家の近くに山があると、冬から春先にかけて一体どこから入ってきたのか、家のあちこちでお目にかかることも多いカメムシ。
体に触ると強烈な臭いを放ちます。一度でもあの臭いを嗅いだことがある人は決してカブトムシやクワガタの様に、カメムシを好きになることはありませんよね。
でも、この臭いだって、彼らが生物として生きていくための防御反応だったりするわけで・・・。
カメムシの強烈な臭い
カメムシのお腹部分には臭いを出す臭腺が存在します。
敵に襲われそうになった時彼らはそこから強烈な臭いの液を出します。
その成分はアルデヒドやエタノール酢酸などですが、この液体は実はカメムシたちにとっても有害な成分。
この液体から身を守るためにカメムシの体はしっかりとエナメル質で覆われているというわけ。
この悪臭、前述したように自分の身に危険を感じた時に体から出すものなので、例えばそうっと指先にまるでテントウムシの様にのせてあげて、他の場所へ移動させた場合には全く出さないものなんです。
人の暮らしとカメムシ
一口にカメムシといっても日本だけでも実に多くのカメムシが存在します。
人の暮らしとのかかわりでいえば、農作物の害虫としても、また全く逆に益虫としても有名。
例えばアオクサカメやクロカメムシはせっかく実った若いコメの籾について成分を吸い、米を茶色くしてしまったり、稲の葉部分について葉や茎の汁を吸ってしまったりという悪さをします。
一方でアブラナ科の植物などに大量につくアブラムシなどにとってはハナカメムシなどの肉食のカメムシは天敵なので、人間にとっては便利な益虫です。
注意したいのは、危険なカメムシもいるということ。
臭いだけではなく、うっかり触ってしまうと刺してくるカメムシもいるので要注意です。
サシガメというカメムシは刺されるとハチよりも痛いとか。
カメムシの大量発生
冬のあいだ葉の下や家屋の朽ちた木などに身を隠してひっそりと生き延びたカメムシたちは、春、温かくなると食べ物のある植物のある方へ移動します。
こうして栄養を補って、体力をつけて、繁殖の時期を迎えます。
夏の暑い時期に交尾と産卵を終えると彼らは短い生涯を終えていくのですが、秋には夏に産み落とされた新しい命が、幼虫から脱皮を繰り返して成虫になって現れます。
我が家の畑にいるカメムシたちは実にかしこく、人がくるとさっと葉の裏にかくれたり、身を隠したりします。
まあ、ちょっと鈍いカメムシたちのおかげで植物の葉をひっくり返すと大量発生したカメムシを発見したりすることになるのですが。
カメムシの大量発生と豪雪
一部では都市伝説の様に、「カメムシが大量発生した都市は豪雪になる事が多い」ということがいわれているらしく、実際に民俗学の分野ではカメムシの大量発生と降雪量の関係を取り上げることも多いようなのですが、実際に科学的に正確なデータとしては存在していないらしい。
最も、近年の日本の気候を見ていると、そんな長年の言い伝え的な伝説も今はどこまで当てはまるのだろうという気はしないでもないのですが・・・。
しかし、そうはいっても先人たちの感覚には一目おきたいものです。
地元の人が「今年はカメムシが多い」と感じた年には確実にその地域の冬の間の降雪量が多くなっているという統計結果が発表されていて、単なる都市伝説ではないというのも確かのよう。
これは・・・出来れば敵である人間の目に付かないところで生きていたいカメムシたちが、やむを得ず人間の目に付くところに出てきて餌を食べ、体力をつけなければいけないほど、その冬は豪雪になり雪解けが遅くなるということを示唆しているのかもしれないと勝手にカメムシの気持ちになって推測するわけです。
(ライター ナオ)