ユメのようなナマコ!?
それって中華料理の干しナマコが高値で売られるから、干しナマコを作れば一獲千金を狙える、夢のナマコだっていうこと!!??
いやいやいやいや、誰ですかそんなこと!!そんな下世話な話じゃないんです!!!
深海の話。まだまだ神秘に包まれた深海のお話です。
深海で、まるで夢のようにフワフワと浮遊しているピンクのナマコのことなんです。
夢の様に浮遊しているからユメナマコ!?かどうかは定かではありません・・・
ユメナマコって?
ユメナマコは体長25㎝ほどで、400~5500mほどの深海に生息している透明なナマコです。深海では優占種として幅を利かせているナマコの一種。
ユメナマコの生態
ユメナマコは全身が透明で、子供の頃はピンク色をしています。大人になるにつれ、大人っぽいワインレッドに変化します。
普段はヒレを使って海底と垂直にぷかぷかと浮遊していて、エサを食べる時だけ海底に降りていきます。
全身が透明なのは敵の多い深海で、光の届かない深海の暗闇に紛れて身を守るため。
海底へも危険を避けるために、必要な時にしか降りないというわけ。
エサは海底の有機物ですが、その食事方法はとても大胆。
透明で透けている体を見てもわかるように、ユメナマコは長い消化器官をもっています。
消化器が長いということは食べたものがゆっくりと時間をかけて消化されていくということ。
ですから、食事は海底に口をつけることによって、とりあえず海底の砂を丸ごと吸い込みます。砂は消化器官を通る間にこされ、生命維持に必要な有機物だけを取り入れているのです。
危険の多い海底で食事する時間はたったの1分ほどだとか。
敵を惑わすユメナマコの外皮
ユメナマコの外皮には無数の発光器が散在していて、それは機械的な刺激によってキラキラと「発光します。
深海でのこの光景はさぞかし綺麗だろうと想像するのですが、ユメナマコたちにとっては、生きるための必死の行動のようで・・・。
ユメクラゲの外皮は刺激によって簡単に剥がれ落ちてしまいます。
これは、敵から襲われたときに外皮の一部を切り離して、浮遊させることによって、敵を惑わし、逃げるためだそう。
そぎ落とされてしまった外皮も発光は続けるため、敵がそちらに向かっていくことも多いのだとか。
でも、一旦傷ついてはがれてしまった外皮は・・・・?というと、これが見事に再生するのだそうです。
ナマコにもそんな能力があったんですね。
ユメナマコに寄生するポリプ
2008年の研究でユメナマコの表面にはポリプなどの小さな生物が付着していることがわかりました。
彼らはユメナマコに寄生することでより広い範囲を移動することができ、より多くの水中の有機物を食べることができるというわけ。一方、ユメナマコにとってのメリットは?
深海のことはまだ詳しくわかっていないことも多く、これが共生なのか寄生なのかは定かではありません。
ユメナマコを見たい!!
ピンクからワインレッドにかわり、ひらひらのエラをエレガントになびかせて泳いでいるユメナマコの姿、見てみたいと思いませんか?
でも、残念ながら、それはなかなか難しいことのようです。
以前、海洋研究開発機構の持つ有人潜水調査船の「しんかい6500」が岩手県沖、5.35mの地点でユメナマコの採取に成功したそうです。
生きたまま捕獲できることは珍しく、その後、新江の島水族館で数日間の展示が行われたようです。
深海の生き物は地上に引き上げた時が一番大変で、水圧がなくなることによって、口から内臓が飛び出してしまうのだそう。
お尻から注射器をいれて、体の空気を抜くなどして元に戻すのだそうですが、それにしても深海に関してはまだまだ分かっていないことも多く、生きたユメナマコを常時水族館で見られる日は、もう少し先のようです。
偶然のめぐりあわせを期待しましょうか。
(ライター ナオ)