巨大な海洋生物、コロッサル・スクイッド
超巨大なイカとして有名なダイオウイカをはるかに上回る大きさ!!にも関わらず世間ではあまり知られていないちょっと気の毒なイカなんです。
コロッサルスクイッドって?
英名でコロッサルスクイッド、和名ではダイオウホウズキイカという、この生きもの。
コロッサルスクイッドという名前の「コロッサル」は古代ローマ時代の巨大な円形闘技場のコロシアムからきています。
つまり、大きなとか巨大なという意味で使われている言葉。
まあ、言ってしまえば巨大イカということです。
南極海の深海2000mほどのところに生息していて、2003年に見つかった幼体の体長は12~14m(推定)。
幼体でこの大きさですから、成体はダイオウイカをしのぐ大きさということが予測されるわけです。
コロッサルスクイッドの生態
コロッサルスクイッドは100年ほど前からその存在が確認されていた超巨大なイカですが、その生態ははっきりしないままでした。
近年の研究により、色々とわかってきて、深度2000m付近をフワフワと浮遊し、流れてきたエサを捕食しながら生活していることや普段は代謝を抑えた生活をしているらしいことが明らかにされています。
代謝に関しては、体重500kgほどのイカが5kgの魚で200日も生き延びられたという記録があるほど。
最低限生命維持に必要なエネルギーだけで生きると、それぐらい燃費の良い生物だということです。
天敵はマッコウクジラと言われていて、マッコウクジラの胃袋から全体の14%の個体を占め、重量でいうと77%を占めるコロッサルスクイッドが確認されたのだそう。
確かに、あの巨大イカを仕留められるのはマッコウクジラくらいなのかもしれません。
マッコウクジラと戦うコロッサルスクイッド
コロッサルクイッドの触腕には猫の足についているような鉤爪がついていて、敵に襲われたときや獲物を捕らえる時にはこの爪が活躍します。普通のイカについている吸盤の代わりが鉤爪というわけ。
触腕というのは、通常イカの足、つまり私たちがゲソと呼んでいる部分の、背中側からお腹にかけてある4対の腕の3番目と4番目の間にあるもので、10本のうち、触腕だけが他よりも長く、昆虫でいうところの触角的な役割を果たしています。
この触腕がコロッサルスクイッドの場合は強力な武器になるということのよう。
マッコウクジラの体表に、鉤爪でひっかかれた跡が何か所も残っていたらしいので、深海では生死をかけた相当なバトルが繰り広げられていると考えられます。
コロッサルスクイッドの研究
深海に生息する生物の研究はまだまだ課題を抱えていて、謎の部分が多いのが実情です。
コロッサルスクイッドもこの体の大きさですから、深海から引き揚げた時には自らの体重で体が変形し、すぐに死んでしまい、その後数時間のうちに腐敗が進んでしまうのだそう。
2007年の2月に見つかった未成熟のコロッサルスクイッドは、珍しく生きたままの状態で引き揚げられたそうで、その体長は7.92m、体重は494kg、目玉の直径も28㎝もあったそうです。
同年3月からはニュージーランド国立博物館でほぼ完全な状態の生物標本として展示され、私たちも見ることができます。
2014年に捕獲された推定3.5mほどのコロッサルスクイッドも同じ博物館に冷凍保存されているそうです。
地上ではまだ、この博物館にしかコロッサルスクイッドは存在していないということなので、ぜひ本物を見たい方はニュージーランドまで。
ちなみに、こんなに大きいイカ、イカリングにしたら…なんて考えている方はいませんか?
彼らの組織には、巨大な体を支える浮力を得るために、大量の塩化アンモニウムが含まれているそうで、これは食べた時には結構なえぐみを感じるのだそう。
美味しいイカポッポや巨大なイカリングはちょっと無理な話かもしれませんね。
(ライター ナオ)