皆さんはヌカカという昆虫を知っていますか?
蚊とは違い、極極小さな昆虫ですが、実はけっこう厄介な存在なのです。
今回はそんなヌカカについて詳しくお話していきます。
ヌカカの特徴
ヌカカはハエ目・ヌカカ科に属する昆虫の総称で、体長が1~数㎜ほどの小型の昆虫で、一部の種類のメスは家と同様に吸血動物になります。
全国の水田地帯、山間地域、平地、海岸近く等幅広い場所で活動し、特に6から9月までが最も多く発生し活動するとされています。
活動の時間帯としては主に朝と夕方に活発で、集団で活動する習性があります。
和名のヌカカは糠粒のように小さい蚊というところから命名されたと考えられ、地域によってはイソヌカカ(磯糠蚊)やヌカガ(糠蛾)と呼ばれているところもあります。
上部から見ると黒ゴマの粒のようですが、良く観察すると薄く透明な翅に黒い斑紋を装うものが多く、磯やキャンプ場などに棲息しています。
ヌカカのメスは産卵のために吸血しますが、昼間活動性で特に朝夕の低照度時に盛んに吸血活動を行います。
ヌカカの毒成分
一般的にヌカカのような吸血動物は血を吸う時に血液が固まらないよう阻止するための成分を唾液と一緒に注入することが多く、この成分に対するアレルギー反応で痒みや腫れが引き起こされます。
具体的にはタンパク質などの生理活性物質と呼ばれます。
身体が小さいので網戸などを抜けて人家に侵入してくることもあり、蚊と異なり刺咬された直後は刺された感触もなくほとんど痒みはありませんが、翌日以降に腫れと痒みが起こり、小さな水ぶくれが出来ることもあり、完治に1週間以上の日数を要することもあります。
しかし、これらの吸血動物の被害で気をつけなければいけないのは伝染病です。
同じ吸血動物の蚊はマラリアやフィラリア、デング熱などの伝染病を媒介する昆虫として知られていますが、生態からいくとヌカカにもその可能性は十分にあると考えられます。
対処方法としては皮膚科の診察を受けて炎症やアレルギー反応を抑える錠剤や痒みを押さえる錠剤などを処方してもらうことが多いようです。
虫除けとしてはジエチルトルアミドを配した虫除けスプレーが有効と言われますが最近は殺虫剤に抗体を持った種類が繁殖していると言われ、油断はできません。
ヌカカの種類
ヌカカは日本で40種類ほどが確認されており、個体数が多く、代表的なのはミヤマヌカカ、ホシウカカ、シナノヌカカ、ニワトリヌカカ、エゾヌカカ、マキバヌカカ、マツザワヌカカ、キブネヌカカなど。
その種類によって吸血源も違っていて、人間を襲うことで知られるのはこのうち15種類ほどです。
ミヤマヌカカと星ヌカカはウシやヒツジから、シナノヌカカとエゾヌカカ、マキバヌカカ、マツザワヌカカはウシから、またニワトリヌカカとギブネヌカカは鶏から吸血します。
ヌカカの発生源
ヌカカの生態に関してはまだ明らかになっていない部分も多いのですが、発生源に殺虫剤を散布することによってその発生を抑えられると考えられます。
しかし、卵は水辺の石や草に卵塊として産卵され、幼虫は湿地や池、沼、水田、暖流、海岸などの泥土中に生息していて、処理面積が膨大になるので現実的には難しい面もあります。
ライトトラップによる早期捕殺も有効な手段の一つです。
ライトトラップの種類としては捕虫紙によるものやファン式のものが考えられます。
工場や畜産業などを営んでいる人はこのような対策でヌカカの被害を抑えるようにすると良いかもしれません。
食品への混入や家畜への被害だけでなく、そこで働く人間への被害を防ぐこともできるのでぜひおすすめです。
(ライター ナオ)