4~11月にかけて、大量の羽アリが発生した経験はありませんか?
人の居住空間に群れを成してやってくるその存在は、決して気持ちの良いものではありません。
羽アリはシロアリ???
羽アリと聞くとすぐにシロアリを想像してしまう人も多いのではないでしょうか。
でも羽の生えたアリが必ずしもシロアリというわけではないんです!
普段私たちが見ている黒アリにも、羽が生えているものがいるんです。
黒アリに羽の生えただけのアリもシロアリに羽の生えたアリも、パッと見ると一見同じ羽アリに見えますが、近づいてみると、その違いは一目瞭然。
黒アリに羽の生えた羽アリは、胴体の頭部と胸部の間にはっきりとしたくびれがあります。
一方シロアリにはそのくびれがなく、頭部から腹部まで寸胴です。
他にも黒アリは触覚の形が「く」の字に曲がっているのに対し、シロアリはまっすぐ伸びているとか、羽の大きさも黒アリは前が大きく、後ろが小さいのに対し、シロアリは4枚の羽が同じ大きさであるなどの違いがあります。
また、シロアリは春だけ大量発生しますが、黒アリは種類によって春先から初冬まで長い期間、発生する可能性があります。
アリがどうして羽アリに!?
忙しそうに地面を動き回っていたアリたちにどうして突然羽が生えたのでしょうか?
いいえ、どうやらそういうわけではなさそうです。
アリはもともと女王アリと働きアリ、そして巣にいる若いアリたちに分かれています。
兵隊として巣を守るのはオスのアリたちで、メスのアリたちはせっせとエサを運ぶ役割を果たします。
こうして、集団で協力して子育てをし、時期が来ると女王アリは子孫繁栄のために、現在の巣を離れ、新天地へと飛び立ちます。この時に産むのが羽アリです。
新しい地で新しい巣をつくるための新たな兵隊として一緒に連れていくアリというわけ。
女王アリは、移動しながらオスの羽アリたちと空中で交尾を繰り返し、一生分の卵を蓄えながら新しい巣へ移っていきます。
つまり、羽アリは引っ越しと交尾の為の特殊なアリ達だということなのです。
日本で見られるアリの種類
羽アリの正体がわかったところで、では日本ではどんな種類の黒アリたちが羽アリとして私たちの目にとまっているのでしょうか。
日本に生息しているアリは273種類と言われています。
その中でも日常的によく見るのがアシナガアリ、クロオオアリ、クロヤマアリの3種類です。
アシナガアリはその名前の通り、足の長いアリです。体長は3~8㎜。べっこう色をしていて、森林地帯や山中の石の下のような湿った場所に生息しています。
クロオオアリは日本全土の平地に生息しています。体長は7~12㎜ほどで、光沢のない黒色をしています。日本に生息するアリの中では最大の大きさ。公園や庭、里山などの日当たりが良く、乾燥した場所に巣をつくることが多く、アリの特徴としては、腹部に褐色の毛が生えていることです。
クロヤマアリは3種類の中では最も住宅地近くにいるアリです。灰褐色で体長は4~6㎜。縦に1~2mほどの垂直な巣穴をつくることが多く、アリの胴体をつまんで持ち上げると、固まって動かなくなるという特徴があります。
家で見かける羽アリは、このクロヤマアリが多いと言われています。
他にもムネアカオオアリやミカドオオアリなど、住宅の立地条件によっては可能性のあるアリたちもいます。
シロアリの種類
シロアリにもいくつかの種類が存在します。
日本には22種類が生息していると言われていて、その中でも建築物に害を及ぼすのがヤマトシロアリとイエシロアリです。
近年ではアメリカカンザイシロアリという種類の被害も報告されるようになりました。
地下にもぐっていて、北海道を除く全土に生息しているのがヤマトシロアリです。
黒褐色で体長は4.5~7.5㎜。
同じ地下型として千葉県以西や南西諸島、小笠原諸島などに生息しているのが、イエシロアリです。
