一部の種類はキャラクター化されていたりもする蜂たち。人間にとっては大きな益もあり、大きな害もあるかかわりの深い昆虫です。
そんな蜂たちの世界、それぞれのハチの特徴と危険性などをまとめてみました。
アシナガバチ
日本にいるアシナガバチは3属11種。セグロアシナガバチ、キアシナガバチ、フタモンアシナガバチと言われるアシナガバチがよく見られ、都市部、市街地ではコアシナガバチが目立ちます。
セグロアシナガバアチの体長は20~26㎜程。体の模様は黒の地に黄褐色の斑紋があります。攻撃性はありますが巣の1m付近まで近づいても襲ってくることはありません。ただし、被害の多さで言うと日本ではスズメバチに次いで2番目。
キアシナガバチは体長20~26㎜、黒の地に黄色が目立ち、アシナガバチの中では攻撃性の強い種類です。フタモンアシナガバチは体長14~18㎜と少し小さ目。腹部に黄色い2つの班があります。
コアシナガバチは体長11~17㎜、やや地味で小型の種類です。
いずれのアシナガバチも毒性はスズメバチよりも弱いので死亡例はまれですが、刺された場合は痛みと腫れを引き起こし、2回目以降にはアナフィラキシーショックの危険性があります。
アナバチ
アナバチの種類は日本に10種類程生息していて、代表的なのはクロアナバチ。
体長は25~30㎜程でスリムですが長さがあります。体色は光沢のある黒色で、地面に穴を掘って巣穴を作ることから名前が付けられています。
攻撃性は低く、自ら人間を刺すことはありません。しかし素手で掴んだり、裸足で踏んだりすれば刺される可能性もあります。毒性も強くないですがアナフィラキシーショックには注意が必要です。
アリバチ
アリバチは日本に17種類程います。雌雄の形態さが非常に大きく、アリバチのオスは通常他のハチと同様に翅を持っていますが、一部の種では翅の無いものや短い翅のものがいます。
一方でメスの方は基本的には翅を持たず、地上生活をしているので外見的にはアリに似ています。
日本に生息する多くの種類は頭部と胸部が黒色で、腹部と前伸腹節が赤色、かつ腹部には白色や黄金色の毛斑や毛帯を持っていて原色も目立つ色彩をしています。
日本のアリバチの毒性については詳しくわかっていませんが、海外の実験では刺された瞬間無数の針が患部周辺をチクチクと刺しているような感じになり、その痛みは25分ほど続いたのだそう。
もちろんアナフィラキシーショックにも注意が必要です。
クマンバチ
クマンバチは体長が20㎜程でずんぐりした体型をしています。
胸部には細くて細かい毛が多く生えているので全身は黒色に見え、胸部の毛は黄色いのでよく目立ちます。
体の大きさの割には小さめの翅を持ち、翅はかすかに黒色をしています。メスは顔全体が黒く、複眼は切れ長です。額は広く、顎も大きいので全体に頭が大きい印象です。
一方でオスは複眼が丸く大きめでやや狭い額に黄白色が密生し、全体に小顔な印象を受けます。
ブ~~ンという大きな翅音が強烈なので獰猛な種類として扱われることが多いハチですが、性質は極めて温厚で、ひたすら花を求めて飛び回り、人間にはほとんど関心を示しません。
オスは比較的行動的ですが、針がないので刺すことはありません。毒針を持つのはメスのみで、メスは巣があることを知らずに巣に近づいたり、個体を脅かしたりすると刺すことがあります。
刺された場合重症には至りませんがアナフィラキシーショックには注意が必要です
ジガバチ
ジガバチは狩りをするハチで、日本全土に生息しています。
体長は20㎜前後で、体色は黒色、第1~2腹背節では赤色。第3節以下は藍色を帯び、腹部の基部は細長い腹柄となります。翅は透明でわずかに曇っていて、極度にくびれたウエスト部分が特徴です。
人間に自ら攻撃を仕掛けることはなく、攻撃性は弱いハチ。近づいたり、触ったりするくらいでは刺されません。
ただし、危険を感じると攻撃してくる個体もゼロではないので用心することが必要。
スズメバチ
スズメバチは日本で最も恐れられている大型のハチです。日本には67種類のスズメバチが生息していると言われています。
オオスズメバチはスズメバチ類の中でも最も大型のハチで、体長は女王バチが40~45㎜、働きバチが27~40㎜、オスバチが35~40㎜です。頭部はオレンジ色、胸部は黒色、腹部は黄色と黒色の縞模様で翅は茶色です。雄バチは毒針を持っていません。
スズメバチは日本に生息するハチ類の中で最も強力な毒を持ち、かつ攻撃性も高い非常に危険な種。
刺害による死亡例は熊害や毒ヘビの咬害によるそれを上回りますが、近づいてきただけの人間をいきなり攻撃するようなことはなく、最初に警戒・威嚇の行動を行います。
人間の周囲をまとわりつくように飛び、空中でホバリングし、カチカチという威嚇音を立てます。この前兆を無視していると時速30~40kmほどのスピードで襲っていきます。
