絶滅を危惧されている珍獣、バビルサ。
目の方向に延びる牙から、自分の死を見つめる動物とも言われています。
そんなバビルサの正体は!!??
バビルサって?
バビルサはインドネシアのマラウェン島に住んでいるイノシシのような牙を持つブタ。
インドネシア語でバビはブタの意味。ルサはシカの意味があり、ブタ鹿ということらしい。古くは食用としてその肉が食べられていたとか。
絶滅危惧種のバビルサ
珍獣と言われるように、現代では珍しい生き物として取り上げられるバビルサ。
銃による乱獲はもちろん問題視されていましたが、それよりも近年は生息環境が激減しているという現実が大きいようです。現在の個体数は4000頭ほどといわれています。
バビルサの生態
バビルサは体長が85㎝~105㎝ほど。体毛は少なく、見た目は牙の生えた豚です。
川辺は湖のほとりに生息していて、灰色っぽい体の色は保護色としての役割があると考えられています。
鼻に骨がないので、穴を掘ってその中にいる生き物を食べることができず、エサは地面に落ちた果実や昆虫です。
時にはパンギノキの新芽など、栄養価は高いのですが青酸化合物などが含まれている為、毒性もある植物を食べたりするようです。
毒性のあるものを食べた後は解毒作用のある温泉の水を飲んだり、泥水を飲んだりしたりして解毒している様子が観察されていて、その行動を繰り返しながら移動し続けることもあるのだとか。
体についた寄生虫を取り除くために泥に体をこすりつける行動は他の動物にもみられる行動ですが、バビルサも同じような行動をとります。
泳ぎも上手で島から島まで上手に泳ぎ渡ることもできるほど。
一夫多妻で、メスは家族連れで行動しますが、オスは基本的には単独行動です。
メスの妊娠期間は5か月ほどで1~2頭の子供を産みます。離乳は6~8ヵ月ほどでその後、飼育下では20年ほど生きた記録があるそうです。子供には縦に縞模様が入っていて、森林ではこれが保護色になっています。
バビルサの牙
バビルサの牙はオスにだけ生えています。
通常でいえば、下の歯は上に向かって、上の歯は下に向かって生えているのが普通ですが、バビルサの歯はちょっと違っています。
下の犬歯はそのまま上に向かって大きく湾曲しながら伸び、上の犬歯もまた上に向かって皮膚を突き破って生えているんです。
ですから、個体によっては牙が4本生えているように見えるものもいるということ。
この牙、攻撃に使うわけでも、防御に使うわけでもないというから不思議。
何の為にこんなに立派な牙が生えているのか・・・。
実際の記録として、牙の立派なオスの方がメスとの交尾率は高いそうなので、ライオンのたてがみのようなシンボル的な存在なのだということが考えられます。
オス同士が互いに戦いを繰り広げる時も、相手の牙を狙うのは繁殖のための競争率を下げるためだといわれています。
哀愁のバビルサ
湾曲しながら目の方向に向かってのびる牙は、「自分の死を見つめる動物」と言われる所以ですが、実際に牙が湾曲して頭に突き刺さってしまったバビルサもいるようで、あながちただの「お話」というわけではなさそう。
また、毒性のある植物を食し、解毒するという行動を繰り返すバビルサの姿は、まるでストレス解消に大量にお酒を飲んで、次の日からは、飲みすぎてしばらく禁酒、というサイクルを懲りずに繰り返す、働きすぎの日本の大人たちのようでもあるわけで・・・。
メスにモテるために伸ばした牙が目に刺さるかもしれない!というアンバランスさ。
毒を食べて解毒しながらでも移動し続けて生き続けなければいけない苦しさ。
なんだかそんな姿に哀愁と親近感!?を感じずにいられないのは私だけでしょうか・・・
頑張れ、バビルサ!!と思わず叫びたくなります。
(ライター ナオ)
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