モウセンゴケは、観賞用として人気の高いポピュラーな植物の一種です。
街のお花屋さんやホームセンターなどで、頻繁に目にすることができます。
珍しい習性をもっていながら、飼育は簡単。
今回は、わたしたちにとって最も身近な食虫植物であるモウセンゴケについて、ご紹介していきます。
モウセンゴケってどんな植物?
モウセンゴケは、ナデシコ目モウセンゴケ科に属する多年草の食虫植物です。
多年草とは、複数年にわたって生息することができる植物のことで「多年生植物」とも呼ばれます。
逆に、一年で枯死してしまう植物は「一年草」または「一年生植物」と呼ばれ、代表的なものにアサガオやヒマワリなどがあります。
モウセンゴケは、漢字で「毛氈苔」と表しますが、実際には苔の仲間ではなく、種子植物に分類されます。
「毛氈」とは、フェルトを意味する言葉です。
モウセンゴケは日当たりが良いところで生育すると、粘膜が赤く色づきます。
赤く色づいたモウセンゴケがあたり一面に密生している様が、まるで毛氈(フェルト)を敷いたように見えたことから、「毛氈苔」と呼ばれるようになったといわれています。
モウセンゴケの生態
前述したように、モウセンゴケは食虫植物です。
多くの植物と同じように光合成も行いますが、虫を捕食して栄養分を補給する習性をもっています。
モウセンゴケの葉の表面には「腺毛」と呼ばれる長い毛のような器官がたくさん生えており、その先端から甘い香りを発する粘液を分泌して、養分となる虫をおびき寄せます。
獲物がひとたび腺毛に触れると、その周囲の腺毛までもがじわじわと獲物に忍び寄り、たくさんの触手で絡め取るかのように、獲物をがっちりと抱え込みます。
最初に腺毛に触れてから、わずか15分あまりで獲物は息絶えてしまうそうです。
その後で、モウセンゴケはゆっくりと時間をかけて獲物から栄養分を吸い取ります。
モウセンゴケが昆虫を捕食する様は、さながらホラー映画の一幕のようです。
モウセンゴケの種類
現在、地球上で確認されているモウセンゴケの仲間は、およそ200種類にも及びます。
あまり知られていませんが、モウセンゴケは日本にも生息しています。
北海道から南西諸島に至るまで、日本全土の湿地帯に自生していますが、いずれも絶滅危惧種または準絶滅危惧種に指定されています。
また国内にはモウセンゴケ以外にも、コモウセンゴケやトウカイコモウセンゴケ、ナガバノモウセンゴケやサジバノモウセンゴケなどが生息しています。
モウセンゴケと人間との関わり
前述したように、モウセンゴケは観葉植物として高い人気を誇っています。
ショップで流通するモウセンゴケは、アフリカナガバモウセンゴケという南アフリカ原産のものが主流となっていますが、非常に丈夫な種であるため、日本の気候でも容易に栽培することができます。
モウセンゴケの育て方
モウセンゴケは湿地帯に自生する植物であるため、常に水を吸うことのできる環境を用意する必要があります。
そのためには、モウセンゴケを植えた鉢の下に、水を溜めた受け皿を置くとよいでしょう。受け皿の水は定期的に新鮮なものに取り替えます。
用土は水苔が適しています。水苔は一年に一度は新しいものと交換してください。
モウセンゴケは暑さ寒さともに比較的強いため、それほど神経質になる必要はありません。
人間が過ごせる気温なら問題ないと考えてよいでしょう。
モウセンゴケの栽培には、直射日光の当たらない明るい日陰が適しています。
気温の低い冬場には自然と休眠しますが、モウセンゴケは生きていますので、受け皿の水換えを怠らないように注意が必要です。
日本にも生息する身近な食虫植物、モウセンゴケについてご紹介してきました。
みなさんもモウセンゴケの美しい姿を、是非その目で確かめてみては如何でしょうか。
(ライター:國谷正明)