ユムシは中型の魚の白子のような形をしている、ちょっと不気味な生き物です。
見た目、とても原始的なシルエットなのにちゃんと口や肛門、もちろん内臓もあるんですよ。
ユムシって?
ユムシは全国の浅瀬や潟などの浅い海域の砂の中に生息しています。
古くから北海道では食用として食べられていたそうで、その独特のフォルムからか、各地に独自の呼び方があります。
例えば北海道ではルッツ、和歌山ではイイ、九州ではイイマラなど。
食材として一般的に出回っている韓国ではケブルというそうです。
ユムシの種類
ユムシには多くの種類がいて、浅瀬に生息するものだけでなく、深海に生息するものもいます。
大きさも数センチ~十数センチのもの、最大で2mに及ぶものも存在しているようです。
白いテロンとした風貌で2mって‥‥…想像すると不気味の範疇を超えています。
ユムシの生態
ユムシは体の中が大きな体腔となっていて、先端にはくちばしがあり、その付け根に口があります。
つるっとしているように見えますが、実は全体にわずかな剛毛が生えています。
お腹部分は粘性があり、この部分に微生物の死骸や排せつ物などの有機物を付着させ、それを口まで運ぶことによって接食しているのだそう。
濁った水槽などにユムシを入れておくと、どんどんと水がきれいになる現象がおこるそうで、それはこんなユムシの食事方法にあったのかもしれません。
お掃除も上手なんです。
必要以上に有機物を付着させすぎて、それが大きな塊のようになってしまったときはそのまま粘着液と一緒に流してしまうのだそう。
これを糞と間違える人も多いそうですが、これは偽糞と呼ばれます。
通常は浅瀬の砂地にU字型の穴を掘り、干潮時はその穴に隠れることで身を守っています。
こんな原始的なフォルムなのに、オスとメスは別の個体で、体外受精によって子孫を増やします。
口から繋がる内臓は体内で湾曲しながら肛門へと続き、肛門付近の直腸の端っこには腺がついています。
ユムシって食べられるの?
日本では現在でも北海道の一部、韓国では日常的に食べられているユムシ。
北海道においては、日常的というより珍味の扱いですが、韓国では刺身や串焼き、ホイル焼きなどごくごく一般的な家庭料理として食べられています。
臭みや苦みは一切ないのだとか。
他にも酢味噌和えや煮物、干物など、食べ方は無限のようですよ。
ミル貝に似た味がして、食感もコリコリとしているのだとか。見た目とは裏腹にアミノ酸が豊富に含まれているので、見た目以上に美味のようです。
さばき方ははさみで口から肛門にかけて一気に切り開いて中の内臓を洗い流すという、ナマコをさばくときのような方法がおすすめ。
何度も言いますが、こんな体でもしかりと体液や内臓や血はあるんです。
原則、流通はしていませんが旬の時期は冬だそうです。
釣り餌としてのユムシ
日本ではユムシは釣りの餌としての役割が大きく、一匹100円程度で販売されています。
使うときは一匹まんま釣り針に引っ掛けて使います。
口から針を入れて、お腹あたりから針をだすという単純な方法ですが、実際コリコリとした硬さがあるのと、大きいので、小型の魚には向かないようです。
一匹100円もするので、カレイやヒラメ、アイナメ、クロダイ、マダイなどの底の方にいる大きな魚を狙う時に使う高価なエサです。
釣り好きの人の中には余ったユムシを持って帰って、水槽で飼う人もいるよで・・・・好きが講じると不気味なユムシも愛らしく可愛いい存在に見えるようです。
釣りの好きな方もそうでない方も、ユムシを一度は食べてみたいと思った方は干潟へGO!!です。
新しい味覚の発見があるかもしれません。行かれる際は自己責任で。
(ライター ナオ)