ヤンバルという言葉はもう、お馴染みだろうか。

沖縄島の一部の地域のことをいいます。

その地域に棲む固有種にはヤンバルの名前がつくものも多くいて、今回ご紹介するヤンバルクイナも、「ヤンバル」のついた名前を持つ生物のひとつ。

ヤンバルクイナの生態

ヤンバルクイナは日本の固有種で沖縄島北部の大宜味村、国頭村、東村などの地域の下草の生い茂った常緑広葉樹林に生息しています。

体長は35㎝、体重は340~430kgほどです。

 

上面羽衣は暗オリーブ褐色、顔やのどの羽衣は黒、耳孔を覆う羽毛から頸部にかけて白い模様が入っています。

眼先には白い斑点模様が入るのが特徴的です。

 

頸部から腹部にかけての下面の羽衣は黒く、白い横縞が入ります。

翼は小さく、筋肉も貧弱なことから、飛翔能力はほとんどないものと思われます。

 

実際に6mほどの木の上から地表に降りる時も一切羽ばたくことなく、滑空で45度の角度で降りてくるのだとか。

虹彩は赤でくちばしも丈夫で赤色、くちばしの先端だけが白くなっています。

 

黒の眼に赤い虹彩は、まるで夜更かしでもした後のように充血しているように見えます。

ちなみに、幼鳥の頃の虹彩は褐色で後肢は黄褐色をしています。

 

エサは昆虫や甲殻類、両生類や種子などで、林床で食べるか、浅い水の中で食べていることもあります。

天敵は犬や猫、マングースで、タイワンスジオやハシブトガラスなどもヤンバルクイナを襲ったりするそうで、特にマングースの南限の北上はヤンバルクイナの生息域と密接な関係があるようです。

 

夜になるとヤンバルクイナは樹上で眠ります。これは天敵の蛇などを避けるためと言われています。

ヤンバルクイナは地表に枯れ草などを用いて巣を作ります。一度の出産で3から5個の卵を産みます。

雛は真っ黒でとてもヤンバルクイナとは似つかわしくありませんが、生まれた時から丈夫な肢だけは変わりません。

ヤンバルクイナの発見

地元では昔から知っている人も多かったヤンバルクイナですが、学術上に登場したのは比較的新しい1981年です。

危険にさらされるヤンバルクイナ

近年、ヤンバルクイナの生息数は確実に減っています。

それは、生息域の減少や変化が原因のようです。

 

ヤンバルクイナの死亡率で最も多いのが交通事故と言われています。

特に繁殖期や子育て時期の事故は多く、これは親鳥がヒナにエサをやろうと行動範囲を広げることに起因するとも言われています。

 

深い森が失われ、ちょっと広い範囲で動くと、すぐに車道のあるところへ出てしまうということなのでしょう。

1982年には国の天然記念物に指定されたヤンバルクイナは、1993年には希少野生動植物に指定され保護の対象となりしました。

ヤンバルクイナの鳴き声

ヤンバルクイナは薄明薄暮時期に鳴くことが多く、雌雄で互いに鳴き交わすことも度々あります。

「キョキョキョキョキョ」というけたたましい鳴き声を出します。

 

ヤンバルクイナの森

自然界ではヒトの姿が見えただけですぐに身を隠してしまうヤンバルクイナ。

そんなヤンバルクイナをぜひ近くで見たい!!という人はぜひ沖縄島国頭村の安田くいなふれあい公園に出かけてみてください。

 

施設の中にはヤンバルクイナ関連の展示ブースがあり、より詳しくヤンバルクイナを知ることが出来ます。

また、この施設にいるヤンバルクイナはとても人懐こく、人が近づくと、自らよって来ることもあるのだとか。

間近でじっくりとヤンバルクイナを観ることが出来ますよ。

ヤンバルクイナのまとめ

ヤンバルクイナは日本の固有種で沖縄島のヤンバルと言われる地域に生息している。

ヤンバルクイナは体のわりに羽が小さく、ほとんど飛翔能力はない。

 

ヤンバル地域では犬や猫の他にマングースやタイワンスジオ、ハシブトガラスなどが天敵になる。

国の天然記念物に指定され、また希少野植物にも登録されています。

(ライター ナオ)