これからの季節、人間にとって脅威的な存在となるスズメバチ。ヤンチャな昆虫と楽しんでいるわけにはいきません。
それぞれのスズメバチの特徴をよく知って、スズメバチを驚かせないように細心の注意を払いながら生活したいもの。特に子供を持つ親は十分に注意して子供たちを遊ばせたいものです。
今回は8種類のスズメバチの特徴と危険度などを紹介していきたいと思います。
オオスズメバチ
オオスズメバチの体長は女王バチが40~55㎜、働きバチが27~40㎜、オスバチが27~45㎜ほど。頭部はオレンジ色をしていて、胸部は黒色、腹部は黄色と黒色の縞模様で翅は茶色です。
日本に生息するハチ類の中では最も強力な毒を持ち、攻撃性も高い危険な種で半数致死量は4.1㎎/kg。
大顎も立派で5㎜程あり、人間を含む捕食対称の身体を抉ります。毒液中にはアルコールの一種からなる警報フェロモンが含まれていて、巣の危機を仲間に伝える役割も果たします。
オオスズメバチは土の中などの閉鎖空間に営巣します。女王バチは本州西南暖地では4~12月までの8か月間営巣し続けます。
寒冷な北海道や本州の高地ではこれよりもスタートが遅く、終了時期が早まる為、4か月前後と短くなります。
オオスズメバチは夜から早朝にかけて巣で活動し、昼間は外でエサや巣の材料を探しに行っています。
つまり一日中活動しているのですが、その中で最も活動的になる時間帯は2つ。早朝4時ころと夕方です。更に午前10時と午後3時の時間帯も比較的活発です。逆に緩やかになるのは夜から早朝にかけてです。
コガタスズメバチ
コガタスズメバチの体長は女王バチが25~29㎜、働きバチが22~27㎜で名前にはコガタとついていますが実際のサイズはそれほど小さくなく、キイロスズメバチより大きいサイズです。
容姿はオオスズメバチに似ていることから比較されてこの名前がついたと言われています。
全体にオレンジ色と黒色が濃く、スズメバチらしい見た目をしていますがオオスズメバチとは体の大きさと頭楯の突起が3つあります。
性格は凶暴ではなく温厚な部類。巣に近づいても警戒態勢を採りますが、少しくらいなら威嚇はしてきません。ただし、時期女王バチや雄バチが育つ夏の終わりころには攻撃性が強くなることもあります。
住宅の軒下や生い茂った樹木の枝等の開放された空間を好んで営巣するのでコガタスズメバチに刺される被害の報告がキイロスズメバチに次いで多くなっています。
コガタスズメバチは民家の軒下や樹木が生い茂った空間など開放空間に5月頃から11月中旬にかけて営巣します。
働きバチが出現するまでの巣はトックリを逆さにしたような特徴ある形をしていますが、成熟巣では西洋ナシ型になるのが一般的です。
攻撃的になる時期は7~10月で、巣を刺激すると警戒心が高まり、近寄っただけでも刺しにきたりします。活動の時間帯はオオスズメバチと同じです。
キイロスズメバチ
キイロスズメバチの体長は女王バチが40~55㎜、働きバチが27~40㎜、オスバチが27~45㎜で頭部はオレンジ色をし、胸部は黒色です。腹部は黄色と黒色の縞模様が特徴的で、翅は茶色でオスバチは翅を持っていません。
全身に占める黄色の割合が多く、簡単に見分けられます。
凶暴で警戒心が強く神経質で敵に対しても執念深い性質をしていてある意味一番凶暴といっても過言ではありませんが、毒性はスズメバチの中ではオオスズメバチ、モンスズメバチに次いで3番目の強さ。
一つの巣におけるハチの数がとても多く、民家の軒下などに営巣している巨大な巣はキイロスズメバチがほとんどです。ハチの中で最も刺傷被害の多いスズメバチです。
キイロスズメバチは木の根元など土中、樹洞などの鋭狭空間に枯れ木などから集めた繊維を唾液のタンパク質で固めて和紙のようにし、六角形を作って巣をつくります。
営巣期間はとても長く、4月下中から12月上旬で8ヵ月にも及びます。更に巣の規模もスズメバチ最大で巣の育房数は100,000房を越えます。
特に攻撃的になるのは9~10月で、一度攻撃を受けると数十~数百のキイロスズメバチに襲われる可能性があります。活動時間帯はオオスズメバチに同じです。
クロスズメバチ
クロスズメバチの体長は女王バチが15㎜、働きバチが10~12㎜、オスのハチが12~14㎜です。黒の胴体に白のラインが入っていてスズメバチの中ではかなり小型の部類に入ります。
