白鳥は高度を飛ぶ渡り鳥です。

日本には越冬する為に飛来するので、冬鳥です。

 

オオハクチョウは、アイヌ語でレタッチ・カムイと呼びます。

意味は白い鳥の神です。

 

アイヌ語の呼称があるという事は、ハクチョウたちは大昔から日本に来ていたのでしょうね。

大きな鳥は寿命が長い事もありますが、白鳥の場合はどうなのでしょうか。

白鳥の種類

白鳥はカモ科に属する大型の水鳥の事です。

種類は、オオハクチョウ、コハクチョウ、コブハクチョウ、アメリカコハクチョウ、ナキハクチョウ、コクチョウ、クロエリハクチョウです。

このうちオオハクチョウとコハクチョウは秋冬になると日本へやってきます。

日本で白鳥の姿が見られるのは、10月から4月頃までです。

 

オオハクチョウとコハクチョウの違いは、クチバシ部分にあります。

オオハクチョウは嘴の黄色い部分が大きい事が特徴です。

 

コハクチョウはやや首が短めです。

白鳥たちは主に北半球に生息しますが、コクチョウはオーストラリアの固有種であり、クロエリハクチョウは南米大陸のアルゼンチンやチリに生息しています。

ナキハクチョウは北極圏に生息しています。

白鳥の生態

白鳥の特徴として、繁殖地と越冬地がかなり遠いことがあります。

オオハクチョウの繁殖地はユーラシア大陸の極の近く、タイガやツンドラと呼ばれる凍てついた氷の世界です。

夏の7月頃に、漸く気温がプラスになるような土地です。

他に、ロシアなどでもオオハクチョウの個体が確認されているようです。

コハクチョウは更に北で繁殖します。

 

白鳥は家族で行動しているようです。

繁殖時期は6、7月。

 

オスとメスが協力して巣をつくります。

卵は3~5個産み、孵化まで30日程度です。

 

巣離れは早いようです。

オオハクチョウの体の部分の構造は、ヒナを載せて更に上の翼で守る事ができるようになっています。

この翼に包まれたヒナの様子は本当にかわいいので、ぜひ画像などで見てみてください。

幼鳥の時点では、羽毛は淡いグレーです。ヒナ、幼鳥を経て成鳥になるまで約3年かかります。

 

食性は雑食です。首が長いので、水底の堆積物まで届くのです。

また、昆虫や甲殻類、貝なども食べます。

 

水辺に頭ごとつっこんで逆立ち気味になっている事もよくあります。

白鳥の頸椎は25個あるので、こういう状況になっても首を骨折する事はありません。

 

オオハクチョウは成鳥になると、オスは1、4m程度、メスは2、5m、体重は重いもので12kgにもなります。

翼は50cm~60cmほどになります。

 

翼を広げた時の全長は2mを超える大型の鳥です。

真っ白な羽毛は、繁殖地での保護色の役割を担っているとも考えられています。

威嚇するときは羽を広げて怒ったりします。

白鳥の渡り

オオハクチョウやコハクチョウなど、野鳥の渡り鳥のルートははっきり分かりにくいのですが、日本にやってくるルートは二種類あるようです。

一つはサハリンを通る道、もう一つは千島列島からやってくる場合です。

 

極寒の地から約2週間でオオハクチョウは約3000キロ、コハクチョウは4000キロを飛んできます。

さすがに途中で休憩をとるようですが、ものすごいタフな鳥ですね。

 

飛翔速度は平均して時速50kmほど、風に乗れば毎時100kmにもなるそうです。

眠る時は羽毛の中に首を入れて休みます。

天敵に見つからないように、木陰や岩で隠れる水辺などで休むようです。

 

越冬する為に日本に南下してきたオオハクチョウは、10月頃までは北海道にいますが、更に温暖で餌がある地域に南下する事も多くあるそうですよ。

真冬には本州の新潟や富山などの日本海側などでも、その姿を見る事ができます。

白鳥はだいたい空を飛んでいるので、飛行中の天敵はいませんが、地上で暮らす時には狸や猫などが天敵となるようです。

V字隊列

白鳥の特徴であるV字隊列。

この飛び方には、白鳥のように大型の鳥類が長い距離を飛ぶための秘密があります。

 

翼の上方は低圧になり、下側には高圧が生まれ、それが揚力の元になっていますが、その際翼の下部から上部にかけて渦のような空気の流れが生じます。

 

そうすると。翼の先端部分に翼端渦(よくたんうず)という気流が生まれます。

この独自の気流に乗る事で、後方にいるハクチョウも飛翔することが楽になります。

 

V字の先端にいる鳥は特に決まっている訳でなく、疲れたら交代する事もあるみたいですね。

飛翔時には脚は仕舞います。

 

白鳥が飛び立つ時には、10m程水上で助走します。

助走の速度により揚力が決まってくるようです。

 

無風の時は水上を羽ばたきながら走ります。

着地する時も水かきをブレーキのように使っているようです。

 

白鳥は大型で重量もしっかりある為、離陸も着陸も飛行もたくさんのエネルギーを使います。

バテないように工夫するのが大切です。

 

ちなみに、オオハクチョウは高度8000m辺りで目撃された例があるそうです。

ちょっと高すぎる気がしますがね。

白鳥の寿命

約15年ほどだそうです。

少し短命な気もしますね。

白鳥について

ハクチョウをはじめ、渡り鳥というものはとても活発に飛行しています。

世界地図上の渡り鳥の分布を見ると、空はかなり混雑しているようです。

 

かの有名なバレエ「白鳥の湖」は、演出により印象が異なる作品でもあります。

一見ハッピーエンドに思えますが、原作を見てみるとシニカルと言えなくもないラストになっています。

 

勿論、作曲当時のロシアの状況を如実にあらわした内容なのかも知れませんが、様々な解釈を包含する古典だからこそ、初演から140年たってなお上演される演目なのかも知れませんね。

(ライター:おもち)