ダイオウグソクムシは巨大なダンゴムシ!

ダイオウグソクムシは、等脚目スナホリムシ科に属するいわゆる甲殻類の仲間です。

メキシコ湾などの大西洋(インド洋にもいるそうです)の深海(水深200~千メートル)の海底に棲息しています。

グソクムシの「グソク」とは、武士が用いた鎧兜(よろいかぶと)の別称で、具足と書きます。

姿かたちが具足をつけた武者の姿に似ていることから名づけられました。

等脚目とは、ワラジムシ目ともいい、およそ5千種を数えますが、その種は実に多様であり、陸上(地中を含む)、海水中、淡水中とほぼ地球の全域に棲息しています。

その中には、ダンゴムシやフナムシなどが属しており、ダイオウグソクムシについてその形態を説明するとき、巨大なダンゴムシとか、フナ虫に近い仲間だというような言い方がよくされますが、まさにその通りであります。

海の忍者スナホリムシ

スナホリムシは、体長1~1.5センチほどの小型の甲殻類で、日本中の海辺や砂浜などに棲息していますので、海水浴をしているときによく見かけます。

海中では非常にすばしこく動き、その名の通り砂の中に穴を掘って潜っています。

海水浴などで砂遊びをしているときに、足にかじりついてくることがありますが、特別害はありません。

ただこのスナホリムシとダイオウグソクムシが、同じ仲間・・しかもかなり近い種だとはにわかには信じがたい感じです。

前述したようにダンゴムシのほうが、よく似ているのですが・・。

スナホリムシ科の仲間たち

このスナホリムシ科の種は、等脚目ウオノエ亜目に属し、この中にはウミナナフシ、ウミクワガタなど興味深い形態や昆虫に近い名前を持つ種が多くいます。

 

そのほとんどが魚に寄生して生きる小型の甲殻類です。

なかでもエビヤドリムシは、その名のごとくエビに寄生しますので、殻つきの甘エビの刺身などをよく見てみると、ちょうどエビのほっぺたに相当する辺りに黒ずんだ膨らみがあることがあります。

そこはエビヤドリムシが寄生している場所で、その中にひっそりと暮らしています。

ですから、もし甘エビを食べている最中にそれを見つけたとしても、そこをほじくり返さないほうが良いです(笑)

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ダイオウにふさわしいダイオウグソクムシ

ダイオウグソクムシは等脚目の中でも世界最大の種で、体長は20~40センチ、最大のものでは50センチ近くになるものもいます。

日本近海、特に駿河湾でよく見られるオオグソクムシという近似種がいます。

こちらは最大で体長15センチ程度になります。

ダイオウグソクムシとその大きさを比べてみましょう。

 

丸まった状態で比較すると、スイカとリンゴと言うべきか、ボーリングの球とソフトボールと言うべきか、残念ながらそれほどの違いがあります。

ですから、ダイオウグソクムシはやはり「ダイオウ」の名にふさわしいといえます。

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ダイオウグソクムシは深海巨大症!?

ダイオウグソクムシの体重は1キロ以上にもなりますので、まさに「大きな」ではなく、「巨大な」ダンゴムシと呼んだほうが適切です。

ダイオウグソクムシが、深海というエサの少ない環境でこれほど巨大化するということは、ダイオウイカ同様「深海巨大症」という特殊な傾向が考えられます。

 

深海では、巨大なほうが生存に有利だと考えられていますが、なぜ巨大化するのかには諸説あり、確かなことはまだわかっていません。

ダイオウグソクムシには14本の脚と3000個の眼が!!

ダイオウグソクムシの頭部には3000個以上からなる複眼を持ちます。

触覚は2対あり、しっかりと確認することができます。脚は7対で14本、最後脚の末端はヒレ状になっており、遊泳肢と呼ばれています。

ダイオウグソクムシは、それを使って背泳ぎのように仰向けになり、背を下に向けて泳ぎます。

泳ぐスピードは意外と速いようです。

 

外敵に遭遇した場合などは、ダンゴムシのように身体を丸めて防御の体勢を取りますが、完全な球状になることはできません。

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ダイオウグソクムシの脚に付着しているものは何だ!?

