ブルドッグアリという名前のアリをご存知でしょうか?
決してブルドッグのようにワンワンと吠えるアリではアリません。
今回は面白い名前のブルドックアリについてのお話です。
ブルドッグアリの生態
ブルドッグアリはキバハリアリの別名でタスマニアを含むオーストラリアの沿岸部に生息している大型のアリです。
ニュージーランドには人為的に移入し、ニューカレドニアには固有種が1種生息しています。
体長は小さいものでは4㎜、大型の種類になると37㎜程あります。
ユーカリのまばらな林や貧弱な草原の乾燥した地域を好み、地下に巣穴を掘って他種のアリたちと同様、社会性のある暮らしをしています。
他のアリたちが森林地帯などの、ある程度湿度のあるところを好むのに対して、ブルドックアリはあえて乾燥地帯を選ぶ事により、生き残ってきた原始的なアリと言っても過言ではありません。
頭部と同じ大きさ、もしくはそれよりも長い大顎を持っており、腹には毒針があります。
女王アリと働きアリに分かれ、女王アリと幼虫のエサは主に節足動物で、働きアリはユーカリの樹液やカイガラムシの分泌した甘露などを食します。
女王アリや幼虫のエサとなる節足動物は自慢の大顎で獲物を抑え込み、後腹部の針から強力な毒でとどめを刺して殺します。
スズメバチでさえも一発で仕留めることのできるほどの大顎は、人間でも30か所程噛まれたら死にいたる、と言われているほど。
持ち帰った節足動物は粉々にしてエサ団子などを作るのが通常ですが、原始的なタイプのブルドックアリはこの、エサ団子があまり上手に作れないようです。
その代わりと言っては何ですが、巣の中には他の甲虫類などが寄生していて、彼らが分解を手伝ってくれているという説もあります。
エサが足りなくなったり、要求された時に手持ちのエサがない場合は、働きアリが自ら卵を産んで、それをエサの代わりにすることもあるようです。
エサにならなかった卵はそのまま孵化することもあり、働きアリの卵は無精卵ですから、そのまま孵化した場合は、すべてが雄のアリになるのだとか。
好戦的で攻撃性の強いブルドッグアリは巣に敵が近づくと、自分より体の大きなものであっても、果敢に攻撃を仕掛けていきます。
インチ・アンツと呼ばれる種類のアリに噛まれると、その痛みは1週間程続くのが通常で、時には3か月ほど長引く場合もあるのだとか。
人間が注意したいのはアナフィラキシーショックで、一度噛まれただけで死に至るようなことはありませんが、スズメバチや毒ヘビなどと同じく、2度3度、刺されることによる過剰な抗体反応には用心しなければなりません。
ユーカリなどの植物は彼らの攻撃性を利用して、他の敵を近づけない番犬のような役割を彼らに託し、一種の共生をしていると考えられています。
ブルドッグアリの飼育
ブルドッグアリは飼育することも出来るようです。
女王アリは数日間で10個の卵を産みますので、卵や蛹の状態のブルドッグアリを観察することも出来ます。
卵から蛹まで、通常より、すべてがジャンボサイズのアリは飼育していても見ごたえがあります。
インターネットなどではブルドッグアリの女王アリが280,000円ほどで販売されていました。
興味のある方はぜひ!!
甘めのエサなどで、比較的簡単に飼育できるようですよ。
ブルドッグアリのまとめ
ブルドッグアリはタスマニアを含むオーストラリアの沿岸部に生息しているキバハリアリの別名。
乾燥地帯を好む原始的なアリで、地下に巣を作り社会性のある生活を営んでいる。
長い大顎を持ち、スズメバチでさえも一匹で捕らえることが出来るほど。
後腹部に毒針を持ち、人間でも30か所程刺されると死に至ると言われている。アナフィラキシーショックを起こすこともあるので、注意が必要。
(ライター ナオ)