あまり聞きなれない名前でしょうが、それもそのはず。日本には生息していないハエの種類です。
でも・・・その名の通りヒトのヒフに寄生するハエ‥‥・想像しただけでぞっとしませんか?
ヒトヒフバエ(ウマバエ)ってどこに生息しているの?
ヒトヒフバエは主に中央アメリカや南アメリカに生息しているといわれているヒフバエ科のハエです。
日本には生息していないのですが、1996年時点で13例ほどの症例があるとかないとか。
まんまん万が一輸入されたヒトヒフバエに寄生されてしまった時の為にちょっと馴染みのないハエのことを知っておきましょう。
ヒトヒフバエ(ウマバエ)の生態
ヒトヒフバエは人間だけでなく、大型の哺乳類などにも寄生します、でも成虫が人に寄生することはありません。
彼らは人の血を吸血するメスの蚊や刺しバエ、ダニなどのお腹部分に体をこすりつけて、彼らの体に卵を産み付けるんです。
蚊や刺しバエが人間の皮膚を狙って攻撃する時、ちょうどお腹部分が動物や人間の皮膚にあたって、その時に自然と寄生相手である大型の哺乳類に身を移すというわけ。
人の皮膚の程よい熱によって卵は孵化します。そして、この時に蚊やハエたちが吸血の際に開けた皮膚の穴から体内に潜り込んでいくのだそうです。
人や動物の体内に侵入するまでの時間は1時間ほど。
体内で2度の脱皮を繰り返し、本幼虫になると、なんともグロテスクな風貌になります。
茶色の徳利状の芋虫のような形に黒のとげとげがぐるりと周囲を囲むように生えます。直径は2mmほどで体長は5mmほどなのですが、アップで見るとその存在感たるや凄い・・・・。
その後、皮膚から脱した幼虫は3週間ほどで蛹になり、交尾と産卵を再び繰り返していくのです。
ヒトヒフバエ(ウマバエ)に寄生されたら
チケット一枚でどこへでも飛べる時代。もちろん、南米旅行を楽しむ人もいるはず。
外国でもし、ヒトヒフバエに寄生されてしまったら、その時はどんな症状が出るのでしょう。
実際に南米でピラニア捕獲を目的として、アマゾンを歩き回ったという男性はこのヒトヒフバエに寄生され、日本で治療を受けたという報告があります。
ハエ幼虫症という症状になり、痛みやかゆみを伴って、なんだかゾクゾクするような感覚を覚えたり、皮膚自体が赤く大きくはれ上がったり、または侵入口から黄色い液体が出てくることもあります。
おおぉ~~~~!書いているだけで何だかいろんなところがむずがゆくなってきます・・。
ヒトヒフバエ(ウマバエ)は人間だけでなく犬などのペットにも寄生?
動物にも寄生する可能性のあるヒトヒフバエは、もちろん大事なペットに寄生する可能性もあるということ。例えそれが室内で飼っている犬だととしても、ハエやゴキブリ、母犬から子犬の経口感染、散歩時の他の犬の糞など、危険はいろいろなところに沢山あります。
卵を産み付けられてしまった蚊に刺された場合でも感染します。寄生虫に寄生されると明らかに体調に変化が現れます。だるかったり、熱が出たり、食欲が落ちたり。症状的には風邪に似ているのですが、他にも血便や貧血、下痢などの症状が出る場合もあります。
そんなときはすぐに動物病院に連れて行って、検査をしてもらいましょう。
便の検査をすると寄生虫がいるかどうかというのはすぐにわかります。
また、皮膚が赤く膨らむこともあるようです。その場合はそのふくらみをつぶすと中から寄生虫がにゅるにゅると出てくるのだとか・・・。
気持ち悪いとは言ってられませんよね…大事なペットが苦しんでいるのですから。
それに、ペットに感染させてしまったのは飼い主さんの落ち度もないとは言えないわけで・・・。
ペットから人間に感染することはないようですが、常日頃から清潔を心がけることはペットにも人間にも大切なこと。
蚊取り線香などを焚いて予防したり、外に出た時にはペットにも余計なものを触らせないようにしたり、戻ってきたら外の汚れをふいてあげたり、と予防のために日ごろからできることは沢山あります。特にこれからの熱い時期には用心したいもの。
ヒトヒフバエ(ウマバエ)は猿にも!!??