よ~く見ると、ダイオウグソクムシの脚には何かが付着しています。

ロクソソメラなどの内肛動物と呼ばれる非常にマイナーな生物たちです。

1ミリにも満たないものが多く、固着性生物と呼ばれていますので、植物ではありません。

大型の海洋生物には、こうした小さな生き物たちがたくさん付着しています。

ただしロクソソメラは寄生生物ではなく、海中のプランクトンなどを摂取しています。

ダイオウグソクムシの脱皮!

ダイオウグソクムシの生態は謎に包まれており、ほとんどわかっていません。

卵を産み、成体とほぼ同じ姿で孵化することはわかっています。

その成長は、他の種と同様に脱皮を主体に行われています。

現在、ダイオウグソクムシは国内の20以上の水族館で飼育されていますが、今年(2016年)2月に鳥羽水族館で、恐らく世界で初めての脱皮の様子が撮影されました。

脱皮は二回に分ける!

ダイオウグソクムシをはじめ、ダンゴムシなどの等脚類ではまず下半身から脱皮が始まり、下半身が硬化した後、上半身の脱皮が開始されます。

脱皮中は外敵に対して防御ができませんので、もっとも無防備な状態になるのです。

二回に分ける理由として、全身を無防備な状態にしないということと、外皮の中のカルシウムをうまく取り込んで、カルシウムの効果的な利用をするためということが挙げられています。

脱皮の模様を中継・・

実際に撮影された模様を要約すると、このダイオウグソクムシ「No.5」と名づけられた固体は、脱皮開始の1ヶ月以上前から、体の前半分の白化が進んでいたそうです。

脱皮開始当日である2月12日の朝7時半に脱皮の途中であることが確認され、時々身体をよじるように動かしながら外殻を脱ぎ捨て、14時ころに脱皮が完了したそうです。

後半部の脱皮をするのに、およそ7時間かかったわけです。

そして謎の死亡!

通常は後半部が硬化すると、引き続き前半部の脱皮に突入するはずなのですが、この「No.5」は後半部の硬化が進まないまま、およそ一月半後から動きが鈍くなり、4月1日に死亡が確認されました。

 

死亡後に解剖をおこないましたが、直接の死亡原因は不明だそうです。

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ダイオウグソクムシも共食いする!?

ダイオウグソクムシは「海の掃除屋」と称され、海底に沈んできたクジラや大型魚類などの死骸を食べる肉食性だといわれています。

深海の海底にいますので、実際に生息している固体に遭遇する機会はほとんどないでしょう。

また同種の個体と遭遇する機会もほとんどないのではないかと考えられています。

その生態は謎に包まれていますので、近似種でわかっていることから推測、あるいは想像していくしかありません。

海中では意外と動きが早いので、生きた小型の生物を追いかけていって捕食する可能性もありそうですし、ダンゴムシなどのように共食いをする可能性もあるはずです。

ただし、大型の肉食生物であるのに、飼育下では極めて少食であり、飢餓には強いはずだと考えられているようです。

修行僧のように絶食を続けるダイオウグソクムシの個体

ダイオウグソクムシが世間に注目され、脚光を浴びるきっかけになったのが、エサをまったく食べずに生き続けているという「絶食」です。

鳥羽水族館で飼育されていた「No.1」と呼ばれる固体は、なんと5年1ヶ月もの間、一切のエサを食べずに生き続けました。まるで断食をする修行僧のようです。

2007年の9月9日に鳥羽水族館にやってきた「No.1」は、月に一度のエサやりにおいて、なかなかエサを食べようとせずに心配されていました。

エサは、50gほどのアジを与えていました。それが2008年の11月になり、初めてアジをかじった形跡を見せました。

ただし、この時はまだ「食べた」といえるほどではなかったそうです。

翌12月になって、ようやくアジを3分の一ほどを食べたそうで、さらにその翌月の2009年1月2日になって、アジをまるまる一匹平らげたそうです。

しかしそれを最後にまったくエサを食べようとはせず、ついにはその日以来、絶食記録を更新し続けるということになってしまったのです。

そして、2014年の2月14日、「No.1」はついに絶食したまま息絶えてしまいました。

絶食記録は正確には5年と43日間です。

ダイオウグソクムシはなぜ食べなくても生きられるのか?

