イラガと言えば、幼虫である毛虫が毒を持つことで有名です。
農村地帯では農繁期の7~10月に多くの人が被害に合ってしまうという厄介な蛾の幼虫です。
そんなイラガですが、成虫になった時には毒はあるのでしょうか?
イラガの幼虫
イラガの幼虫は「イラムシ」とも言われ、ライム色のような緑色や薄茶色をした綺麗な毛虫です。
しかし、この毛虫が厄介な毒を持っている・・・・まさしく「綺麗なバラには棘がある」を地でいったような虫。
外観はウミウシに似ていて、体長は25㎜ほど。
脚が短くずんぐりむっくりな体つきをしています。
刺されるとまるでハチに刺されたような鋭い痛みを感じます。
幼虫は外敵を察知すると棘の先から毒液を一斉に分泌します。体を光にさらすと棘の針の先端部分から液体が文美津されていることが良くわかるほどキラキラと光ります。
刺激はかなり強く。水泡状の炎症を生じ、鋭い痛みを伴うこともあります。痛みは1時間ほど続き、痒みは1週間ほど続くと言われています。
人によってはもっとひどい症状が出る場合もあります。
幼虫を触った時だけでなく、卵を触ったり、潰したりしても同じような症状が出ます。
イラガの幼虫の天敵
人間にとってもちょっと厄介なイラガの天敵はカマキリやヤドリバエ。
他に、イラガの繭に寄生するイラガイツツバセイボウという外来種のハチもいます。
イラガイツツバセイボウは全身がエメラルド色で大きな目が特徴。
イラガの繭の中に穴をあけて、中に入り込み、内部で産卵をします。
羽化した幼虫はイラガを食べて育つので、イラガはこの時点で完全に死んでしまうというわけです。
イラガの繭
イラガは終齢幼虫の状態で越冬し、そのための繭を作りますが、その繭の色が独特です。
まるでウズラの卵のような茶色い線が入り、白く固い卵状の殻はカルシウムを多く含んでいて、日本の昆虫が作る繭の中でも最も固い種類と言われています。
春になるとイラガの幼虫は繭の中で蛹になり、6月頃に羽化します。
羽化の時には繭の上端が蓋のように開いて、出てきます。
玉虫などと呼ばれ、タナゴの釣り餌として使われることもあるようです。
イラガの繭には毒はありませんが、似ている種類でヒロヘラオイラガというイラガの繭には毒があるので、繭の状態だからといって容易に素手で触るのは危険です。
彼らは、木の幹に、まるで木の瘤のように擬態させた茶色の繭を作るのが特徴です。
イラガのような独特の模様は無いので、思わず木の一部と間違えて触ってしまうこともあるので注意が必要です。
イラガの成虫
イラガの成虫の体長は30㎜程度です。
翅には黄色と橙色の特徴的な模様が入ります。
カキノキ、サクラ、ウメ、リンゴなどのバラ科の植物を好み、葉の裏に集団でいることもあります。
また、カエデ類やヤナギ類、クリ類にいることもあります。
幼虫の時は基本的には食草で、これらの植物の葉っぱをむしゃむしゃと食べ、成虫になると口が退化してしまうため食事をせずに過ごします。
終齢幼虫で越冬するため、茶色の腺の入った白くて硬い卵状の殻を作り、この殻は日本に生息する昆虫の中では最も硬いのではないかといわれています。
春になると、この卵の殻の中で蛹になり、6月に羽化します。
蛾の状態になったイラガの成虫に毒はありません。
イラガの毒に関するまとめ
イラガには幼虫にだけ毒がある。
イラガの繭と成虫には毒がない。
イラガの幼虫の発生時期は基本的には7~8月頃だが、年によっては9~10月に発生することもあるので、年に2回注意が必要。
イラガの中まで木の幹に擬態したような繭を作るヒロヘラオイラガの繭には毒があるので注意が必要。
(ライター ナオ)