観賞魚としても有名な「タナゴ」。

子供のころ池や川などで釣って楽しんだ、という人もいるかもしれませんね。

 

しかし最近では生息数も減少してきており、一度も姿を見たことがないという人もいるでしょう。

今回はそんなタナゴの生態や寿命などについてまとめていきたいと思います。

タナゴの生態・寿命

タナゴは日本の固有種で、本州の関東以北の太平洋側という限られた地域に分布しています。

ですので、日本の固有種と言っても馴染みがない人も多いでしょう。

池、湖、川の下流など、比較的水流が少なく水草の多い場所に生息。

食性は雑食で、藻類、イトミミズ、エビなどの甲殻類、水棲昆虫などを餌としています。

 

大きさは約6㎝~8㎝。

体色は銀色で、部位によっては緑や青がグラデーションになっており、シンプルながらとても美しい姿をしています。

 

観賞魚として人気なのも納得ですね。

特に産卵期のオスは「婚姻色」と呼ばれる緑の斑点や薄いピンクが入るので、更に美しさを増します。

タナゴの寿命は4~5年ほど。

 

比較的短命であり、どんなに飼育環境が良くても5年以上生きることは稀だそうです。

野生下や飼育環境の整っていない場合だと、長生きすることは難しいでしょう。

絶滅の危機

タナゴは現在、様々な理由から生息数が激減してしまっています。

原因となるのは河川の開発などによる生息域の破壊や、それに伴う産卵床となる二枚貝の減少が挙げられます。

 

さらにブルーギルやブラックバスと言った外来魚による食害も大きな原因の一つ。

同じ「タナゴ」の仲間である「タイリクバラタナゴ」も外来種で、日本固有のタナゴを脅かす存在となってしまっています。

 

観賞魚用としての乱獲も生息数減少の原因となっている可能性が高く、減少に歯止めがかかりません…。

このように様々な面でタナゴはその生存を脅かされており、事態は深刻です。

 

現在まとまった生息域は霞ケ浦水系と栃木県内の一部のみで、神奈川県や埼玉県では絶滅したとみられています。

観賞魚としてタナゴを飼育したいがために、野生のタナゴが絶滅の危機に瀕するなんて本末転倒ですよね。

そればかりが原因ではありませんが、生き物を人間の娯楽にするという意味をもう少し考えなければなりません。

観賞魚としてのタナゴ

さて、観賞魚として人気が出過ぎるのも、乱獲などの心配がありちょっと考えものですが…。

もしもタナゴを手に入れることがあったなら、それは最後まできちんとお世話してあげなければなりません。

 

タナゴが観賞魚として人気なのは、その美しい見た目もそうですが、飼育が比較的簡単だということも理由の一つではないでしょうか。

元々が日本の固有種であるため、当然ながら日本の気候には適応しています。

 

その為、細かな温度管理などは必要なく、屋外での飼育も可能。

しかし寒すぎて水全体が凍ってしまったり、夏に水温が30℃以上になることがあれば星になってしまうので気を付けましょう。

 

割と水質が悪いところでも平気なので、水はカルキ抜きをすることと、極端に酸性やアルカリ性に傾きさえしなければあまり気を遣わなくても大丈夫です。

極端な体格差さえなければ、金魚やメダカなどとも混泳は可能。

(成長しきったタナゴと小さなメダカの混泳、等は避けましょう。)

 

ただし、泳ぎが得意なタナゴに比べて、金魚にはあまり泳ぎが得意でない種もいます。

そういったものとの混泳は、金魚が餌を食べ損ねてしまう場合があるので注意が必要です。

できれば和金などの泳ぎが得意な種類との混泳が望ましいでしょう。

タナゴについてのまとめ

タナゴは観賞魚としてだけではなく、釣って楽しんだり、あるいは食べて楽しんだりすることもできる魚です。

そんな魚が絶滅してしまうのは、非常に残念だしもったいないことですね。

いつかまたたくさんのタナゴの姿が見られるように、タナゴにとって良い環境が整っていけばいいなと思います。

(ライター もんぷち)