「某有名ハンバーガーショップのパティは食用ミミズでできている」
「ファストフードのハンバーガーが安いのはミミズの肉を使っているからだ」
なんてショッキングな都市伝説を耳にしたことはありませんか?
私は子供の頃、この噂を聞いたとき、とてもショックでした。
あの土の中にいるにゅるにゅるしたものを自分が食べたかも知れないと思うと、何ともいや~な気持ちになったものでした。
でもこれって、色んな偶然から生まれた根拠のない全くのデマなんです。食用ミミズって本当にいるのでしょうか?食用ミミズについて調べてみました。
ミミズの都市伝説の真相
誰もが聞いたことのあるこの噂の出所はどこなのでしょうか?調べてみたところ、原因がいくつかありそうです。
- 精肉業者さんの間で機械から出てきたひき肉を「ミミズ」と呼んでいた
- 1965年にアメリカで公開されたホラー映画「THE WORM EATERS」が日本公開の際、「ミミズバーガー」という邦題だった
- 1970年代にアメリカでミミズ養殖産業が注目された際、ある業者がテレビ局の取材で、「我々は、ミミズ養殖界のマクドナルドを目指す(大企業になる)」といった発言をした
- 日本ではパソコン通信が盛り上がりを見せた時期に、「成田税関から食用ミミズ輸入急増」と言う書き込みがあった
これらのいくつかの事柄が、人から人へと伝わるうちに都市伝説へとなっていってのではないでしょうか。
でも食用ミミズって本当にある!
結論からいうと食用ミミズはあります。ミミズは以外にも高蛋白で栄養価が高く昔から世界各国で食べられている食材です。
アメリカ・カリフォルニア州ではミミズ料理のコンテストが開かれたことも。
そして、2016年5月、スウェーデンでは「これからは牛や豚の肉ではなく、ミミズの肉を食べよう」という驚くべき国策が発表されました。
これは環境問題の観点からだそうですが、日本でこれが発表されたら、大騒ぎになってしまいそうですよね。
食用ミミズは実は高額だった
実は、食用ミミズは非常に高価で100gあたり700円~800円もします。上質な食用ミミズはさらに6000円~8000円もすることがあるそうです。
食用ミミズが高級牛肉くらいの値段になることもあるなんてびっくり。お値段がこんなに高かったら、ファーストフードではとても使えませんね。
食用ミミズは牛肉と違って、釣りの餌用などに養殖が行われているものの、大量に養殖が行なわれていません。
そもそも「食用ミミズの市場」というものが存在しないので全体的に数が少なく、必然的にコストが上がり、価格が上がってしまうのです。
ミミズは実は役に立つ生き物
ミミズは、土の下に生息し土の中の微生物などを餌にして生活する生き物で、土壌の改善に効果をもたらす有益な生き物として扱われています。
私も田舎の祖父母に「ミミズのいる土はいい土だ」と教えてもらったことがあります。
ミミズが生ごみなどを食べて出した糞がとても栄養価が高いため、農家の方たちは堆肥を作る時に、生ごみや枯れ葉と一緒にミミズも入れてより良質の堆肥を作ってきました。
これは、ミミズコンポストと呼ばれていて、小さな箱でもできることから、最近では家庭でも生ごみなどの有機ゴミから栄養たっぷりの腐植土が作られています。
ミミズは台所の生ごみや新聞紙や段ボールも食べてくれるから可燃ゴミの量を減らせるし、植木鉢や箱庭菜園のための肥料と土ができて一石二鳥です。
ミミズは薬として使われていた
実は、日本でもミミズは古くから漢方薬として使われています。ミミズの表皮を乾燥させたものが、「赤竜」、「地竜」、「蚯蚓(きゅういん)」と呼ばれ、発熱や気管支喘息の発作の薬として使われているそうです。
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民間療法としてもミミズを煎じておねしょの改善や、灰にして育毛剤として使われていました。 古くは、甲賀忍者が眠り薬として使っていたなんて文献もあるそうですよ。
また、近年ではルンブルクスルベルスという種類のミミズが持つ、ルンブロキナーゼという酵素が血栓を溶かし血液をサラサラにするので、脳梗塞予防などに効果があるらしいことがわかり注目されています。
このルンブロキナーゼは、健康補助食品などに取り入れられていて、人気があり高値で取引されています。
食用ミミズのまとめ
都市伝説などでネガティブなイメージもあり、普段は地味な存在でなかなか主役になれないミミズ。
調べてみるとあの小さい体にはいろいろなパワーを秘めていて、私達の生活にものすごく役に立ってくれている生き物だったんですね。
ミミズが苦手な人がいたら、ミミズのいいところも教えてあげてくださいね。
(ライター マリ)