刺されると患部の周りが熱を持って赤く腫れ上がり、痛みを伴います。大量のハチに刺され、注入された毒量が多いと麻痺が起きて呼吸不全や心停止に至ることもあります。
スズメバチに刺された時の痛みは毒成分セロトニンによるもので、オオスズメバチのセロトニン含有量は他のハチに比べ最大。濃度で言うとチャイロスズメバチが一番で、刺された時に最も痛いのはチャイロスズメバチと言われています。
更にアナフィラキシーショックにも最大の注意が必要です。
ツチバチ
ツチバチは日本に十数種が知られている土などの中に巣をつくるハチです。
体長は20~50㎜程で全体的に細長く、メスの方がオスよりも更に細いのが特徴です。
強固で多毛、腹部には長く大きい金色の毛が密集しています。頭部は小さく、腹部は長く、全体に黒色できいろまたは赤色の横縞があります。
基本的に危害を加えるハチではありませんが、捕まえようとしたり、驚かせたりすると自己防衛のために刺してくる場合があります。
オスバチに刺された場合はしばらく痛みを伴いますが、毒性はないので人体には無害です。メスバチは毒を持っていますが、毒性は弱くオスに比べて大人しく、危害を加えない限り刺すことはありません。
ハバチ
ハバチは日本に1000種類程生息していると言われていますが記録されているのは500種類程。
体長は2.5~20㎜ほどで円筒形のものが普通で、色彩は黒色が多いのですが黄色や緑色など美しい色をしたものがあります。触角は通常9節で少ない種類と多い種類があります。
ハバチの成虫は針は持ちますが、卵を産み付けるために穴を開けたりする以外には使われず毒は持ちません。
捕まえると針を刺すようなしぐさをすることもありますが、実際に刺されることはなく安全です。
ベッコウバチ
ベッコウバチは日本に80種類以上分布しています。
の体長は15~28㎜、体色は黒色で頭、翅、脚は黄褐色です。
スズメバチのように攻撃的ではありませんが家屋周辺に営巣して恐怖感を与え、巣を壊したり誤って触れたりすると刺されることがあります。
アメリカに分布しているオオベッコウバチは世界最大のハチとして有名でタランチュラなどの蜘蛛を狩ります。青みがかかった黒色の体色で翅の色はオレンジ。体長は60㎜以上にも及びます。
マルハナバチ
マルハナバチはミツバチによく似た丸みを帯びたハチです。日本には15種類ほどが生息していると言われていますが本来は生息しておらず、ヨーロッパからやってきた外来種。
体長は10~20㎜で体色は黒色、橙色、赤褐色、黄色、白色などです。毛深く、ミツバチより少し大きく体色は黒色。白や黄色の筋状の模様があるものが多く、体毛が長いので花粉を集める時に効率が良くなっています。
きわめて温和なハチで危険度はかなり低いのですが、威嚇行動を無視すると刺されることもあります。刺されるとチクっという痛みを一瞬感じ、その後腫れあがります。
ミツバチ
日本でミツバチといえばニホンミツバチとセイヨウミツバチの2種類が飼育されています。
日本在来種であるニホンミツバチは体長が10~13㎜ほどでセイヨウミツバチは12~14㎜でニホンミツバチよりもすくし大き目。
ミツバチは大人しい性質ですが、危険が迫っている時には攻撃してくることもあります。
一匹の持つ毒はそれほど強くありませんが多数のハチによる一斉攻撃やアナフィラキシーショックなどが引き起こされるという危険性があります。
ミツバチは一つの巣に3~8万匹程いると言われていますので一度襲われると膨大な数のハチに襲われることになるので注意が必要です。また針は一度刺されると人体の皮膚から抜けず、その針から発せられた臭いは他のハチを誘うので危険です。
ヒメバチ
ヒメバチは世界中に分布していますが、日本には約1500種以上の種が記録されています。細身で体色、体長などは実に様々です。
刺されると多少腫れる程度ですが、毒性はそれほど強くありません。
コマユバチ
コマユバチは日本に300種以上が分布していると言われ、最も有名なのはアオムシサムライコマユバチです。
体長は30㎜程で、体は黒く足は黄色をしています。モンシロチョウの幼虫に寄生しています。毒性や刺された時の大きな被害などは特に報告されていません。
セイボウ
セイボウは小型のハチで、体は緑、青、藍、紫、赤やこれらの色が組み合わさった色で美しい金属光沢があり美しいのが特徴です。体長は2~20㎜。
毒性は弱く、人に対する攻撃性もほとんどありません。
日本の蜂の種類のまとめ
いかがでしたでしょうか。いずれの蜂たちも少なからず毒を持っているようですがその危険度は様々。
上手に人付き合いするように、蜂たちとも距離をとりながら上手に付き合っていきたいものです。