ナマコと聞くと、居酒屋で出てくるなまこ酢や中華料理などで使われている乾燥なまこを思い出す人も多いのではないでしょうか。
センジュナマコはそんなナマコのイメージを覆す深海生物です。
センジュナマコって?
センジュナマコはクラゲのような質感とイルカのような風貌の手のひらサイズのナマコです。
脚が12本ついていて、その姿を表現して千手(センジュ)と名付けられたといわれています。
ちなみに英語ではSeaPigといい、海豚。どちらも捨てがたいしっくりとくるネーミングです。
太平洋、大西洋、インド洋の深海に生息しています。
センジュナマコの生息場所
センジュナマコは深海の泥の上を這うように生息しています。地球上の海底の半数は水深4000~6000mほどのところにあるので、センジュナマコの生息域もほぼその辺りといえます。
海底に落ちた有機物などを口元にある触手を使って探し当て、食べています。
特にクジラの死骸などが落ちてくると好んで食べるとか。
普段は群れることのないセンジュナマコですが、海底で大量にまとまって発見されるようなときは大抵クジラの死骸があるという記録も。
センジュナマコの生態
センジュナマコは半透明で、体長は12㎝ほど。テロンとした水風船のようなイメージです。
脚と触覚と触手がついていて、エサを探し当てる時は口元の触手を起用に動かして行います。
脚はチューブ状に発達していて、水圧によって太くなったり、細くなったりし、海底に沈まないように発達しています。
甲殻類や寄生虫の餌食になることも多々あり、ぷよぷよとした感触は特に、甲殻類の大好物だそうです。
甲殻類の好物と言えば、アメリカのモントレー湾で行われた研究で、センジュナマコ2600匹を調査したところ、その4分の1の個体にタラバガニ科の幼体がくっついていたのだそう。
でもこれは、センジュナマコをエサにしていたわけではなく、彼らにくっつくことによって、敵から身を隠していたのではないかと考えられています。
いずれにしても、甲殻類との相性は良いようです 。
センジュナマコのいる深海って?
深海についての研究はまだまだ未知な分野です。
水深200mより深い部分を一般的には深海と呼んでいます。
研究者によってその数値に多少の違いがあるようですが、1000mを超えると光が弱くなる弱光層となり、3000~6000mの地点になると光はほぼ遮断され、水温も0度以下になります。
センジュナマコはそんな環境の中で進化した生物なのです。
しかも、水深6000mではナマコは優占種となり、深海は似たような形態の変わった形をしたナマコたちのパラダイスだそう。
深海の研究は、技術開発が遅れていて、まだまだ未開な分野だそうです。
実際にわかっていることも少ないのが実情で、研究者の間では、宇宙よりも深海の方が難しいと言われているのだとか。
そんな中、近年の調査では、短時間の調査にも関わらず、100を超える新種が発見されたという報告もあります。
これからまだまだ新しい発見がありそうで楽しみな分野なのです。
SNSで話題のセンジュナマコ?
独特の風貌から、センジュナマコが可愛らしいとSNSなどで話題になっています。
手のひらに乗るサイズと攻撃的ではない性格?シンプルな色合いとフォルムは生きもの好きの女子たちの心をくすぐるのかもしれません。
どこか、宮崎駿のアニメ、ナウシカにでてくるオウムを思わせるような、ファンタジックな雰囲気も人気の秘密なのでしょうか。
センジュナマコをモチーフにしたTシャツやぬいぐるみなども販売されていて、確かになんだか可愛いかも・・と思ってしまいます。
また、「センジュナマコたん」というゲームのキャラクターもいるようで・・・
深海の分野はこれからどんどん広がりを見せていくのかもしれません。
(ライター ナオ)