みなさんは、『アリバチ』という生き物をご存じでしょうか?

『アリ』なのか『ハチ』なのか、はっきりしていただきたいところですよね!今回は、そんな『アリバチ』についてご紹介いたします。

アリバチってどんな生き物?

アリバチ(=velvet ant/ベルベットアント)は、昆虫で、アリではなくハチです。

ビロードのような体毛を生やしていることから、velvet ant〇ベルベットアントと呼ばれています。

全世界に、約4230種類が確認され、熱帯や亜熱帯などに生息しています。日本では、約17種類(5亜科13属)が確認されています。

捕食寄生型の昆虫で、ハチ(種類:アナバチ・ハナバチ・クモバチ等)やハエ、チョウ、コウチュウ、ゴキブリなどの巣に侵入し、産卵してふ化した幼虫が寄生した昆虫を食べて成長します。アリバチのメスは、地面を這いながら寄生する虫の幼虫や繭などを探し、寄主に産卵します。

 

オスは、メスよりも身体が大きく翅があることが特徴で、交尾したままメスを遠くへ運ぶ為に身体が大きくなったと言われています。

アリバチ、名前の由来

なぜアリバチというのでしょうか。アリバチは、オスには翅(ハネ)がありハチ本来の姿と同等なのですが、メスには何と翅がありません。

翅が無く、地面を這って歩く姿からアリバチと名づけられました。

 

なぜ翅が無いのかは、先ほど記述した通り、メスは地面を這いながら寄生する虫の幼虫のいる巣を探し、寄主となる昆虫の幼虫や繭を見つけたら、そこに産卵をする為に翅がありません。

反対にオスには翅がある理由として、種の保存・繁栄を目指して遠くにメスを運ぶという役割から、翅がついていると考えられます。

翅があるだけではなくメスを運ぶために身体も大きいのでその理由は明らかでしょう。

強い毒を持つアリバチ

海外では、〇Cow Killer(牛殺し)と呼ばれるくらい強い毒をもっていると言われています。

基本的に大人しく人を襲うことのないアリバチですが、人間が刺されたらどうなるのでしょうか。

 

実際に外国の方で、アリバチに刺される実験を自分の身体で行った人がいましたが、強い痛みを訴え25分くらいは強い痛みが続いていたようでした。

「刺された部分の周りがヒリヒリと痛み、無数の小さな針が腕(刺された場所)の中で暴れているようだ。」と証言されており、痛みが強いことがわかります。

 

この毒性によって、人が亡くなるケースはあまり聞かないようですが、これだけ痛いのですから十分に注意をする必要はありますし、一か所なら大丈夫かもしれまんが複数個所を刺されたら痛みに耐えきれずに死んでしまう可能性も十分に考えられますので、気を付けましょう。

アリバチと人間の関わり

多くのアリバチは、先ほど記述したように他の幼虫に寄生し、その昆虫が成虫になると食し育ちます。

結果的に、寄生する虫(=寄主)や餌である昆虫の数を減らす存在になるので、『天敵』という役割を果たしてくれます。

 

現在、外国から侵入してくる昆虫などがいると、日本国内で大発生する可能性があります。

それは、『天敵』がいないからです。外国からやってくる昆虫にしたら、新天地(=侵入地)では『天敵』がいない為に大量発生ができます。

そのため、本来の生育地から寄生バチ(アリバチなどの外部捕食寄生する昆虫)を導入することで、その昆虫たちの『天敵』となり、発生を抑えることができます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

アリバチは、見た目はアリに見えてしまう虫なので多少の危険が生じる場合があります。

ハチだと知らずに近づいて刺されると強い痛みに襲われ、辛い思いをすることでしょう。

 

でも、アリバチの存在によって、外部昆虫の発生を抑えることができているとしたら、日本を始めとした生態系を守れるということなので凄い昆虫なのだと、改めて感じました。

(ライター:Teyo)