アシナガバチは夏によく見かけるハチの一種ですが、実は様々な種類のアシナガバチがいるのをご存知でしょうか?
今回はそんなアシナガバチの種類について詳しくお話ししていきます。
アシナガバチの特徴
アシナガバチはスズメバチ科アシナガバチ亜科に属するハチの総称です。
チョウや蛾の幼虫を狩り、かみ砕いて肉団子にして巣に持ち帰ります。
巣はスズメバチのように光沢はなく、素材は樹皮の繊維を素材とし、それに唾液由来のタンパク質を混入して作っているので強靭です。
熱帯地方には直径30㎝以上の大きな巣を作る種類もありますが、日本では10㎝程度。
アシナガバチは総じて大人しい性格で、巣にいたずらをしなければほとんど刺してくることはありません。
アシナガバチの種類と特徴
世界に26属1000種類以上がいると言われ、日本だけでも3属11種類が生息しています。
セグロアシナガバチ
体長は20~26㎜程。
体の模様は黒の地に黄褐色の斑紋があり、日本では北海道以外の全国に分布していて、市街地などでも良く見られる種類です。
セグロアシナガバチは本来それほど驚異的な存在ではありません。
攻撃性はありますが、巣の1m付近まで近づいても襲ってはきません。
しかし、巣を揺らしたり、大きな音を出したりといった刺激を与えた場合は、襲ってくることもありますし、日本ではスズメバチに次いで被害の多いハチでもあります。
主な被害は6~8月の間で、巣を刺激して刺されるケースと、10~11月に巣を離れた新女王が民家の洗濯物や布団に潜り込んで、それを知らずに取り込んでハチを圧迫してしまったりした場合に刺されるケースがあります。
アシナガバチの種類ではセグロアシナガバチの被害の報告が最も多く、刺された場合は痛みと腫れを引き起こします。
普通は数日で治りますが、ハチ毒のアレルギー体質になっている人は血圧低下や発信、嘔吐など全身症状を起こすこともあり、注意が必要です。
2回目以降には死亡することもあります。
キアシナガバチ
体長は20~26㎜でセグロアシナガバチに並ぶ大型のハチです。
日本では全国に分布しています。
黒の地に黄色が目立ち、攻撃性はアシナガバチの中では強い方で注意が必要です。
フタモンアシナガバチ
体長は14~18㎜で、腹部に黄色い2つの斑があることから名前が付けられました。
市街地でよく見られ、植物の茎や垂直な壁面等に横向きに巣を作ることが多いのが特徴です。
毒性は弱いですが、巣を見つけた時には刺激しないように注意が必要です。
コアシナガバチ
体長は11~17㎜、やや地味で小型の種類ですが、人家よりも林の低木の枝先や大きな葉の裏などに反り返った大きな巣を作ります。
日本では全国に分布しています。
キボシアシナガバチ
体長は12~18㎜で体色は黒色。
斑紋の大部分が赤褐色で、コアシナガバチとよく混同されますが、キボシアシナガバチの場合は腹部第二節いかには黄紋がないのが特徴です。
巣と繭の色は黄褐色で繭が巣から飛び出しているのが特徴です。
低地から山地に分布していて、樹木の枝や葉裏に営巣します。
樹高が低い杉などの植林地では密度が高くなることもあります。
ヨーロッパアシナガバチ
体長は11~17㎜で小型の種類ですが人家にも巣を作ることで知られています。
ヨーロッパに分布し、市街地でもよく見られ、刺されると死に至ることもあるので注意が必要。
ヤマトアシナガバチ
体長は15~22㎜、体色は黒色で褐色の斑紋が多くあります。
巣は灰褐色で、背面に黄褐色の光沢があり、繭の蓋は黄緑色で育室から飛び出します。
攻撃性は弱く、キアシナガバチやセグロアシナガバチとともに集団で越冬することもあります。