アオイラガはイラガという蛾の一種です。

イラガというと害虫としての側面が際立ち、嫌になる人もいるでしょう。

しかし生物としての蛾はなかなか興味深い点も多々あるようですよ。

アオイラガの幼虫

アオイラガ(parasa consocia)は日本の北海道から九州、ロシアなどのユーラシア大陸の一部、東アジアなどに生息するイラガの一種です。

同じイラガ科にヒロヘリアオイラガがいますが、アオイラガの生態はヒロヘリアオイラガによく似ています。

ただ、ヒロヘリアオイラガは北海道にはあまりいないようです。

 

イラガの一種というと幼虫のもつ毒棘のことが気になります。アオイラガの幼虫もやはり毒があります。

人間に対する毒性はそれほど強いものではありませんが、素手で触るのは避けましょう。

「イラガ」に刺されたら?

アオイラガの幼虫の体長は25mmほどです。ヤナギの木の葉を好み、バラ科のサクラやカキの木などにもいます。

黄色い毛のようなものがあり、背の中央に青い線があること、黒いトゲのような毛があることなどが外見の特徴です。

 

黒いトゲは毒針です。背中の両側部分と側部に突起のようなものがあり、そこに毒針があります。

これに触ると刺激を感じます。数日で治るようですが、触らないようにしましょう。

アオイラガの成虫

幼虫のアオイラガは夏に羽化し、成虫になります。成虫のアオイラガはうすい緑色が特徴のガです。

翅を広げたときの大きさは約29~30mmほどです。前翅の下の方には、ベージュ系の縁取りのような模様があります。

 

だいたい6、7月に発生します。表側は緑ですが、腹の方はベージュ系の毛が生えています。

蛾は全身に毛が生えているものが多いですが、アオイラガも脚にも毛があります。胴体部分はややふさふさしています。

毛はありますが、成虫のアオイラガには毒はありません。

イラガの成虫には毒がある?

アオイラガの蛹と繭

気温が下がってくるとアオイラガは越冬のため、蛹(サナギ)の準備に入ります。

イラガの仲間は、完成した蛹の前段階のような状態で越冬します。

この段階は前蛹(ゼンヨウ)といわれ、中には終齢幼虫が入っていて最後の脱皮を行い、完全な蛹になって越冬します。前蛹は蛹になるための準備段階のような状態です。

 

完全に蛹化すると繭という殻ですっぽり包まれた静止状態になりますから、糞などを中でしてしまうことはありません。

そのため、蛹になる前の幼虫は食を抑え活動をおさえ体を整えます。

 

枯れた木の枝などにこっそり繭を作っていることもあります。

鳥がサナギをつついて、中の幼虫を食べていることもあります。

前蛹の中の幼虫の体は、黄色っぽくトゲはありません。最後の脱皮を終えた幼虫は、徐々に褐色のような色のもので覆われ、越冬できる状態の蛹になります。

 

蛹は、完全変態を行う昆虫が栄養をとらずに一時的に生育をとめたような状態のことです。

繭というのは蛹の状態になるときにつくる、殻のようなもののことです。繭つくりと蛹の状態はとても面白いですね。

イラガの繭の特徴

アオイラガの羽化

アオイラガの蛹は時期がくると背中の部分がパキッと割れて、中から成虫のようなものが出てきます。

まだ翅をとじているので、開けていない傘のような感じです。殻をすべて脱ぎ、翅を乾かします。

アオイラガの羽化は比較的あっという間のようです。最初は毛がそんなにないようです。

アオイラガの成虫の餌

成虫となったアオイラガは何を食べるのでしょうか。驚くべきことに、成虫になると何も食べません。

光にあつまり、交尾を行い、産卵し、死亡します。昆虫の中には、幼虫がもりもり食べ成虫になると飲まず食わずで生存するものもいます。

鱗翅(チョウ)目をはじめ、完全変態の昆虫は姿かたちも幼虫と成虫でかなり違いますが、生態もだいぶ変わるようです。

アオイラガの産卵と孵化について

アオイラガのメスは、適当な木の葉の裏などにまとまった数の卵を産卵します。

幼虫が孵化し始めるのは10日後くらいです。時期は夏の7月ころから8,9月くらいです。

 

庭木などについたアオイラガは、葉をもりもり食べますから気になる方は早期に葉ごと駆除しましょう。

アオイラガの幼虫も生まれてから割合すぐに行動開始します。ひと月もあれば立派なアオイラガの幼虫です。

 

アオイラガの幼虫は脱皮します。あのトゲのような毛のようなものがついた皮を脱ぎ、フレッシュな毛のついた新しい皮膚になります。

脱いだ皮も食べ、体も大きくなり盛大に糞もします。

地域差もあるようですが、7月頭あたりに孵化したアオイラガの幼虫たちは、7月の末あたりには蛹化の準備を始めます。

イラガの卵の特徴 

アオイラガの繭つくり

アオイラガの幼虫は頭についた目玉のような部分が目立ちます。糸を吐きながらくるくる回転し、繭をつくります。頭の部分がぐるぐる回転するようにみえます。繭つくりは早くて30時間ほどでおわることもあるようです。成虫になるためにはこのような激務がまっています。そのため、アオイラガの幼虫は異様に食べるのです。

アオイラガについて

蛾の生態に関心をもつことはそれほどないかもしれません。

蝶なら好き、という人もいると思います。蝶と蛾は同じ鱗翅目(チョウ目)に属しており、芋虫は蝶に、毛虫は蛾になるかというとそうでもないようです。

 

アオイラガの幼虫の発生時期は7月から9月で成虫の発生時期は6月から9月です。

これほど成長が早ければどんどん増えるのも無理はないでしょうね。

(ライター:おもち)

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