いや~な匂いを放つカメムシ、駆除をしようにも下手に刺激してしまうと異臭を出してしまいこっちがまいってしまいます。
そんなカメムシですが時期によっては大量発生をして壁や窓ガラスに多数張り付いているのを見たことがある人もたくさんいると思います。
こんなバッドタイミングに外で洗濯物を干していると、想像するにたやすい悲劇が待っています。
このカメムシ大量発生、ちゃんとした理由があって、実は私たち人間の行動も関係しているのです。
ではどのような背景があって大量発生をしているのか、またカメムシの生態についても説明していきます。
カメムシの生態
一概にカメムシといってもその種類は豊富で、実に100種を超えます。
しかし一般に良く見る種類はアオクサカメムシという鮮やかな緑色をしたカメムシです。
種類にもよりますが、主に草食で食料は植物や果実であるため、私たちが育てた果物や植物等が食べられてしまうといったこともあり、害虫としても扱われます。
そしてカメムシの一番の特徴と言えばやはり臭いことでしょう。
普段から常に臭いわけではなく、外部から刺激を受けることにより自己防衛のために、臭い液体を分泌するのです。
たかが匂いですが、実際私たちもカメムシのその性質のためにうかつに手を出せなくなっていることからも、有効な防衛方法であると言えるでしょう。
カメムシの繁殖時期
カメムシのライフサイクルは、おおよそ春ごろに繁殖期となりその後産卵期を迎えます。
そして夏から秋にかけて一番活動が盛んになり大量発生の可能性が高まります。
しかし秋となり気温が下がってくると冬を超えるために活動を抑え始め、冬にはほぼ活動を停止します。
しかし残念ながらカメムシの寿命は人間の感覚で言うと非常に短く約一年、長くても二年程度であるため冬を超えるのも人生で一回か二回となります。
では寿命の短いカメムシがどのような成長過程を歩むのかというと、初夏に産卵された卵は約半月で孵化し、その後脱皮をすることで成虫へと成長していきます。
成虫になるまでの期間はだいたい一月と言われており、成虫になってからは一年程度しか生きられません。
大量発生の原因
カメムシが大量発生する原因ですが、家の周囲に木々や雑草が多いといった局所的な理由以外に、大量発生の根源となっているのが造林によるものです。
造林とは、人間が人為的に、ある目的のために木を植えて育てることを指し、日本の場合戦後の復興などを機に始まりました。
復興と、経済的にも大きく発展を遂げている時代であったため、それに伴って木材の需要が急増して主に針葉樹を植えていったのです。
針葉樹を選んだ理由には、その加工のしやすさがあります。
広葉樹に比べると真っすぐと成長し、重量的にも軽いため扱いが容易だったのです。
しかしながらその造林ブームの後には植えすぎた木々による環境問題の発生や、作業者の不足などによって、手に負えなくなってしまった地域すら出てきました。
その問題の一つとしてカメムシの大量発生があるということです。
カメムシはスギやヒノキといった針葉樹を好むため、造林によって居場所を与えてしまったことになり、繁殖を促す結果となりました。
カメムシの大量発生とヒト
私たちはときにカメムシを害虫として扱い大量発生時には嫌悪を示し、その存在を排除しようと努めますが、その背景には私たち人間の行ってきた行動が密に関係していたのです。
過度に自然のバランスを崩すことは生態系に影響し、それは当然に人間も例外ではなく、この場合においても間接的に私たちに影響が出てきています。
それでもカメムシが生活圏内に侵入されるのが嫌なのはどうしようもないため殺虫剤などを使いますが、根本的な改善を求めるには自分たちの、環境に影響を及ぼすような行いを見直していく必要がありそうです。
そのことが互いに同じ地球を生きている生物として、上手く共存していくために心がけないといけないことなのです。
(ライター yuki)