2017年の夏のこと、都の西北にある某大学でのイベントの帰り、夕方薄暗い中、校門へと続くスロープを降っていると、突然2匹の生き物が横切りました。

キャンパス内で猫を見かけたことがあるので、猫かと思いましたが、横切ったシルエットを思い起こしてみると、猫に比べてスレンダーな体形をしていました。

都心ではハクビシンの出現が多くなったといわれています。ハクビシンとはアナグマの一種という説も飛び交っていますが、今回は、ハクビシンについて調べます。

都会に出没するハクビシン

最近、都心ではハクビシンやアライグマなどの野生動物を見かけることが多くなっているとのことです。

東京23区内、山手線内でもハクビシンの目撃例が多く報告されています。

 

ハクビシンなどによる被害としては、雑食なので庭・菜園などの果実や、ペットのエサ、生ごみなどを食い荒らされることなどがでています。

さらに小さな穴でも通り抜けできるので家屋の天井裏などに住み着かれ、糞尿による被害やダニの発生などが問題となっています。

また野生動物のもっている疥癬などの病気が人やペットに感染する恐れなどもあるとのことです。

ハクビシンを見かけたら?

都会でペットではない野生動物を見かけたら、たいていの人はびっくりするでしょうが、ハクビシンの方もびっくりして逃げていくはずです。

ただ、これ以上増えないように、餌づけしたりペットのエサなども含めて食べ物を家の周囲に置きっ放しにしておいたりすることは避けましょう。

そして、菜園を荒らされたり、天井に住み着かれたりして駆除してほしいという場合は、自治体の環境衛生を担当する部署に相談してください。

ハクビシンとは?

ハクビシンは漢字で書くと「白鼻芯」。

額から鼻にかけて白い線があるのが特徴で、日本に生息するジャコウネコ科の哺乳類としては唯一です。

しっぽが胴体と同じぐらいに長く、胴長短足でスレンダーです。

 

イタチの仲間でペットとしての人気が高いフェレットに近い体形をしています。

電線や塀の上を歩くことが得意ですが、夜行性のため昼間は岩穴や家屋の屋根裏などで休息しています。

 

雑食性で鳥・卵、昆虫などの小動物を食べ、植物も食べますが穀物などより果物が好物です。

しっぽを除く体長は61~66cm、しっぽの長さ40cm、体重3kg程度です。

ハクビシンに似ている野生動物

ハクビシンに似ている野生動物としては次のようなものが挙げられます。

キツネ

イヌに似ており、背中は赤褐色で顎から下のお腹は白。

都市近郊にも生息するが、北海道以外では市街地や観光地に出没することは少ない。

タヌキ

しっぽは地面に届かない長さ。

耳の縁、鼻と額を除く顔の下の部分や脚が黒い。

特に肩の黒い模様が目立つ。しっぽや体はずんぐりしているが、夏毛のころはやせてイヌのように見える。

テン

冬毛は鮮やかな黄色でオレンジ班があり、顔は白い。

夏毛はくすんだ黄色で、顔は黒。顔は小さく、三角形。イタチよりも大きい。

木の上で生活することが多い。生息数が減少している。

イタチ

毛の色は茶や山吹色で、額から鼻にかけて濃い色の斑紋があるが、口元は白い。

顔は丸く小さい。住み着かれると悪臭がすごい。

アライグマ

顔の目の周りの黒模様は左右つながっている。

しっぽにリング模様。耳の縁は白い。やや猫背。

後脚で立ち上がれる。タヌキに比べて短足。塀や電線の上を歩くことができる。

ニホンアナグマ

顔の黒模様は目の周辺だけ。爪が鋭く、脚は短い。

全体に平べったい体形。ハクビシンよりしっぽがかなり短い。

ニホンアナグマとは?

アナグマのなかでも、日本にいるのは「ニホンアナグマ」です。

脚と胸はやや濃い褐色をしています。目のまわりは黒っぽく、鼻筋は白色です。

 

ずんぐりした体つきで耳は小さく、長い湾曲した爪をもっています。

しっぽを除く体長は52cm、しっぽ14cm、体重は12kg程度です。

 

穴掘りが得意で、斜面や岩・木の根元などに巣穴を掘ります。

家屋などの床下を利用することもあるようです。

動物食を中心とした雑食性で、トウモロコシ、カキ、クリ、スイカ、落花生なども食べるので、農作物の被害も出ています。

ハクビシンとアナグマの違い

ハクビシンはニホンアナグマとよく間違われるのですが、違いはなんでしょうか。

まず、体の大きさはニホンアナグマのほうが大きく、ハクビシンの倍以上の体重で、お腹やお尻がぽっちゃりしています。

 

両方とも顔が細長く、額から鼻にかけての部分に白い線があるので間違いやすいのですが、ハクビシンは顔のその他の部分は全体的に黒っぽいのに対し、ニホンアナグマは目の周囲だけが細長く黒になっています。ハクビシンの鼻はピンク色で、ニホンアナグマの鼻は黒です。

 

暗くて顔がよく見えなかった場合、シルエットでも区別できます。

ハクビシンのしっぽは長くて、走るときは一直線に細長いシルエットになります。

一方、ニホンアナグマは、しっぽが短く、顔は小さく長くても体はぽっちゃりしています。

まとめ

東京23区のホームページを見ると、ハクビシンなどの野生動物についての注意情報が載っています。

それほど増えているということですが、ハクビシンがどんな姿をしているか正確に知っている人は少ないようです。

 

ネットで検索して出てくる画像のなかには、ハクビシンや他の野生動物を混同しているものが見られます。

ハクビシンとニホンアナグマの違い、わかっていただけたでしょうか。

(ライター sensyu-k)