山や森に足を踏み入れた際に気を付けなければならない「ヤマビル」。
気付かぬうちに皮膚にくっつかれ、吸血されてしまいます。
ヌメヌメとした見た目の気持ち悪さも相まって、かなり不快な生き物ですね。
今回はそんなヤマビルの天敵はいるのかどうか、そして対処法などについてもまとめていきたいと思います。
ヤマビルの生態
ヤマビルは、岩手県・秋田県以南の本州、四国、九州に分布する吸血性のヒルです。
湿気の多い山や森などを好みますが、近年では人里に近い場所での生息も多く確認されています。
体長は25mm~35mmほどですが、伸縮性があり最大で体長の倍程度まで伸びることも。
また弾力性にも優れており、引っ張っても踏んでも千切れたり潰れたりしないんだとか…。
本当かどうかは気になるところですが、実際に試してみようという気にはなりませんね。
乾燥には弱く、晴天時は落ち葉の下などにジッと隠れています。
しかし動物の接近を感知すると、草の上などに登って直立し、辺りを確認。
この時、動物の出す二酸化炭素や振動、熱などによって相手を感知すると言われています。
そして動物がヤマビルに触れると瞬時にひっつき、皮膚の柔らかいところから吸血を開始。
シカやイノシシ、クマなどの大型動物や、ウサギ、タヌキなどの小動物も吸血の対象です。
もちろん人間も対象外ではないので、ヤマビルがいそうな場所に足を踏み入れる場合には、肌を露出しないようにしましょう。
ただし、いくら長袖長ズボンで防御していても、服のすき間から侵入したり、薄手のものなら繊維のすき間から吸血される場合もあります。
吸血をされるというのはとても気持ち悪いことですが、蚊やマダニのように病原菌を媒介したりはしません。
主な被害としては、血液を2~3ml吸われることと、吸われてから2時間程度は少量の出血が止まらないことです。
噛まれる際に唾液に含まれる麻酔成分も注入されるので、痛みはほとんど感じませんが…傷の治りは遅く、酷い場合は1年以上完治しないこともあるそうです。
大きな危険があるわけではありませんが、ちょっと厄介なのでできることなら噛まれたくはありませんね。
ヤマビルの天敵・退治方法
そんなに体が大きいわけでも、毒があるわけでもないので、天敵もたくさんいそうなヤマビルですが…
じつはヤマビルにはこれと言った天敵はいません。
イモリの胃の中からヤマビルの死骸が出てきた例もあるそうですが、日常的にヤマビルを捕食しているのかどうかはハッキリとしていないそうです。
そういうわけで、今のところ敵なしのヤマビルですが、人間の手にかかれば対処することも難しくはありません。
吸血されないための対策としては、以下のようなことが挙げられます。
- できる限り衣服や靴のすき間を無くす
- 厚手の靴下や衣服、つばの広い帽子を着用する
- 塩水や虫除けスプレーを吹きかけておく
- 立ち止まらない、ゆっくり歩かない
特に雨の日や雨上がりにはヤマビルのいそうな場所に近づかないほうがいいですが、どうしても近づかなければならない場合はきちんと対策をとりましょう。
しかししっかりと対策をしていても、噛まれてしまうことはあります。
そんな時は、決して焦ってヤマビルを引っ張ったりはしないでください。
吸引力がとても強いので、無理に引っ張ると傷跡が残ってしまうことがありますし、そもそも引っ張ってもなかなかとれません。
まずは落ち着いてピンセットなどで軽くつまみ、消毒用アルコール、塩、虫除けなどをかけると簡単にとることができますよ。
煙草を吸う人は、煙草の火を近づけるのも効果的です。
ヤマビルがとれた後もしばらくは出血するので、傷口を消毒して清潔なガーゼやハンカチなどを当てておきましょう。
ヤマビルについてのまとめ
キャンプやハイキングなどの時は、動きやすさや気候を重視して服装を決める人がほとんどだと思います。
しかしそれだけではなく、ヤマビルへの対処も少し考慮してみてはいかがでしょうか。
ヤマビルに噛まれてしまうと、楽しい気分も台無しになってしまいますからね。
(ライター もんぷち)