山登りをする方なら、何度かご対面したことがあるかもしれないヤマビル。
名前の通り、ヒルの一種なのですが、こいつにやられるとびっくりするようなことが起こってしまいます。
ヤマビルの特徴
ヤマビルは北は秋田県、南は沖縄県まで広い範囲に分布しています。
円筒形をしていて、体長は2~5㎝程。伸びると5~7㎝にもなります。
赤褐色で背中に3本の黒い縦筋があり、雌雄同体。
体の前後で腹面に吸盤があり、ほふく運動で人や動物に接近して付着します。
落ち葉の下などの湿気の多い場所を好み、活動期は4~11月までで、特にヤマビルの生息や活動に最も適した6~9月は生息密度も高くなり、活動も活発です。
人や動物の吐く二酸化炭素や体温、足音や体臭などを感知し、1分間で1m程度移動します。
時には木から落ちてくることもありますが、大抵は足から這い上がってくるような感じ。
前吸盤には3つの口を持っていて、それぞれに約80の歯があります。
吸血する時にはモルヒネのような物質と血液凝固を防ぐヒルジンを分泌するので、人間は吸血されても全く痛みを感じず、気づいたら血がタラタラと流れていたということになります。
産卵のために吸血が必要で、吸血後は2週間ほどで産卵をします。
一度に体重の10~20倍ほどの血を吸い、吸血時間は1時間程度です。
一度吸血すると一年以上は生存が可能になります。
寿命は3~5年。
ヤマビルに吸血されたら
ヤマビルに吸血されるとびっくりするほどの血が流れます。
血液凝固を防ぐ物質が含まれているので、なかなか血は止まりませんが、命に別状はありません。
放っておくと5時間も6時間も血が止まらないこともあり、びっくりしてしまいます。
まず、ヒルを取りはがします。
無理にはがすと噛みつかれたところの傷が深くなってしまうので、タバコの火や塩、サロンパスや金柑などを近づけて、自然に自分から離れるように仕向けるのが得策です。
ヒルが皮膚から離れたら、石ですり潰すか、焼く、もしくは殺ヒル剤をかけて殺します。
踏みつぶしただけでは靴の裏にくっついてしまい、死なないでいずれ登ってきてしまうので、必ず殺すようにしましょう。
傷口は指でつまむかリムーバーなどで血を押し出すように絞り出し、水で洗います。
虫刺されやかゆみ止めの薬を塗って、カットバンを貼れば多少赤く腫れることはありますが1~2週間程度で治ります。
稀に化膿したり、熱が出ることがあるので、その時は病院へ行くようにしましょう。
ヤマビルは全国的に生息していますが、埼玉県、大阪府、福井県、石川県、青森県、北海道、山口県、北部九州、四国では被害は確認されていないようです。
また、ヤマビル以外にもチスイビル、ヌマビルなどは吸血し、更に体内に潜り込んで吸血するハナビルという種類も存在します。
ヤマビル対策でできること
ヤマビルを予防するためには市販の虫除けスプレーやヤマビル専用の忌避剤を使います。
また、靴下に塩を擦り込んでおいたり、タイガーバームを靴の足首に塗っておくというのも良い方法です。
少し臭いですが、木酢液なども効果的です。
靴下の上からでも吸血されますが、ストッキングの上からは遷移が邪魔して吸い口から空気が漏れてしまうので、吸い付くことが出来ないのだそうです。
肌の露出は絶対避けること。手首や足首などのヒルの入りそうな隙間はしっかりとガムテープでぐるっと止めてしまいましょう。
防止、手袋、首周りにはしっかりとタオルなどを巻き、衿の辺りからヒルが入らないように注意しましょう。厚手の靴下や長靴なども有効です。
小さなハサミなどを腰からぶら下げ、見つけた時には半分に切って殺してしまいましょう。
(ライター ナオ)