皆さんは「蛭に塩」という諺があるのをご存知でしょうか?
これは、恐ろしいものや苦手なものにあって縮み上がることの例えなのだそうですが・・・・。
ヒルの生態
ヒルは環形動物門ヒル網に分類される生物の総称です。
体の前端に口があり、後端に肛門があります、この両方に吸盤がついていて、捕食と運動にもこの吸盤を用いています。
体長は0.2~40㎝ほど。
色々な種類がいて基本的には淡水に生息していますが、陸用や海水性のものも存在しています。
ある種類のヒルは外鰓を持つ持っているものもいるのだそう。
表面にいくつものしわのような線があり、これは一見体節のようにも見えますが、実際の体節は34程。
体前方の背面には表面が窪んだ眼点があり、ここが光の強弱を感じるセンサーになります。
肉食で小動物を捕食しますが、大型動物の血を吸うものもいます。
カイビルというヒルは体長が1㎝以下で巻貝などに頭を突っ込んで血を吸います。
また、ヤツワクガビルは体長が50㎝ほど。全体的に黄色く黒の縦筋が入るヒルは40㎝もあるミミズを丸呑みにすることもあるそうです。
ヒルの種類
水田などに生息しているヒルはチスイビルと呼ばれるヒルです。
人間の血を吸血します。
現在は農薬などの使用でその数が減っていると言われています。
イノシシやシカの血を吸うのはヤマビルと言われるヒルです。
靴につくと体の上方に上ってくる習性があります。服や靴の裾や袖口などの隙間から潜り込んで皮膚に達します。
ヒルに血を吸われたら?
ヒルに血を吸われるとどうなるか?
一度でも経験のある人ならお判りでしょうが、血が止まらず、だらだらと流血し続けます。
これはヒルの唾液成分の中に凝固作用を妨げる成分が含まれているから。
痛みも感じず、毒もないのですが、流血は一時間ほど止まりません。
ヤマビルなどは他の動物等を吸血しますから、感染症などの心配があります。
ヒルと人間の関係
毒もなく、腫れたり痒みを伴ったりすることは無いヒルですが、吸血というイメージがヒルの印象を悪くしているようです。
中国の漢方の世界では昔からヒルは滋養強壮などに効くと言われていて、ヨーロッパなどでも薬として使われているようです。
インドではアーユルヴェーダでできものやひざ関節などの悪い血を吸わせるためにヒルが使われることもあるのだとか。
イメージが先行してしまっていますが、実はヒルが役に立っていることもあるということ。
ヒル対策
しかし、先述しましたが、ヒルに吸血されると感染症の心配が出てきます。
山などに入る時にはヒル対策として、ヒルの忌避剤を使ったり、一般の虫除けでもディート含有率の高いものを選んで使うようにすると良いでしょう。
塩漬けのタオルや靴下をはくという方法もあるようです。
もしヒルがついてしまったら、無理やりはがそうとするのは止めましょう。
患部に牙が残ってしまう場合があります。
そんな時は冷却スプレーで凍結させるか、タバコなどの火を近づけると自分から牙を抜いて逃げていきます。
それでもダメな時は塩をかけると良いでしょう。
殺菌作用もあるので、一石二鳥です。
消毒用のエタノールも効果的です。
ヒルに塩をかけると・・・?
ヒルに塩をかけるとどうなるのでしょう。
答えはナメクジのように縮んで死んでしまいます。
体表に塩がつくと、体の水分が一気に奪われ、脱水症状が起こります。その結果、ヒルは生きていけなくなるというわけ。
「蛭に塩をかける」の諺もまさしく、そんなヒルの様子を表現したものということになるのです。
ヒルのまとめ
ヒルには人間を吸血するタイプのものがいるが、毒はない。
吸血されると1時間ほど流血が止まらなくなる。
ヒルに塩をかけると縮んで死んでしまう。
ヒル対策には冷却スプレーや塩、ディート含有率の高い虫除けなどを活用すると良い。
(ライター ナオ)