ダイオウグソクムシがエサをほとんど食べないというわけではありません。

ただしその巨体の割りに少食であることは確かなようです。

もしかしたら、アジが口に合わず拒否していたのかもしれません。

同館では、キビナゴなどエサの種類を変えてみましたが、やはり「No.1」は食べることはなかったようです。

国内でダイオウグソクムシを最初に飼育した葛西臨海水族園においても、エサやりは週に一度であるにもかかわらず、実際には月に一度食べるか食べないか程度だそうです。

与えているのはおよそ50g程度のカタクチイワシで、それを三分の一ほどだけ食べるそうです。

ただし同園では絶食している個体はいないそうですので、鳥羽水族館の「No.1」はかなり特殊な例だと言えます。

 

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環境変化によるストレス?

鳥羽水族館では、他の個体も4ヶ月の絶食後に死亡しましたが、死後に解剖したところ、その消化管内に未消化の魚が106gも残っていたそうです。

絶食による餓死ではありませんが、4ヶ月経っても消化されていないというのは、少し異常です。

消化不良を起こしていたのかもしれませんし、われわれが考える以上にゆっくり時間をかけて消化しているのかもしれません。

深海という静謐な環境から、水族館で展示されるという環境へと劇的に変化したことから、激烈なストレスを感じて活動が低下して、絶食にいたってしまったのかもしれません。

水深1000メートルで受ける水圧は、尋常なものではありません。

その環境の変化がダイオウグソクムシを絶食という状況に追いやってしまったのかもしれません。

まだまだその生態が謎に包まれたままですので、ダイオウグソクムシの飼育は現在手探り状態であるようです。

今後も試行錯誤を繰り返しながら、その生態を解明していくしかないのかもしれません。

ダイオウグソクムシの絶食の秘密を探ることは人類の未来につながる!?

ダイオウグソクムシが飢餓に強いということは、基礎代謝が少なく、エネルギー消費量が極めて少ないといえるでしょうし、エネルギー効率が非常に良いと思われます。

したがって、こういったことについて研究が進めば、人口爆発による食糧難、エネルギー問題など人類が将来的に抱える課題も、もしかしたらダイオウグソクムシの超高効率的なエネルギー利用法などの発見によりその解決法を見出せるかもしれません。

ダイオウグソクムシは食べられる!?

ダイオウグソクムシが最初に見つかったのは、1878年です。

それ以降メキシコ湾の海底からたびたび見つかっており、漁の網にかかることもしばしばあるようです。

ただし魚網などにかかった魚類を食い荒らすことから、ダイオウグソクムシは地元の漁師からは害虫扱いされています。

また網にかかって捕らえられたダイオウグソクムシは、食用にされることもあるようです。

身が少なく、臭みが強いといわれ捨てられてしまうこともあるようですが、珍味として積極的に食べられている地域もあるようです。

実は近似種で日本近海にいるオオグソクムシは、美味で注目を浴びています。乾燥した粉末入りの煎餅は、珍しさもあって飛ぶように売れているそうです。

 

ダイオウグソクムシは水族館を変えた!

ダイオウグソクムシが「絶食」を続けることによって、にわかに注目を浴びるようになった鳥羽水族館を始めとして、各地の水族館も変わりつつあるようです。

世間では、謎に満ちた深海生物や海洋生物全般にも目が向けられるようになり、関心が高まりつつありますし、その先鋒ともいうべき各水族館でも、このブームに乗じて展示方法や企画に独自性を持たせるなど、ずいぶんと工夫がされるようになってきました。

今では水族館のスター!

鳥羽水族館では、ダイオウグソクムシは一番人気の「ラッコ」と同じスペースに展示されていました。

絶食報道がされる以前まではなんら脚光を浴びることもなく、まったく目立たずにひっそりと展示されていたそうです。

ところが絶食報道が続くと一躍注目されはじめ、ついには入り口付近に「ダイオウグソクムシ」ののぼりまで製作して立てられるようになり、ジュゴンやスナメリといった水族館のスターたちと同様の扱いを受けるようになったということです。

同館ではこれにならい、いままであまり注目されることのなかった「へんな生き物」を揃えて展示するようになったということです。他では見られないような珍しい海洋生物もたくさんいますので、一見の価値があります。

また姉妹館であるニューカレドニアにあるラグーン水族館から贈られた「ニューカレドニアオオグソクムシ」は、日本初公開になる珍しい種です。

ただしこのニューカレドニアオオグソクムシは、オオグソクムシよりもふた回りほども大型でダイオウグソクムシによく似ていますが、スナホリムシ科ではなくグソクムシ科に属する少し離れた種です。

