。
くちばしの先端ぎりぎりまでフワフワの毛で覆われていて、一見すると口が小さいように見えますが、くちばしを開いたときには目のぎりぎりまで大きく開くので、そのギャップに初めて見る人はびっくりすることも!
これは南極の冷たい風に対する防衛で、極力露出を減らした形なわけです。
普段は皇帝ペンギン同様に海で生活しているアデリーペンギン。
繁殖期になると陸に上がり、南極の強くて冷たい風を防御するために小石を集めて火山のような巣をつくり、そこで産卵し、子育てを行います。
この小石でつくる巣の高さは高ければ高いほど繁殖率も高いそうで、巣作り時には小石が足りなくなり、他の巣から盗むこともあるんだとか!!??
皆、生きるために必死!!
一回の産卵で2個ほどの卵を産み、孵化までに35日かかります。
最初にオスが抱卵し、その後メスが交代します。
皇帝ペンギンと違うのは、直立のまま抱卵するのではなく、寝そべってしっかりと卵を抱いて抱卵するということ。
その後、孵化すると、ヒナだけでコロニーと言われる集団を形成し、親はエサをとりに海に向かいます。
戻ってきた時には沢山のヒナの中から、声で自分の子供を見分けてエサを与えるのだとか。
ヒナは7~8週間でコロニーから巣立ちします。
2種類とも近年の地球温暖化の影響で生息場所が狭くなり、その数は減少しているのだそう。
水族館で楽しい思いをしているその時間が奪われないように、私たちも自分たちにできる日々暮らし方を考えならないのかも。
(ライター ナオ)