同じ穴のムジナという言葉は、一見違って見えても皆同類という意味を表す諺です。
このムジナって、何?と思ったことがある人は多いのではないでしょうか。
ムジナの謎に迫ります!
ムジナの括り
ムジナとは一般的にはアナグマで、日本に生息しているニホンアナグマのことを指すと言われています。
しかし、アナグマを含むタヌキやハクビシンの3種類を総称して言っているという説もあり、定かではありません。
アナグマの特徴と生態
ニホンアナグマはイタチ科の動物で、体長は40~50㎝、体重は4~12㎏ほど。
北海道以外の日本各地の人里近くに生息しています。
脚の指は5本ずつあり、親指が少し離れていて、爪が鋭いのが特徴です。
食性はほぼ狸と一緒で、ため糞をする習性もありますが、タヌキほどの大きいため糞をすることはないようです。
11月~4月の気温が10℃切るような時期は冬眠をしますが、地域によっては冬眠しないところも。
春になると出産し、子育てをしますが、メスを出産するとしばらくの間一緒に暮らすことも知られています。
巣穴を掘ってその中で生活しますが、タヌキを同じ巣穴で暮らすこともあるのだとか‥‥これが例の諺の由来!???
敵に襲われると擬死する習性もあります。
ハクビシンの特徴と生態
中国大陸南部を中心に生息しているジャコウネコ科の動物です。
額から鼻にかけて白い線が入っていることから「白鼻芯」、もしくは「白鼻心」とつけられたそう。
ハクビシンは東南アジアや南アジア、台湾にも生息していて、日本では本州の東半分と四国、北海道にも局所的に生息しています。
体長は50~70㎝、体重は3~6kg。成獣になると尻尾を含めて1mほどになります。
ネコのような顔つきですが、鼻筋が長く、メスよりもオスの方が大型になります。
柔らかい体毛をしていて、明褐色~暗褐色など個体差が大きく、頸部や耳介、四肢は濃色や黒をしています。
体は暗い灰褐色、頭、手足、尾が黒く(ボルネオ島には尾が白い種類もいる)、前後の足には5本の指があります。
基本的には夜行性ですが、昼間に歩き回ることもあります。
雑食性で果実や野菜、小動物などを食しています。
繁殖期間は通年で、2か月の妊娠期間を経て1~5頭の子供を出産すると言われていますが、詳しいことはまだはっきりとわかっていないのだそうです。
縄張りは持たず、複数の個体が自由に動き回り、その行動範囲は30~50haにもなり、一晩で5㎞ほどの距離を移動するという報告もあるのだとか。
タヌキの特徴と生態
日本に生息するタヌキは北海道のエゾタヌキと本州のホンドタヌキの2種類。
エゾタヌキの方が若干足が長く、すらっとした印象を受けます。
たぬきの体長は50~60㎝。体重は3~10kgです。灰褐色をしていて、目の周りと脚は黒っぽい色をしています。
幼獣は肩から前足にかけてこげ茶色の体毛をしていて、一種の保護色になっていると考えられています。
ネコ目イヌ科というと猫に近いのか、犬に近いのか混乱してしまいそうですが、もともと先祖が樹上生活をする猫のような生き物で、それが森林や草原に降りてくることによって、湿地や森林の生活に適したイヌのように進化したと考えて良さそう。
実際たぬきの毛は剛毛と柔毛の両方が生え、湿地帯でも楽に歩けるようになっているのだそうです。
たぬきは夜行性で1頭、もしくはペアで生活しています。
一度組まれたペアは死ぬまで解消されることはないと言われています。
行動範囲は50haほど。複数の個体の行動範囲が重なっていることもあり、特になわばりがあるわけでもないようです。
特定の場所にため糞をする習性があり、大きいものだと直径50㎝、高さ20㎝ほどにもなるのだとか。
一頭で10か所ほどのため糞があるそうで、これは臭いで地域個体同士の情報交換の役割を担っていて、エサの在りかなどを仲間同士で交換しあうためと考えられています。
食性は雑食でネズミやカエル、鳥などの他、農作物や柿、ビワなどの果実、生ごみなどもあさります。
ムジナと人間のかかわり
ハクビシンは数が増え、駆除の対象となっていて、ジビエ料理として出回ることもあります。
タヌキは昔はタヌキ汁として食べられていたこともあるようですが、最近は食用にすることはないようで、ペットとして餌付けして可愛がっている人もいます。
アナグマは1970年代には大規模に駆除された時代もあったようですが、今ではあまり人目のつくところに出てきたりしないため、問題視もされていません。
ムジナ(アナグマ)とタヌキの違い
生態的にいうと、色々と細かな違いのあるムジナ(アナグマ)とタヌキですが、見た目の違いで言うなら、先述しましたが、耳の大きさです。
タヌキの耳は明らかにしっかりと耳の形をして、立っているのに対し、ムジナ(アナグマ)の耳はペタッとしていて、小さく寝ています。
ムジナのまとめ
ムジナは狢という漢字があてられるほど、日本人にとっては身近な存在だった。
ムジナはアナグマのことを指す場合とアナグマ、タヌキ、ハクビシンの総称として使われることがある。
アナグマ、タヌキ、ハクビシンは見た目に似ているところもあるが、分類上は皆違う生物で、生態も異なっている。
(ライター ナオ)