グッズの売り上げは、ダイオウグソクムシがトップ

鳥羽水族館の宣伝をしているわけではありませんが、絶食記録が更新されるにつけ、ダイオウグソクムシが注目を集め始めましたので、その人気を当て込んでぬいぐるみやストラップなど様々なグッズが作られるようになりました。


同館の人気者でグッズの売り上げベストスリーであった「ラッコ」「ジュゴン」「スナメリ」を差し置いて、ついにはダイオウグソクムシのグッズがトップに躍り出たそうです。

ダイオウグソクムシが見られる水族館

日本の水族館は、世界諸国と比べても非常に多く、人口に対するその数は世界一とも言われています。

四方を海に囲まれているという環境もありますが、海そのものばかりでなく、そこに生きる海洋生物に対する興味や好奇心が強いあらわれだと思われます。

現在国内にはダイオウグソクムシを展示している水族館が20以上あります。

記事作成の時点でわかる限り掲載してみましたので参考にして下さい。

ただし飼育状況は変わる可能性がありますので、実際に公開しているかどうかは事前に確認してからお出かけください。

・登別マリンパークニクス(北海道登別市)

・サンピアザ水族館(札幌市厚別区)

・おたる水族館(北海道小樽市) 〜期間限定

・仙台うみの杜水族館(仙台市宮城野区)

・茨城県大洗水族館アクアワールド(茨城県大洗町)

・サンシャイン水族館(東京都豊島区)

サンシャインシティの中にある水族館です。サンシャイン60展望台やプラネタリウムなどもありますので楽しめます。

・葛西臨海水族園(東京都江戸川区)

日本で最初にダイオウグソクムシを飼育した水族館です。葛西臨海公園内にあり、海の生き物とふれあうこともできます。

・すみだ水族館(東京都墨田区)

東京スカイツリーに隣接する水族館です。

・横浜八景島シーパラダイス(横浜市金沢区)

遊園地が併設されていて、一日中楽しめます。

・新江ノ島水族館(神奈川県藤沢市)

クラゲファンタジーホールがあり、見ていると癒されます。また妖精クリオネもいます。
新江ノ島水族館では、昨年夏にダイオウグソクムシをデザインしたTシャツを販売して、大人気になりました。

・沼津港深海水族館(静岡県沼津市)

深海生物に特化した水族館です。シーラカンスの標本があります。

・越前松島水族館(福井県坂井市)

エサやり体験などの体感型の水族館です。

・名古屋港水族館(愛知県名古屋市)

シャチの公開トレーニングが有名です。現在シャチを見ることができる水族館は、名古屋港水族館と鴨川シーワールドだけです。

・鳥羽水族館(三重県鳥羽市)

ご存知、絶食したダイオウグソクムシで有名な水族館です。今ではダイオウグソクムシは同館のシンボル的な存在になっています。
海洋生物の飼育数が約1200種類もおり、国内最多を誇ります。

・海遊館(大阪市港区)

580種、約3万点の展示とジンベイザメの勇姿が圧巻です。

・マリンワールド海ノ中道(福岡県福岡市東区)

九州最大の水族館です。

・大分マリーンパレス水族館うみたまご(大分県大分市)

夜のバックヤードツアーなど、独自の企画をおこなう体験型の水族館です。

その他、ダイオウグソクムシはいませんが・・

・竹島水族館(愛知県蒲郡市)

この水族館では、2013年にオオグソクムシの卵の孵化に成功しました。
またオオグソクムシ(注:ダイオウではない!)を粉末状に加工し原料にした「超グソクムシ煎餅」を売り出しています。
美味しいと評判であり、珍しさもあってかなりの人気商品で生産が追いつかない状態だそうです。

・ヨコハマおもしろ水族館(横浜市中区)

横浜中華街の中にあるこの水族館には、白いオオグソクムシ(アルビノと思われます)を展示しています。興味のある方は出かけてみてください。

サングラスをかけたグソクムシ

グソクムシの変わった仲間をご紹介しましょう。

「メナガグソクムシ」は、グソクムシ科に属しますので、ダイオウグソクムシやオオグソクムシの属するスナホリムシ科とは少し異なりますが、かなり近い仲間だと言えます。

体長3センチ程度ですのでダイオウグソクムシと比べるとかなり小さく感じられますが、本来ダンゴムシ(ワラジムシ目)の仲間ですので、それでも大型のものと言えます。

名前の由来である「メナガ」ですが、左右の複眼がつながっており、サングラスをかけているように見えますので、正面から見ると思わず笑ってしまいます。

■鳥羽水族館「メナガグソクムシ」

メナガグソクムシはサングラスをかけた吸血鬼だった!

