アライグマとタヌキ、どちらも日本に生息していて、雰囲気の似ている2種類。
でも、分類上は全く違う生き物で、細かくみると違う点が沢山あるんです。
アライグマの特徴と生態
アライグマは体長42~60㎝ほど、体重は4~10kg。飼育下での体重は20kgほどになります。
灰褐色の体毛をしていて、目の周りから頬にかけて黒い斑紋がついています。
尾に黒い横縞のラインが入っているのが特徴的です。
日本にもともと生息するニホンアナグマやタヌキと比べると足が白っぽく、耳に白い縁取りがあります。
水辺近くの森林に生息していますが、都市や湿地、海岸や農耕地などにも適応できるようになっていて、1920年代以降、アメリカでは都市部への拡大が深刻な問題になっているのだとか。
夜行性ですが、昼間に行動することもあり、雑食性で小動物や爬虫類、両生類、昆虫などを食します。
果実や農作物なども食すため、農業地域では食害が深刻な問題になっているのだそう。
甲殻類のザリガニを特に好む傾向にあるようです。
直径1~3㎞をなわばりとし、オスの排他的ななわばり内に複数のメスの縄張りが重なっています。
一夫多妻で1~3月が繁殖期になります。2か月ほどの妊娠期間を経て、メスは3~6頭の子供を出産します。
自分で巣を掘ることはせず、他の動物の巣穴や木の洞、農家の納屋などで過ごします。
泳ぎが得意で後ろ足で立ったり、木登りも上手です。
名前の由来にもなっている洗っているようなしぐさはアライグマの視覚が良くないため、水の中で獲物の様子を手で探っている様子がエサを洗っているように見えるだけのようです。
タヌキの生態
タヌキの体長は50~60㎝。
体重は3~10kgです。
灰褐色をしていて、目の周りと脚は黒っぽい色をしています。
幼獣は肩から前足にかけてこげ茶色の体毛をしていて、一種の保護色になっていると考えられています。
ネコ目イヌ科というと猫に近いのか、犬に近いのか混乱してしまいそうですが、もともと先祖が樹上生活をする猫のような生き物で、それが森林や草原に降りてくることによって、湿地や森林の生活に適したイヌのように進化したと考えて良さそう。
実際タヌキの毛は剛毛と柔毛の両方が生え、湿地帯でも楽に歩けるようになっているのだそうです。
タヌキは夜行性で1頭、もしくはペアで生活しています。
一度組まれたペアは死ぬまで解消されることはないと言われています。
行動範囲は50haほど。複数の個体の行動範囲が重なっていることもあり、特になわばりがあるわけでもないようです。
特定の場所にため糞をする習性があり、大きいものだと直径50㎝、高さ20㎝ほどにもなるのだとか。
一頭で10か所ほどのため糞があるそうで、これは臭いで地域個体同士の情報交換の役割を担っていて、エサの在りかなどを仲間同士で交換しあうためと考えられています。
食性は雑食でネズミやカエル、鳥などの他、農作物や柿、ビワなどの果実、生ごみなどもあさります。
アライグマとタヌキの人間とのかかわり
アライグマやタヌキはどちらも農作物の被害が報告されている動物です。
特にアライグマの方が大規模な被害が報告され、問題になっていることが多いようです。
しかし、一方でアライグマの肉や毛皮は重宝されています。
丁寧にした処理されたアライグマの肉は、それはそれは美味なのだとか?アライグマの毛皮製品も人気があります。
タヌキの肉はとても臭く、食べられたものではないそうですが、餌付けをして半分ペットのように可愛がっている人もいるのだとか。
両者それぞれ、人間にとって益と害があるようです。
アライグマとタヌキの違い
アライグマとタヌキの生態を比べただけでも色々と違いは見えてくるのですが、両者を並べ、身体的な違いを見てみると、その違いははっきりとわかります。
まず、一番わかりやすいのは尻尾。アライグマのしっぽは太く、黒の縞模様がはっきりと入っています。
タヌキには縞模様がありません。
手にも大きな違いがあります。アライグマは視力が悪くエサを手の感覚で確認する習性があるため、手はものを掴めるようになっています。5本の指は長く、まるで人間のよう。
一方、タヌキの方は犬のような肉球のような形をしていて、ものを掴むことはできません。
最後は顔。アライグマとタヌキの目の周りの黒い模様は、微妙に入り方が違っていて、アライグマは黒の模様の上に白いラインが入ることが多いようです。また、白い立派な髭が生えているのも、アライグマです。
アライグマとタヌキのまとめ
アライグマは外来種として日本に定着している動物。
アライグマとタヌキは一見似ているように見えるが、よく見ると明らかな違いがある。
両者とも農業被害の報告があるが、他面では重宝がられる面もあり、益害ともにある動物。
以上、アライグマとタヌキについてのまとめでした。
(ライター ナオ)