哺乳動物の中でも霊長類を好んで捕食するといわれる鳥、カンムリクマタカ。
African Crowned eagleとも呼ばれます。
カンムリクマタカの生態と特徴
カンムリクマタカは高い樹の上に巣をつくります。
丈夫で長持ちする巣を入念に念入りにこしらえます。
製作期間は数か月に及ぶらしい。
こういうことが出来るのも、カンムリクマタカが強いからでしょうね。
他の鳥類が数ヶ月も熱心に巣を作っていたら、隙をつかれて捕食される事でしょう。
タカ科のクマタカ類は、生息する地域の生態系のトップを担うともいわれ強いものが多いですが、カンムリクマタカに関しては並外れた強さであり不吉な恐怖感すら漂います。
顔は丸顔で可愛いと言えなくもないのですが。
カンムリクマタカは全体的に茶系の羽毛を持ち、腹部は白で茶の横線が入っています。
カンムリワシという鳥も存在していますが、こちらは具志堅用高(元プロボクサー)のニックネームです。
彼がワシはカンムリワシになりたいと、発言した事からその名がつきました。
カンムリワシは彼の出身地である、石垣島の特別天然記念物です。特別天然記念物という観点からも、彼はカンムリワシになったといっていいでしょう。
いわば本望を遂げたのです。
話が大幅にそれましたが、カンムリクマタカのメスが一時に産む卵は1,2個。
孵化まではメスが温めますが、オスと交代する事もある。
おおよそ50日でヒナが孵りますが、強いヒナは弱いヒナを捕食することもあるようです。
生態系のトップに君臨する種は概して多くの出産を必要としません。上位の種に襲われる心配があまりないからです。
寿命は10年以上といわれ、巣は次の代に引き継がれることもあります。そのため、カンムリクマタカの巣のある樹の下には、襲われた獣たちの骨が見つかるらしい。
カンムリクマタカの生息域
アフリカ大陸の南部に生息しているとみられる。
カンムリクマタカに関しては、あまりに強い為なのか生息域すら判然としないところがある。
しかし、生息地はアフリカと考えるのが妥当であるように思えます。
カンムリクマタカが生息している地域に人間が大勢住めるとは考えにくく、その為本当の彼らの姿が分かりにくいのかも知れません。
だからこそ生きながらに伝説化してしまう、という現象も起こりうるのでしょう。
カンムリクマタカの大きさ
大人のカンムリクマタカで全長80~100cm。
体重は3kgほど。
翼を広げると2mくらいになります。
爪が発達しており、10kgを超えるような自分より重い獲物も、まっすぐに持ち上げてしまいます。
捕らえた獣を垂直に持ち上げる、これも強いタカの特徴。爪もそうですが、身体つきが強靭な筋肉質である事が推測されます。
カンムリクマタカの食性
カンムリクマタカは低空飛行をしながら餌になりそうな獣を探します。
群れを襲い、そこからはぐれたものを捕食することが多い。
あまりに大きい獲物は引き裂いてから巣へ持ち込みます。
自分より大きいものも食べるのが特色です。主にサル、レイヨウ、マンドリルの子供など。
特に霊長類の脳がお好み。発達しすぎた後ろ脚の爪でサル類の頭を潰し、脳を捕食する。
襲わないといわれるのは、樹の上にいる生物です。
カンムリクマタカから逃れる必要性が生じたら、樹に登るしかありません。
鳥類は小型から大型種まで肉食が多いですが、並外れた肉食です。
カンムリクマタカと人間
ずいぶん前から人的被害が多く、特に子供が狙われると言われています。
250万年前の猿人の子供と思われる頭骨にカンムリクマタカの爪の痕跡が見られる。
これでは害があると言わざるを得ない。
カンムリクマタカの握力は100kgを優に超えるとされています。
実際にカンムリクマタカの握力測定をしたわけでもなく、不幸にも骨となってしまったものたちから推測したと考えられます。
翼を持つ強いものというと、イカロスの翼を思い出してしまいます。
太陽に近づき過ぎて蝋で固めた翼が溶けてしまう、という「昔ギリシアのイカロスはー」で始まる、ギリシア神話が起源の歌ですね。
幾分暗示を含んだ歌ですが、アフリカの人々も恐れるようなカンムリクマタカのような想像を絶する強さには少し憧れる、くらいにしておいた方がいいのかも知れません。
我々は翼すらうまく扱えない事もままあるのだから。
(ライター:おもち)