まるで宝石のように美しい体色の「カワセミ」。
しかし名前と見た目が合っていないと思うのは、私だけでしょうか。
もっときれいな名前をしている鳥はたくさんいるのに、なんでよりによってセミ?
昆虫の「セミ」のことなのか、それとも別の意味が含まれているのか…。
今回はそんな疑問を解消するべく、カワセミの名前の由来などについてまとめていきたいと思います。
カワセミは漢字でどう書く?
カワセミを漢字で書くと、最も一般的な表記は「川蝉」。
「蝉」という漢字は昆虫のセミのことですが、カワセミとセミに共通点があるようには思えないですよね。
見た目も鳴き声も飛び方も、何一つセミに似ていませんし…。
それでは一体なぜ、蝉という漢字が使われているのでしょうか。
まず、カワセミというのはその名の通り、「川に棲んでいるセミ」を意味します。
しかしここでの”セミ”というのは昆虫のセミのことではなく、古名である「ソニドリ(翠鳥)」という呼び名の「ソニ」が変化したもの。
そして「ソニ」が訛って「ソビ」→「セミ」へと変化し、現在のようにカワセミと呼ばれるようになったのです。
「蝉」という漢字は、ただの音だけの当て字であり、昆虫のセミとは何ら関係が無かったということですね。
ちなみに、カワセミの大きな特徴と言えば美しい青い羽ですが、じつは羽そのものが青いわけではないということを知っていましたか?
いやいやどう見ても青色じゃん…と思われるかもしれませんが、カワセミの羽が青く見えるのは青い色素があるからではなく、光の当たり方によってそう見えているだけなのです。
こういった仕組みを「構造色」と言い、光の当たり方によっては青ではなく緑に見えることも。
本来は透明なはずのシャボン玉が、光に当たると様々な色に見えるのと同じ仕組みですね。
他にもたくさん!カワセミの漢字表記
カワセミを表す漢字は「川蝉」だけではありません。
他にも、実に様々な呼び名や表記があるのです。
ここでは、その中からいくつか紹介していきましょう。
翡翠
これを普通に読むと、「ヒスイ」ですよね。
カワセミのことをそのままヒスイと呼ぶこともあるのですが、、なんと「翡翠」と書いて普通に「カワセミ」と読むこともできるのです!
パソコンの変換でも、「カワセミ→翡翠」で変換できるので、試してみてください。
そもそも、元々中国ではカワセミのオスのことを翡、メスのことを翠と呼んでいたのだそう。
そしてそんなカワセミの色のように美しい石のことを、「翡翠(ヒスイ)」と呼ぶようになったのだそうです。
なんとなく宝石のように美しい鳥という意味なのかな?と思っていましたが、じつは逆だったんですね。
魚狗、水狗、魚師
これらもすべてカワセミを表す漢字ですが、何となくイメージは同じですよね。
どれも巧みに魚を捕らえる姿から付けられた漢字です。
カワセミは狩りの名人とも言われていますから、このような漢字が当てられるのも納得。
ちなみに、英名では「Kingfisher」。
カワセミは日本だけではなく、ヨーロッパやアフリカ、東南アジアなどにも生息しています。
直訳すれば魚捕りの王ですが、やはりこれもカワセミの魚を捕らえるスキルの高さから来ているようです。
他にも、「立」に「鳥」という字をくっつけて「カワセミ」「ソニ」「ソニドリ」と読むこともあります。
(環境依存文字の為、「立鳥」と表記させてもらいますが、本来は一文字です。)
カワセミについてのまとめ
こんなに多くの呼び方がある鳥というのも珍しいですね。
やはり見た目の美しい鳥には、みんなそれぞれに名前をつけたがるのでしょうか。
正直、「川蝉」という表記よりも「翡翠」や「?」のほうが、しっくりくるような気がするのですが…。
だって「川蝉」だとどう見ても虫の名前ですもの…。
(ライター もんぷち)