こちらは黄褐色で、ヤマトシロアリよりもやや大型になります。
乾材に生息するアメリカカンザイシロアリは宮城県から沖縄までの24の都府県に点在しています。
羽アリの大量発生
このようなアリ達の女王アリとオスのアリの大移動が、私たちが大量の羽アリを目撃する時ということになるのですが、その時に間違って家の中に入ってきてしまうと、私たちはとても困惑させられるわけです。
では、いつどのようなタイミングでこの大移動が行われているのでしょうか。
それは梅雨の時期や雨が上がったタイミングということがわかっています。
巣穴の環境の変化が大きくなった時に、危機を感じて移動するのだとか。
移動途中の雨を凌ぐために、マンションのベランダなどに飛来するのもちょうどこの時期と言えます。
黒アリの益害
羽の生えた黒アリを見つけたからと言って、その羽アリたちが必ずしもそこに住み着くというわけではないようですが、黒羽アリの大量発生はその数といい、色といい、不快害虫としてはかなり不快度数の高い存在です。(私にとっては・・・)
すぐさま目の前からその存在を消してしまいたいという人も少なくないはず。
でも、ちょっと待ってください。
実は黒アリはシロアリの天敵だということをご存知でしょうか。
万が一、シロアリが家に住み着いていて、黒アリがそのシロアリをせっせと食べてくれているとしたら・・・殺虫剤で見殺しにしてしまうのは、益なのか害なのかということです。
ただ、これはあくまで建物にとって、ということになりますが・・・。
人を刺すアリもいるので注意!!
いくら建物に良いといっても、黒アリの中には人を刺すアリもいて、注意が必要です。
オオハリアリは防衛のために毒針をつかいます。積極的に刺すわけではなく、あくまで防衛のためなので、必要以上に怖がることはないのですが、こんな危険なアリが住み着いてしまった場合にはすぐさま駆除した方が良さそうです。
羽アリの大量発生の対処方法
大量の羽アリの集団を見た時には誰もがぎょっとして、一瞬ひるんでしまいます。
普段外で見ているアリと同じアリであっても、家の中に集団で入ってくるアリには不気味な恐ろしさを感じてしまうものです。例え、攻撃性がないとわかっていても・・・。
対処方法としては、まず第一に入ってきた場所がわかっている場合。その場合は侵入場所が簡単に塞げるのならばさっさと塞いでしまいましょう。
羽アリが家の中に大量発生するのは決まって昼間や夕方。
明かりを求めてやってくるわけですから、夜になり、電気も消してしまえば、また巣穴に戻っていきます。その時を見計らってテープや板、コーキング剤などで侵入口の穴を塞いでしまいましょう。
アリの移動は一時的なものですから、とりあえずは簡易的なものでも大丈夫です。
簡単にその処置が出来るのなら、問題はそれで解決です!
簡単に防ぐことが出来ない時は・・・・殺虫剤に頼るしかありません。
巣の大きさがどれくらいかわからないので、一日でおさまるとは限りませんが、見つける度に根気よく殺虫剤をかけ続けましょう。そのうち彼らの姿を見ることはなくなると思います。
羽アリ侵入の予防方法
嫌な思いをする前に何とか予防できないものでしょうか。
家屋への浸入を防ぐ方法として有効なのは羽アリの発生前に家全体の軒下部分や玄関、サッシなどの隙間に丁寧に防虫剤を振って、建物にアリを寄せ付けないようにすること。
地面と建物の間にも防虫剤を振ります。細いノズルなどを使って隙間をしっかりガードしておくのが良さそうです。
また、家の中の光が漏れることも禁物なので、コーキング材で隙間を塞ぐのも有効な方法です。
マンションの上階でもサッシの隙間などに細目に防虫剤を振ることをオススメしますよ!
敵は上空から来ることもありますから!
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(ライター ナオ)