メナガグソクムシは、他の海洋性のワラジムシ目の仲間同様、魚などに寄生して生きていますが、こいつは半寄生性で吸血性の種類です。

ヒルのように魚の体表にへばりついて、その血液や体液を吸い取ります。

満腹になると魚類から離れて砂の中に入り込み、じっとしながら消化活動をして、また空腹になると砂の中から這い出し、獲物を探すという生活をしています。

水族館で飼育する場合には、他の生物と同じ水槽に入れるのを避けるのが常識です。

メナガグソクムシは魚を獲物にして追いかけますので、その動きは非常に機敏で、水槽内を超高速で動き回ります。

最近の研究により、メナガグソクムシには二種類いることがわかってきました。

どちらにも学名が付けられましたが、和名は一つしかなく、混同しているようです。

グソクムシ科の生物は底引き網漁で偶然採取されることも多いので、見かける機会は多いと言えます。

日本の誇るオオグソクムシ!

オオグソクムシは、駿河湾でよく見られ、日本近海の深海(150〜600メートル)に存在します。

日本最大の等脚類で、体長は10〜15センチほどですが、幅があまりないので、ダイオウグソクムシと比べると細長い感じがします。

 

尾部には7本のトゲがあります。腹部末端には遊泳肢があり、ダイオウグソクムシ同様、身体を仰向けにして泳ぎます。

外敵に襲われた場合、口から悪臭のある体液を出すといわれています。

ダイオウグソクムシは環境変化に弱い!

ダイオウグソクムシとオオグソクムシは、同じような環境に生きているのですが、実際に飼育する場合には、その適正環境がかなり異なります。

どうやらダイオウグソクムシの方が環境変化には弱いようです。

ダイオウグソクムシは水温が10度を超えると活動が低下してしまいます。

それに対してオオグソクムシは18度程度までは大丈夫なのです。

光に対しての反応も異なります。ダイオウグソクムシは日光に当たるとすぐに死んでしまうので、展示する場合には特殊な光源を使用します。オオグソクムシは蛍光灯程度の光ならば特に問題ないようです。

食いしん坊のオオグソクムシ

オオグソクムシは何でも食べます。

雑食性というよりも、食糧の少ない深海に生息していますので、エネルギー源になるものなら何でも食べるといったほうがよいかもしれません。

通常は魚などの死体や弱った小動物などを食べています。

貪欲であり・・これも食べるものがあれば、食べられるときに食べておかないと・・ということの表れだと思われます。

 

ダイオウグソクムシ同様『海の掃除屋』として、有機物の最終処理を担っていますので、有益な面が大きいのですが、網にかかった魚を食べてしまうので、漁師からは、害虫扱いをされていました。

実は美味なオオグソクムシ!

駿河湾では、深海ザメやヌタウナギなどの深海魚の漁の際、オオグソクムシが網にかかることがよくあります。

かつては捨てられていましたが、食べてみるとエビやカニに似た味わいであり、非常に美味であることが知られていきました。

ただし大きさの割りに可食部分は少なく、内蔵は苦味が強く残るようです。

 

焼津市の漁師の親子が、大量に獲れるオオグソクムシを何とかしようと、粉末状にしてせんべいとして売り出すことを発案しました。

焼津市の水産加工業者や藤枝市の菓子店の協力により売り出したところ香ばしくて美味しいと非常に評判となり、一月経たないうちに3500箱を売り上げたそうです。

■オオグソクムシせんべい

生きたオオグソクムシが手に入ります!

また焼津市では、「ふるさと納税」で1万円以上寄付した人のうち希望者に対して、駿河湾で獲れたオオグソクムシ(注;ダイオウグソクムシではありません)2匹を生きたままクール便で送ってくれるそうです。

送られてきたオオグソクムシを飼うもよし、食べるもよしということだそうです。