森の王者、フクロウ。木の枝に止まっている姿は直立しており、精巧な置物のように見えます。

しかし彼らは置物ではなく驚くべき機能を持ち合わせたハンターです。

そんなフクロウの寿命はどれくらいでしょうか?

フクロウの生態

フクロウとは、広義には夜行性の猛禽類の事をいいます。

フクロウ目フクロウ科の種類は多く、生息範囲も欧州からシベリア、中国、日本など広く温帯地域に生息する鳥類です。

フクロウはひとつところにとどまる留鳥でもあります。

食性は肉食です。ネズミなどの哺乳類、昆虫類、鳥類など。

 

多くの森では、彼らが生態系の頂点部分に存在しています。

その為、他の鳥たちとは非常に不仲です。

 

洞窟のようなところに巣をつくり、3、4月に産卵します。

30日ほどで巣立ちし、その後巣には戻りません。

多くの種がつがい又は単独で行動します。

成鳥になると全長50~60cmほどになります。

頭が丸いのが特徴で、ミミズクとの外見的な違いです。

 

日本に生息するフクロウは、千島・北海道のエゾフクロウ、本州のフクロウ、本州中部のモミヤマフクロウ、九州地方などのキュウシュウフクロウなどです。

種によって鳴き声も様々です。

「ホーウ、ホーウ」「ホッホッホッ」のような声も発しますが、世界には小鳥のさえずりの様な声を持つフクロウもいるようです。

ハンターとしてのフクロウ

フクロウの特徴として、独特な目があります。

大きさが大きいのも勿論、顔の正面に付いているのでより恐ろしさが増します。

 

真夜中にあのガン見で音もなく近づいてこられたら恐ろしいですね。

フクロウの眼球は頭骨に固定されています。

 

顔の正面に付いており立体視が可能であり、フクロウの顔がお面の様に見える理由にもなっています。

更に首を自由に回して動かすことにより、視野を補っているようです。

 

フクロウは狩りの名手として、様々な特質を備えています。

まずは聴力です。フクロウの耳は、ずれて付いています。

 

左右対称ではありません。

このことで、音声を立体的に聞き取り、音の発生源を即座に突き止める事ができるのです。

 

フクロウの首には骨が14ほどあり、可動域は約270度ほどです。

特殊な血管によって、首の血流が途絶えないような仕組みになっています。

 

フクロウは獲物に気付かれないよう、念には念を入れて翼に消音装置までつけています。

フクロウは翼を広げると約100mほどになる大型種もいますが、羽の先に細かい羽毛が生えているので、羽ばたく音が消えてしまうのです。

 

これらのフル装備で、獲物の居場所を瞬時に発見し、顔を真正面に向け音もなく鋭いカギ爪でがっちり捉えてしまいます。

ネズミ等が異状に気付いた時には、フクロウはすぐ近くにいる事でしょう。

 

純粋な肉食ではないフクロウもおり、北アメリカ大陸の砂漠に棲むサボテンフクロウは小動物の他、木の実なども食べるようです。

砂漠だから餌も少ないのでしょうか。

なんだかフクロウらしくないようにも思えますね。

フクロウの寿命

おおよそ8年ほどとされています。

飼育下ではもっと長く生きた例もあるようですが、フクロウは飼育が非常に難しい生物です。

フクロウの話

日本の北海道にはエゾフクロウが生息しています。

アイヌの人々は古くからフクロウを良く知っており、フクロウ祭りというものがあります。

 

アイヌ語ではフクロウ(おそらくシマフクロウ)の事をカムイ・チカプと呼びますが、神の鳥、という意味だそうです。

今ではイオマンテ(熊祭り、熊送り)の方が知られているかも知れませんね。

 

アイヌ叙事詩の中にはたくさんの動物たちが登場しますが、「フクロウ神」の詩もあります。

特徴的なのはあくまでもフクロウ神が自らを語ったものである、とされている点です。

 

語るのはアイヌの人々だからそうではないのではないか、とも思われますが、アイヌが語るか、フクロウ神が語るかでは、大きな相違点があります。

この点が一般的にみられる民話などとの大きな違いであり、特色なのではないかとも思われます。

 

もとは物語というものはそれが語られる事により意味を持つものでもあり、アイヌの叙事詩は、本来の物語を語っているのかも知れませんね。

ところ変わればフクロウの印象も異なり、中国のある地域では死の前兆と言われていたり、または奄美では悪魔の使いであり霊魂を抜かれてしまうとも言われます。

 

現代では、不苦労(フクロウ、苦労をしない)や福老などとも言われます。

日本語のフクロウには夜間活動する事、という意味もありますが、英語のowlにも夜更かしという意味があるそうです。

フクロウについて

フクロウの祖先は、約1億年程前に夜の世界に入っていったようです。

鳥類そのものが非常に変わった進化をしてきたようでもありますが、その中でもフクロウはダントツに顔が怖いですね。

 

参考『かむい・ゆうかる アイヌ叙事詩入門』知里真志保著/アポロ書店/1955

『海辺の生と死』島尾ミホ著/中公文庫

(ライター:おもち)