日本人に馴染みの深いフナ。実は沢山の種類が日本にも生息しているって知っていましたか?
今回はそんなフナの生態と寿命についてのお話です。
フナの特徴と生態
フナはコイ目コイ科コイ亜科に分類される魚の総称です。
日本を含むユーラシア大陸に広く分布し、河川や湖沼、ため池などの用水路、水の流れの緩い淡水域などにも生息しています。
他のコイ目の魚と同じく背ビレは一つだけで、ヒレについている棘は柔らかです。
背中側の体色は光沢のある黒色か褐色で、腹側は白色。
コイとの違いは口元にヒゲがないことと、頭が大きいこと。
体長は10~30㎝程度。
食性は雑食で、水草や貝類、昆虫類、甲殻類などを食べます。
産卵期は4~6月にかけての大雨の後で、浅瀬の水辺に集まって水草などの陰に1.5㎜程度の卵を産み付けます。
生まれた稚魚は外敵が少なく、エサの豊富な浅瀬で成長し、深い川や池に戻っていきます。
田んぼや水路、小川や池など自由に移動できるのもフナの特徴です。
フナと人間の関わり
フナは釣りなどでも人気があります。
奥が深く、季節や時間帯、気温や地形などの条件によって、釣れるポイントが変化し、それがフナ釣りの面白さのポイントにもなっているようです。
また、文部省唱歌の「ふるさと」の歌の歌詞にも一節が出てくるほど、日本人にとって馴染みの深い魚でもあります。
古くは日本の古典文学である万葉集や古今和歌集にもフナが登場していたのだとか。
食用としてもフナはアジアを中心に食べられています。
日本でも滋賀県の鮒ずしや愛知、岐阜、三重県、岡山、佐賀など各地に伝統的な食べ方があり、かつては重要なたんぱく源として食べられていたことを伺わせます。
淡水魚独特の泥臭さが敬遠されたり、水質が悪化しその生息数が減少したりして食べる機会は減ってきていると言われています。
フナにはチアミナーゼと言われる成分が多く含まれていることが最近の研究でわかってきました。
このチアミナーゼはビタミンB1という人間にとって必要な栄養素を壊してしまうので、食べすぎは禁物!!だそうですよ。
フナの種類
フナには多くの種類がありますが、明確な分類は難しいとされています。
色や形、姿だけでは種を判別することはできなく、初心者はその種類を見分けるのは不可能とも言われているほどです。
ギンブナは全長30㎝ほど。日本から朝鮮半島、中国にかけて分布しています。
ほぼ全部がメスという恐ろしい生態で、クローンを増殖します。
キンブナは日本の関東地方、東北地方に分布しています。全長は15㎝ほど。日本のフナの中では最も小型の種類で準絶滅危惧種にも指定されています。
オオキンブナは全長40㎝ほどで、名前の通りキンブナに似ています。大型で、最近では放流された個体が関東方面でも見られるようになっています。
ゲンゴロウブナは琵琶湖の固有種です。全長は40㎝ほどで、絶滅危惧種に指定されています。
フナの寿命
フナの平均寿命は意外に長く、20~30年と言われています。
最高寿命は50年以上で、魚類の中で50年以上の長寿と言えば、シーラカンスやジンベエザメ位です。
20~30年生きる魚類はウナギやタイなどがいますが、いずれにしても魚類の中では長寿の部類に入ります。
フナの生態と寿命に関するまとめ
フナはコイ目コイ科コイ亜科に分類される魚の総称。
フナには多くの種類がありますが、明確な分類は難しいと言われている。
日本文化の中にも登場する馴染みの深い魚。
フナの中には絶滅危惧種に指定されているものもいる。
食用としても食べられていたが、現在は生息数の減少などの理由から流通も減少している。
寿命は20~30年と言われ、長寿のものでは50年以上生きた記録もある。
(ライター ナオ)