ペットだけでなく、猿に感染してしまったという例もあるようです。
ここまでくるとあまりのグロテスクさに目を覆ってしまいたくなりますが、これはホラー映画でもなんでもなく、実際に起こった現実。ちっぽけなちっぽけな生き物が脅威を奮う恐ろしい映像は、ホラー映画を完全に超えています。
強さは大きさだけでは測れない・・・・という当たり前ですが、忘れがちな事実を突きつけられるような、そんな映像です。
野生動物の弱肉強食の映像はよくテレビで見ますが、それと同じことが地味に地味に起こっているのと同じこと。派手さはないですが、何だかゾクゾクっとする恐ろしい戦いが繰り広げられているようで、冷や汗が出てきてしまいます。
寄生したヒトヒフバエ(ウマバエ)が脳にまで!!??
寄生虫はどこに寄生するかわかりません。私たちの体は全部が皮膚で覆われていて、そのどこに卵をこすりつけられルカによるわけです。寄生虫は皮膚を突き破り、中に入ってきてしまえば、どこでも生きていける強さを持っているわけですから・・・・。
当然頭だって用心しなければならなないわけで・・・。固くて沢山の毛で覆われているとは言え、表面は柔らかい皮膚で覆われているのですから。
実際に脳みそに寄生したという例もあるようです。
脳みそに寄生してしまうと、手の施しようがない場合もあるわけで・・・待っているのは猿の時と同じように死!?
劣悪なキムチを食べて脳に寄生した例もあるようで、美味しいもの食べたさに行く海外旅行にもくれぐれも注意が必要ということになります。
清潔な環境に加えて、あまり食い意地を張らないように、本場だからと言って得体のしれないものを食べないようにしなければなりません!特に海外での発酵食品には要注意です!!
ヒトヒフバエ(ウマバエ)に寄生された時の治療法はあるの?
治療方法としては、とにかく幼虫を体内から出すことが第一の目的になります。
一つ目は寄生したときの潜入口の周囲を圧迫して、圧力で無理やり押し出すというやり方。
よく棘などが指にささった時にやる方法ですよね。
二つ目は潜入口を塞いで、幼虫に酸素を与えないことで、息苦しい状態に陥らせ、酸素を吸いに皮膚表面に出てきたところをピンセットなどで捕獲するという方法。
潜入口を塞ぐためにワセリンやマニュキュアなどを使うようです。
そして、三つ目は潜入口を軽く刃物で開くという方法、いわゆる切開手術です。開いて中の幼虫を取り出してしまうのです。
いずれにしても原始的な方法ですが、とにかく幼虫を体内から追い出さなければいけないわけです。
ヒトヒフバエ(ウマバエ)の日本での危険の可能性
ヒトヒフバエの日本での定着例は確認されてはいないものの、過去、実際にヒツジバエ科のハエが輸入羊に寄生していて、北海道全域に定着しているという事例もあるわけで・・・。
近年の考えられないような高温や天候不順に伴って、今までいなかった蚊や刺しバエが日本にも生息できるようになってしまったとして、その蚊や刺しバエがヒトヒフバエの寄生の媒介者になりうるとしたら、今まで書いてきたようなことは他人ごとではなくなるということ。
ましてや、国際化の時代。ヒトヒフバエによるハエ幼虫症は、輸入寄生虫の症例として、どんどん増えていく可能性は大いにあると覚悟しておいた方が良さそうです。
人間もペットも清潔が一番というのはもちろんですが、いざという時に耐えうる体力も必要になってい来るのかもしれません。
(ライター ナオ)