セアカゴケグモは、ヒメグモ科に分類される小型のクモです。
オーストラリア原産のクモですので、本来は日本国内には存在しません。
外来種として平成7年に大阪府高石市で発見されて以来、近畿地方を中心に繁殖し、その生息域を拡大しています。
セアカゴケグモはメスだけが毒を持つ!
セアカゴケグモは毒グモとして有名ですが、実際にヒトに被害をもたらす毒を持つのはメスのみです。
セアカゴケグモのオスは毒を持たないとされていますが、実はあまりよくわかっていません。
かなり小型であるので実際に毒を持っていたとしても、その小さなアゴでヒトの皮膚を食い破るのは不可能であると考えられています。
セアカゴケグモの毒はキングコブラより強かった!
セアカゴケグモのメスの持つ毒の強さは、マウスのLD50値(半数致死量)で0.9mg/kgです、これはキングコブラ(1.7mg/kg)よりも強く、マムシの22倍にもなります。
ただしセアカゴケグモの身体は小さく、一度に注入できる毒量は多くありませんので、ヒトを咬んでも重篤な症状に至ることはほとんどありません。
また性格もおとなしく、積極的に咬みつくことはないようです。
オーストラリアでは死亡例もある!
セアカゴケグモの毒は『α—ラトロトキシン』と呼ばれる神経毒で、獲物に咬みついた時にその体内へ注入されます。
原産地のオーストラリアでは古くから毒グモとしてよく知られており、注入量はわずかでも猛毒ですので、実際に死亡例もあります。
咬傷事故に際しては抗血清が有効で、オーストラリアの医療機関では用意されているそうです。
セアカゴケグモの咬傷被害は激増中!
日本国内での咬傷事故は報告されていますが、現在までに死亡者、重篤者は出ていません。
ただし国内での繁殖が増え、咬傷被害も激増していますので要注意です。
万が一、セアカゴケグモに咬まれた場合には、必ず医療機関を受診してください。
ただしセアカゴケグモは、おとなしく攻撃的ではありませんので、直接触れたりイタズラしたりしない限り、積極的に人を咬むことはありません。
セアカゴケグモは性的二型だった!
セアカゴケグモは、オスとメスでは体格や体型がかなり異なる性的二型です。
メスの体長は10ミリほどですが、オスはその半分以下の3~5ミリほどしかありません。
メスの体型は丸く、体表は黒色ですが、背中にひし形が二つ並んだ赤い模様、腹面には砂時計型の赤い模様がそれぞれ入ります。
オスの体型は細く、体色は褐色がかっており、背中にメスのような赤い模様はありません。
ただし腹面にはメス同様の砂時計型の赤い模様が見られます。
セアカゴケグモのメスは2~3年も生きる!
セアカゴケグモのメスは、孵化してから成体に至るまでに100日ほどかかりますが、オスはもう少し早く、孵化から2~3ヶ月で成体に至ります。
メスの寿命は2~3年ですが、オスの寿命は6~7ヶ月と短いのです。
これは、交尾後にメスに捕食されてしまうことが原因です。
セアカゴケグモは、アリ、ゴミムシ、ハサミムシなどの昆虫類を捕食しますが、その毒で麻痺させて小型の爬虫類を捕らえることもあります。
セアカゴケグモのメスは巣を張る!
セアカゴケグモのオスは、巣を作らずに徘徊しながら小型の昆虫などを捕食します。
メスは巣を張り、フェロモンを発してオスを誘引します。
交尾後にメスはオスを捕食してしまいます。
メスは、その生涯に最大で5千個の卵を産み、巣網の中に多数の卵を糸で包んだ卵嚢を保持しています。
セアカゴケグモの天敵とは!?
セアカゴケグモの天敵として、同じクモ類のクロガケジグモやユウレイグモ、カゲロウなどが挙げられます。
またヒメバチ科の昆虫は、セアカゴケグモに卵を産み付けて寄生し、最終的に食い殺されてしまう捕食寄生者でもあります。
セアカゴケグモの天敵のまとめ
最近発見されたセアカゴケグモの天敵がいます。
こちらも外来種なのですが、クモバチの一種の『マエアカクモバチ』です。
マエアカクモバチが、セアカゴケグモを捕食していることが国内で確認されていますので、日本国内ではセアカゴケグモの新たな天敵として、その存在が注目されています。
(ライター オニヤンマ)