山歩きをしたことのある人はすでに皆さんご存知でしょう。

小さいくせに厄介なヤマビル。

山に入る時には、ダニやクマと共にこのヤマビルにも注意が必要です。

ヤマビルの特徴

ヤマビルは顎ヒル目ヒルド科のヒルの一種です。山野で人を含む大型の哺乳類を攻撃します。

吸血性のヒル類としては日本本土で唯一の陸生ヒル。

 

山奥の森林に生息し、特に湿潤な場所に多く、古くは深い森と結びつけて恐怖をもって語られていた生物でもあります。

しかし、昨今は人里でも見られるようになり、その生息域の拡大が言われています。

 

体長は25~35㎜で伸び縮みが激しく、倍くらいまで伸びます。

ある報告書では弾力性があり、丈夫で引っ張ってもちぎれず、踏みつけても潰れないと表現されるほど。

 

体は中央後方で幅広くなり、前後に細くなるナマコ型をしており、多少腹背に扁平です。

体表はおおむね茶褐色で栗色の縦線模様があり背面の表面には小さなこぶ状の突起が多くあります。

 

体は細かい体環に分かれていますが、実際の体節はその数個分しかありません。

第二節から第五節までと、八節目の背面に丸く突き出た眼が一対ずつあります。

 

後方側面に耳状の突起があり、吸盤は前端と後端にあり、後端のそれがずっと大きいのが特徴です。

口の中の顎には細かな歯があり、肛門は吸盤の背面にあります。

ヤマビルの習性

ヤマビルは晴天時には地上の落葉の下などに潜伏してじっとしていますが、大型動物が接近すると表に出て体を長く伸ばして直立し、先端をあちこちに振り回すように動かし、動物の存在を二酸化炭素や振動、熱などによって感知しようとします。

動物に触れるとすぐにとりつき、前後の吸盤で尺取り虫のように移動し皮膚の柔らかい所に取り付いて吸血を始めます。

 

一般にはシカやイノシシが主な宿主とされていますが、他にもツキノワグマ、ノウサギ、タヌキ、ニホンカモシカ、日本ザルなども吸血されることが確認されていて、ヤマドリや生地が吸血対象となった例もあるようです。

 

吸血の際にはまず先端側の吸盤にある口の中の顎によって皮膚を食い破り血液凝固を阻止するヒルジンという成分を注入します。

約1時間で満腹になり大きく膨れ上がるまで吸血し続け、その間に水分を排出して体内で成分を濃縮します。

満腹になると動物から離れ、地上に落ちて落ち葉の下などに隠れ、大抵そのタイミングで脱皮をして産卵します。

ヤマビルの発生時期と人間の被害

ヤマビルが人間の血を吸血する場合は衣服の中に入り込んで吸血する場合もありますが、目の粗い靴下などを履いていれば頭を隙間から突っ込み、吸血する場合もあります。

活動期間は房総半島においては4~11月とされ、特に梅雨や秋雨の頃の活動が活発になります。

 

活動が活発な時期は樹上に登って枝は野先からぶら下がり、動物のより高い所にくっつくこともあります。

一回の吸血量は産卵をするような生態でも2~3ml程度ですが、離れた後も出血するので出血量とすればそれよりも多くなります。

 

咬まれてもヒルの唾液に麻酔成分が含まれているので痛みは感じませんが、ヒルが離れた後の出血が2~3時間程続く場合もあり、時には一旦止まっても再び流血するなどの事例があり、極端な例では2年に続くこともあるそう。いずれにしてもヒルに吸血痕は治りが遅いのが特徴です。

ヒル対策

ヒルにつかれたことに気づいた場合はアルコールや火を近づけると自ら落ちていき、塩や塩分濃度の高い液体、もしくは食酢のような酸性の液体をかけることも有効です。

食塩を入れた布をヒルの進行を防ぐような形で足首に巻きつけておくという予防方法もあります。

 

吸血されてしまった時は化膿止めをしておくと良いでしょう。

ヤマビルが媒介する寄生虫や病原体は今のところ知られていません。

(ライター ナオ)

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