ヌートリアという名前の動物を聞いたことがあるでしょうか?
カピバラによく似た外来種の動物です。
カピバラと同じ齧歯目ですが、カピバラの方はその愛くるしさから有名になりましたが、
ヌートリアはあまりにも尻尾が長くネズミっぽさが丸出しなので、カピバラほどメジャーにはなれなかったようなのです。
ヌートリア
ヌートリアは齧歯目ヌートリア科に分類され、和名は沼狸と書きます。
ヌートリアはスペイン語でカワウソという意味があるそうです。
もともとは南アメリカ原産で、日本や中国、ヨーロッパなどに分散され、生息域を広げています。
体長は50~70㎝、体重は5~15㎏で茶褐色で柔らかく上質な体毛を持っています。
カピバラに似ていますが、体長はカピバラの半分ほど。
歯の数は20本で、前歯はオレンジ色をしているのが特徴的です。
齧歯類に共通していることですが、生まれた時から死ぬまで伸び続けます。
雌雄のペアで生活していて、結氷するような寒冷地では生息することが出来ません。
水の中が好きで、潜水すると5分以上は潜っていられるのだとか。
明け方や夕方に活発になり、採餌のための徘徊行動をします。
食性は植物性でマコモやホテイアオイなどの水生植物の葉や茎を好んで食します。
日中は巣穴で休息していることが多く、メスは基本的に定住的で、行動範囲が狭いのだそう。
繁殖期は特に決まっておらず、4か月の妊娠期間で、年に2~3回出産をします。
一回の出産で5匹ほどの子供を出産しますが、十分に成長してから出産するので、生まれてから1日後には泳ぎ回ることが出来ます。
半年で性成熟し、寿命は5~8年です。
ヌートリアが日本にいるわけ
もともとは日本に生息していなかったヌートリアですが、1939年に毛皮目的でフランスから150頭が輸入され、飼育が奨励されたことがきっかけになりました。
1950年代以降、毛皮のブームが去り、一気に毛皮の値段が下がるとヌートリアの飼育を放棄する人が続出。
そこから野生化したヌートリアが増え続けているというわけです。
1944年の調査では全国で4万頭ほどのヌートリアが飼育されていたのだそう。
現在では田んぼや畑の被害が報告され、特定外来種に指定されたヌートリアは駆除の対象にもなっています。
中国でのヌートリア事情
中国では1953年にかつてのソビエト連邦から毛皮と展示目的でヌートリアを輸入しましたが、その管理の悪さから商売的に軌道に乗らず、飼育放棄する人が続出。
日本と同じようにそこから野生化したヌートリアが今も中国に生息しているというわけです。
ちなみに、第二次世界大戦の頃は軍隊の防寒服としてヌートリアの毛皮が使われていたらしく、この時代、世界各国が飼育していたという歴史もあるようです。
食用としてのヌートリア
中国ではヌートリアは中華料理の食材として重宝されているそうです。
鼠の文字を使うと抵抗があるためか、海龍と書いて提供されています。
炒め物や揚げ物が絶品らしく、中国では食材としてしっかりと定着しているのだそう。
日本ではヌートリアの肉は、ヌートリア駆除した猟師からもらうというのが定番になっていて、飲食店で販売している話は聞かないのだとか。
鶏肉のようで美味しいと、日本人の口にも合うようなので、機会がある人はぜひ、恐れずに口にしてみてください!
ヌートリアのまとめ
ヌートリアはカピバラに似た齧歯目だが、尻尾の長さと前歯の色、体の大きさなどが違う。
もともとは南アメリカ原産で、日本に生息しているのは毛皮目的で輸入したものが野生化した。
ヌートリアの肉はなかなか手に入らないが、鶏肉のようで美味しいらしい。
中華料理では海龍の名前で唐揚げや炒め物として出されている。
(ライター ナオ)