ヘビクイワシというワシを見たことがありますか?
日本には生息していない、遠くアフリカのワシ、ヘビクイワシについて詳しくご紹介していきます。
ヘビクイワシの特徴と生態
ヘビクイワシはタカ目ヘビクイワシ科ヘビクイワシ属に分類される鳥類。
ヘビクイワシの名前の由来は蛇を蹴って弱らせて捕食するという習性に由来しています。
アフリカ大陸中部以南に分布し、全長は100~150㎝、翼開帳時は200㎝にもなります。
体重は2~4kgで、メスよりもオスの方が大型になります。
全身が灰色の羽毛で被われ、風切羽は黒色。
後頭に葉黒い羽毛が伸長して冠羽になります。
眼の周囲には羽毛がなく、オレンジ色の皮膚が露出していて、後肢は非常に長いのが特徴です。
全身の風貌はおしゃれなミュージシャン風といった感じ。頭部は美空ひばりか小林幸子!?
尾部には翅から2本の長い尻尾のようなものが出ています。
これは、毒蛇などに遭遇したときに体とは全然関係ない場所を蛇に狙わせるためだとか・・・・
サバンナに生息し、単独もしくはペアで生活しますが、野火が起こると日から逃れて草むらから飛び出す獲物目当てに集まり、集団で観察されることもあります。
地上を徘徊して獲物を捕らえますが、翼が退化して飛べないタカヘやダチョウなどと異なり、飛翔能力があります。
ヘビを主食としているわけではなく、昆虫や爬虫類、鳥類やその卵、ネズミ、ウサギ等幅広い動物性の餌を食べます。
獲物を蹴飛ばす際には翼を左右に広げてバランスをとり、ソウゲンワシなどと獲物を取り合いになった時は飛び上がって蹴り、追い払います。
獲物を掴んで上空から落とし、殺してから食べることもあります。
繁殖形態は卵生で、一度組んだペアは一生解消されません。
樹上に木の枝を組み合わせた巣を作り、巣は同じものを使い続けるため時には巨大な巣を形成することもあります。
ヘビクイワシのいる動物園
ヘビクイワシは東京都の上野動物園や埼玉県の東武動物公園、千葉県の千葉市動物公園、静岡県の掛川花鳥園、兵庫県の神戸花鳥園などで見ることができます。
その中の千葉市動物公園では飼育下の繁殖にも成功しており、掛川花鳥園ではキックちゃんと名前が付けられたヘビクイワシの得意技のキックを間近で見ることが出来るショーもあります。
掛川動物園のキックちゃん
キックちゃんはメスで、鷹匠のギャリーさんによってショーは進められていきます。
ギャリーさんの出身はイギリスで、イギリスには猛禽類センターなるものがいくつもあり、ヘビクイワシのショーも何か所でも行われているそうですが、日本で見られるのは掛川花鳥園のみ。
翼を大きく広げてショー会場を走り、ゴムでできたおもちゃのヘビをしつこくキックします。
しかも、キックする場所は決まって頭部。
これは、頭部をキックするように仕込まれているのか、それともヘビクイワシの習性なのか。
とにかく、数十回キックした所でギャリーさんからご褒美のお肉がもらえます。
ギャリーさんがおもちゃのヘビの頭部を持ち上げ、ヘビが鎌首をもたげたような状態になると、キックちゃんは空中に飛び上がり、ハイキックをくらわせます。
細い脚といえども、かなりの威力があるようで、人間でも蹴られると大怪我をするのだそうです。
ちなみに余談ですが、このキックちゃん、動物園で繁殖されたので野生のヘビは見たことがないのだそう。もちろん、本物のヘビを捕食したことなどあるはずがありません。
それなのに、圧巻のパフォーマンス!?
やはりカエルの子はカエル!?本能はそう簡単には消えないということなのでしょうかね。
興味のある方はぜひ、掛川花鳥園にお出かけください。
冬のキックちゃんショーについては花鳥園にお問い合わせくださいね。
(ライター ナオ)