基本的に山の中にいるのですが、屋根裏や樹洞などにも巣をつくります。スズメバチの中では攻撃性、毒性共にそれほど強くありませんが刺された時にはそれなりの痛みを伴います。
営巣時期は他のスズメバチよりも早く、3月下旬から12月頃までで、約10ヵ月の長い期間地中に営巣し、活動します。活動時間帯はオオスズメバチと同じです。
シダクロスズメバチ
シダクロスズメバチの体長は女王バチが15~19㎜、働きバチが10~11㎜、オスバチが12~14㎜と小型です。
全身が黒色で白の斑紋があり、各地で普通にみられるクロスズメバチとよく似ていますが頭盾中央の黒帯が下縁まで達していること、複眼の内側の白色がえぐれている点で区別できます。
攻撃性や毒性は同属のクロスズメバチと同じく、それほど強くありません。
営巣場所は閉鎖的な場所で、大部分が土中ですが屋根裏や樹洞にも営巣します。
営巣の活動時期は早く、越冬した女王バチは3月下旬には活動を開始し、12月頃まで続くこともあります。営巣規模はクロスズメバチよりも大きくなることが多く、育房数は8,000~12,000房になります。
チャイロスズメバチ
チャイロスズメバチの体長は女王バチが30㎜前後、働きバチの体調が17~24㎜で全身黒から茶色の深い色で覆われています。
女王バチの外側の外骨格がとても硬く、キイロスズメバチやモンスズメバチの巣を乗っ取る時の防御に役立ちます。
チャイロスズメバチはキイロスズメバチやモンスズメバチよりも遅く活動し、女王バチを殺すことで彼らの巣を乗っ取ります。更に生まれてきたキイロスズメバチやモンスズメバチの働きバチを従えて巣作りをします。
茶色スズメバチの活動時期は5~10月。特に9~10月にかけて攻撃的になります。
攻撃性は比較的高く、オオスズメバチ、キイロスズメバチに次いで3番目。巣に近づくと威嚇行動をとるのはもちろん、執拗に追いかけてくることもあります。
刺された時の痛みはひどく、スズメバチの中でもトップクラス。オオスズメバチ、モンスズメバチ、キイロスズメバチに次ぐ4番目くらいだそう。
ヒメスズメバチ
ヒメスズメバチの体長は女王バチと働きバチ、いずれも24~37㎜。腹部は黄色と黒色の縞模様で、尻の部分が黒く、他のスズメバチとの区別が容易にできます。
威嚇性は高いですがスズメバチの中では最も大人しい性格をしていて危険性はほとんどありません。ただし、威嚇の音はスズメバチ類の中では一番です。
営巣は土の中、屋根裏、雨戸の戸袋部分、床下等閉鎖的な場所を好み、軒下や樹木等開放的な場所には営巣しません。
5月下旬から10月上旬にかけて営巣活動を行い,スズメバチ類の中では最も小規模な巣をつくります。他のスズメバチが活発な時期にはもう活動を終わっています。活動の時間帯はオオスズメバチと同じです。
モンスズメバチ
モンスズメバチの体長は女王バチが28~30㎜、働きバチと雄バチは21~28㎜で腹部の黄色と黒の縞模様は波型をしていて、変異が大きくなっています。
目は褐色色をしていてコガタスズメバチと色も大きさも似ているので判断の難しいハチでもあります。
攻撃性はチャイロスズメバチに次いで4番目に強く、刺された時の痛みもオオスズメバチに次いで痛いと言われています。
5月の上旬から10月の上旬にかけて営巣活動を行い、夜でも活動し天井裏や壁間、樹洞等の閉鎖空間に直径30~60㎝ほどの巣をつくり、集団の数に応じて巣を引っ越す習性もあります。
最も攻撃的になるのは7~9月の時期で、この時期には巣の近くを通行しただけでも刺されることもあります。他のハチと違って夜の特に日没3~4時間も注意が必要です。
スズメバチの種類ごとの危険度レベルのまとめ
いかがでしたでしょうか。スズメバチと一言で言っても、多くの種類のスズメバチがいるといて、どれに気をつければよいかわからずにいた方、少しすっきりしたでしょうか。
スズメバチというと黄色の体に縞模様。大きな眼の典型的顔立ちなど思い浮かびますが、そんな典型的なハチの見た目をしたスズメバチだけではなく、黒や茶色の翅のついたハチにも普段から注意しなければならないようです。
どうぞ皆さん今シーズンをスズメバチに刺されることこなく安全に。