まるで伝説上の生き物のように、鋭く長い角を持つ「イッカク」。
同じクジラの仲間の中でも他に類を見ない進化を遂げた種です。
こういう生き物を見ると、無条件でワクワクしてきてしまいますよね!
今回はそんな「イッカク」の生態や、水族館で見ることはできるのか?という点などについてまとめてみました。
イッカクってどんな生き物?
イッカクが生息しているのは、北極海の北緯70度以北の海域です。
クジラの仲間で、体長はオスで約4.7m、メスで約4.2m。
潜水が得意で、水深1000m以上、時間にして20分程度は潜ることができます。
名前の由来は、読んで字のごとく「一本の角=一角」から。
主な餌は魚やイカなどで、生息している海域によって食べるものが違ってくるようです。
5頭から10頭ほどの群れを形成し、いくつかの群れが合流して集まることも。
長い角があるのでとても強そうに見えますが、シャチやホッキョクグマに捕食されることもあるようです。
あの長い角は、あまり実戦には向いていないのでしょうか?
イッカクの角はなんのため?
イッカクの特徴は何と言っても長く真っすぐに伸びた角。
「角」と表現しましたが、じつはあれ、長く伸びた「牙」なんです。
イッカクの歯は上あごにたった2本の切歯があるのみ。
そのうち左側の歯が、長く伸びて牙となるのです。
通常であれば左側の1本のみが長い牙となりますが、ごく稀に(500頭に1頭ほどの割合)2本とも長く伸びた牙になる個体もいるんだとか。
また、牙が伸びるのはオスの特徴ですが、メスの中にも15%ほどの確率で長い牙を持っているものがいます。
しかし、オスの牙が3mにもなるのに対し、メスの牙は1.2mほどと若干華奢なのが特徴。
本当に本当にごく稀に、「2本の牙を持つメス」というのもいるそうです。
「メスに牙がある」「2本の牙がある」どちらかだけでも珍しいのに、両方揃うなんて超レアキャラですね。
見つけたら幸せになれそう。
イッカクの長い牙、これだけ特化した進化を遂げたのなら、さぞ何かの役に立っているのだろうと思いますよね。
でもじつはイッカクの牙が何のためにこのような形になったのかは、はっきりと解明されていないそうです。
氷に穴を開けるためという説や、エコーロケーションに使う器官だという説など諸説あり。
最近ではこの牙が神経系の集合体であることが判明、高度な感覚器として気温や温度の変化を敏感に感じ取っているのではと言われています。
また、オスからメスへのアピールとなり、大きな牙を持つものほどメスを魅了することができるようです。
繁殖期にはオス同士が牙を使って争い、牙の長さや持ち上げた角度で優劣をつけます。
直接牙を打ち合ったり相手を攻撃したりはしないようですが、一度折れた牙は再び伸びることはないので、気を付けなければなりませんね。
牙が折れてしまったオスは、もう一生メスに相手にされることはないのでしょうか?
水族館で見られる?
神秘的でかっこいいイッカク、ぜひとも生で見てみたいものですよね。
どこかの水族館などで見ることはできるのでしょうか?
現在では様々な生き物が飼育されているので、日本中探せば一つくらい飼育している水族館が見つかるかも?
しかし、残念ながら、日本どころか世界中探してもイッカクを飼育している水族館はありません。
理由は単純に、「飼育が難しい」から。
生息環境の再現の難しさや、牙を含めると6~7mにもなる大きさ、牙の扱いなどが飼育のネックになっているのではないかと言われています。
海外では飼育を試みた例もあるようですが、いずれも短期間で死亡してしまったようです。
もしも実際のイッカクが見たいならば、カナダやロシアまで見に行くしかないですね。
イッカクについてのまとめ
まだまだ神秘のベールに包まれているイッカク。
かつては本当に伝説上の生き物だと思われていたこともあったそうです。
全てが解明されて水族館などでも見られるようになれば嬉しいけれど、その反面、神秘的なままでいてほしいという気持ちも湧いてきますね。
(ライター もんぷち)