「カッコー」という鳴き声で知られる「カッコウ」。

普通、鳥は卵が孵るまで温め続けて、ヒナが出てきたら餌を運び、一人前に飛び立てるまで育てます。

 

しかしカッコウはそんな手間を省いて、他人(他鳥)に押し付けるというとてもずる賢い鳥なのです。

今回は、そんなカッコウの生態や托卵の実態など、詳しく調べてみました。

カッコウってどんな鳥?

カッコウはユーラシア大陸とアフリカに広く生息している鳥で、日本には夏鳥として5月頃飛来してきます。

名前の由来は言うまでもなく「鳴き声」から。

「カッコー」と鳴くからカッコウ。

 

安直かつシンプルで覚えやすい良い名前だと思います。

別名「閑古鳥」とも呼ばれており、寂れた様子の事を「閑古鳥が鳴く」と表現したりもしますね。

 

これはカッコウの鳴き声が物寂しさを感じさせることから、「喚子鳥→閑古鳥」と変化したと言われています。

しかし「閑古鳥の鳴き声」と言われると、カラスの鳴き声が頭に中に流れてしまうのは私だけでしょうか…。

 

森林や草原を主な棲み家としていますが、日本では山地に生息しています。

寒冷地の場合には平地に生息することも。

 

動物食で、餌は主に昆虫をはじめとする節足動物。

中でも毛虫を食べることが多いようです。

 

他の鳥はあまり毛虫を食べないことから、毛虫を食べてくれる益鳥という一面も。

5月頃に飛来するのも、餌となる毛虫が大量に発生する時期だからだと考えられています。

托卵方法がエグい!

カッコウには「托卵」という習性があるのを知っていますか?

他の鳥の巣に卵を産み、育てさせるのです。

 

全ての種類が托卵をするわけではありませんが、日本に飛来するものは例外なく托卵を行います。

托卵を行う理由は、体温が不安定なため卵を温めることができないからと言われていますが、ハッキリとしたことはわかっていません。

 

托卵される対象は、モズ、オナガ、ホオジロ、オオヨシキリなど。

食性が似ている身近な鳥であれば何でもいいらしいです。

そこはけっこう大雑把なんですね。

 

自分の大切な卵を託すのに、アバウトすぎないですか?

親はまずそれらの鳥の巣から元々あった卵を一つ奪い、そこに自分の卵を産み付けます。

 

多くの場合、カッコウの雛は他の雛よりも早く生まれるので、先に生まれた雛は他の卵を巣から落として巣を独占するという徹底ぶり。

必ずカッコウの雛が先に生まれるケースばかりではないので、そういう時は他の雛と仲良く育つことも。

 

時には他の雛のみならず、親鳥よりも大きく育つことがありますが、それでも親鳥はカッコウの雛を養い続けるのはなぜでしょう。

「さすがに、そうなったら自分の子じゃないって気付かないのか?」と不思議に思いますが、鳥には口を開けた雛を放っておけない習性があるため、仮に自分の子ではないとわかっていたとしても追い出すことはしないそうです。

 

その頃本当の親鳥であるカッコウは、卵を産んだらここには用無しとばかりに、元いた土地へと戻っていくのです…。

なんて図々しく、ずる賢いんでしょう。

托卵された鳥の対抗手段!

雛が生まれてしまえば追い出すことができず、まんまと子育てをさせられてしまう他の鳥たちですが、托卵歴が長いものほど対抗手段を持っています。

まずは、巣に卵を産みつけられないようにすること。

 

カッコウが巣に近づいてくると、攻撃して追い払ったり、威嚇したりします。

そして、もしも巣に卵を産み付けられてしまったら、明らかに大きさが違ったり模様が違ったりする卵を、雛が生まれる前に排除します。

 

そうすれば、雛を見捨てられずにしぶしぶ養うことは避けられますからね。

そうなるとカッコウの方も、より托卵の成功率を上げるために、托卵先の卵に似た卵を産むようになってくるのです。

 

カッコウは托卵できないと卵を孵して子孫を残すことができませんし、托卵された鳥は托卵を防げないと自分の卵を捨てられてしまいます。

お互いに子孫を残すために、攻防を繰り返しているのですね。

カッコウが自分で子供を育てるようになれば万事解決なんですが…。

カッコウについてのまとめ

「托卵」というとカッコウの代名詞のように思われがちですが、じつは托卵をする鳥は他にもいます。

見破られさえしなければ、こんなに楽に子孫を残せる方法はないですし。

しかし子孫を残すためとはいえ、かなりずる賢くて図々しいという印象は拭えませんね…。

(ライター もんぷち)