日本では絶滅しているオオカミですが、世界にはまだまだ生存しているオオカミもいるわけで。
今回はそんなオオカミの中のタイリクオオカミの一種、シンリンオオカミについて詳しくお話していきます。
シンリンオオカミの特徴と生態
シンリンオオカミは北アメリカのカナダ、アラスカの森林地帯や開けた平野部、ツンドラ地帯や山地など様々な場所に生息しています。
オオカミの中で最も大きく頑丈な体をしていて、体長は100~150㎝、体重は25~45kg、尾の長さは40㎝ほど。
体色は灰褐色から白っぽい色まで個体によって変異があります。
群れで行動し、群れのまとまりはとても強く、群れにはリーダーを中心とする雌雄別の厳格な順位があり、通常は最上位雌雄がペアになり、生まれた幼獣は群れで協力して育てます。妊娠期間は60~63日。
一度の出産で平均3~6頭の子供を産み、交尾期間は年に1回、冬期に行われます。
エサはノウサギ、シカ、ビーバーなど。
日本では札幌の円山動物園や旭川の旭山動物園など、いくつかの動物園で飼育され見ることができます。
どこか神秘的な美しさと優しい目がとても魅力的で人気があります。
札幌円山動物園のシンリンオオカミ
現在円山動物園には3匹のシンリンオオカミがいます。
2005年生まれのジェイ、その子供である2010年生まれのルークと2011年生まれのショウです。
もう一匹2011年に生まれたユウキは成長と共に父親であるジェイに反抗的な態度を示すようになり、現在は繁殖の為とくしま動物園に移されています。
更にジョイとパートナーであったメスのキナコはジョイに負わされた傷の為、亡くなっています。
飼育下のシンリンオオカミの繊細な世界
オオカミたちの群れに厳格な順位付けがあることはよく知られていますが、この研究は飼育下でのものなのだそう。
実際、野生下では家族を単位とした順位制のようなものがあるというのが最近のオオカミの群れに対する考え方です。
飼育下でのオオカミたちは色々な面で野生下とは違う環境に置かれています。
その中で野生の本能的な部分が現れる場面が食事の時と一時的な隔離、いずれかのオオカミが病気やケガなどを負った時のようです。
円山動物園でも先述の通り群れの中で折り合いのつかないユウキというシンリノオオカミがとくしまの動物園に移動していますが、もともとジェイと親子関係であったユウキの場合、攻撃をしかけるきっかけとなったのが健康診断の際の一時的な隔離だったそう。
それまでも微妙な関係を続けていた2匹が一時的な隔離をきっかけに、子供であるユウキがジェイに攻撃をしかけ、深い傷を負わせました。
それ以前はジェイと仲の良いパートナーであったキナコに対し、弱ってきている状況に比例するようにジェイが攻撃をしかけ、最終的には相手を死に追いやる傷を負わせてしまっています。
このような事例を目の当たりにすると、自然界の広々とした環境の中で群れで生きているシンリンオオカミが、エサの与えられる狭い空間で、絶妙なバランスをとりながら生きているのだと感じてしまいます。そしてそれはサル山のサルや百獣の王のライオンなどよりもずっと繊細なものなのではないかとも思ってしまうわけで・・・。
シンリンオオカミのまとめ
シンリンオオカミは北アメリカのカナダ、アラスカの森林地帯や開けた平野部、ツンドラ地帯や山地など様々な場所に生息している。
オオカミの中で最も大きく頑丈な体をしていて、体長は100~150㎝、体重は25~45kg、尾の長さは40㎝ほど。
日本では札幌の円山動物園や旭川の旭山動物園など、いくつかの動物園で飼育され見ることができる。
飼育下でのシンリンオオカミの上下関係は難しい。
(ライター ナオ)