見た目のグロテスクさから、毒グモとも間違えられ、忌み嫌われることも多いアシダカグモ。

でも実は彼らは人間にとっての害虫を退治してくれる凄い奴なんです。

アシダカグモの特徴

アシダカグモはアシダカグモ科に属するクモの一種で、人家に棲息する大型のクモとしてよく知られています。

巣を作らない徘徊性で、歩き回り獲物を捕らえます。

 

ゴキブリなどの衛生害虫も食べるので、益虫である反面、独特の長い脚が苦手という人にとっては不快害虫でもあります。

体長はメスが20~30㎜、オスが10~25㎜で全長は約100~130㎜です。

 

足を広げた大きさはCD1枚分くらいになり、オスはメスよりも若干体が小さ目です。

細身の体で触肢の先は膨らんでいます。

 

日本に生息する徘徊性のクモの中ではかなり大きく、オオハシリグモと並んで最大級ともいわれています。

全体的にやや扁平、長亥歩脚を左右に大きく広げて歩き、体色は灰褐色。

多少のまだら模様があります。

 

メスは頭胸部の前縁、眼列の前に白い帯があり、オスでは東京部の後半部分に黒っぽい斑紋があるのが特徴です。

原産地はインドで全世界の熱帯・亜熱帯・温帯に広く分布しています。

 

外来種で元来日本には生息している種類ではありませんでしたが、1878年に長崎県で初めて報告され、日本への流入に関しては輸入果物などに紛れ込んできたのではないかと考えられています。

 

また、江戸時代にゴキブリ駆除のために人為的に輸入したともいわれています。

日本での分布は福島県以南の本州・四国・九州地方で、冬期に着雪のある北海道や東北、石川県以北では確認されていません。

主食がゴキブリなので、ゴキブリの生息地の拡大と比例するように広がりを見せる傾向にあります。

アシダカグモの生態

夜行性で薄暗い所を好みます。

昼間は隙間などに隠れていて、夜になると壁などに出てきます。

 

日本では主に人家で見られ、日中は雨戸袋や天井裏、家具の隙間などに隠れていることが多いようです。

また、公衆トイレでも見かけることがあります。

 

南西諸島では野外で観察されることもあるようです。

メスは1年に2回ほど産卵を行います。

 

卵を糸で包んだ円盤形の卵のうを口にくわえて子グモが孵化するまでエサを食べずに持ち歩きます。

孵化直前にこれを壁などに貼り付け、しばらくの間近くで見守ります。

 

子グモは7~10日後に卵のうから出て風通しの良い場所へ移動し、腹部から糸を出して風に乗って糸とともに飛散するバルーニングを行います。

メスは10回、オスは8回の脱皮をし、約1年で成体サイズになります。

平均寿命はオスが3~5年、メスは5~7年です。

アシダカ軍曹のいわれ

アシダカグモはアシダカ軍曹などという呼ばれ方をすることもありますが、その理由はアシダカグモの食性にあります。

アシダカグモの食性は肉食で成熟後は比較的大きな動物のネズミなども捕食します。

 

先ほどから何度か書いているように、ゴキブリを主食にしていて、最初に捕まえたエサを食べている時に他のエサを見つけると、新しい獲物を捕食する習性があり、短時間に多くの害虫を捕らえることが出来るので、ゴキブリ退治には最高の存在です。

 

敵を見つけると次々に切り倒していく軍曹のようなところから、アシダカ軍曹という名前がついたのだと考えられます。

ある報告では一晩で20匹以上のゴキブリに噛みついたという観察記録もあるほどで、アシダカグモが2~3匹いれば、家のゴキブリは半年で全滅するともいわれています。

 

アシダカグモは捕食したエサに消化液を注入しますが、この消化液には強い殺菌能力があり、自身の脚などもこの消化液で手入れしていますので、衛生に関しても全く問題ないのです。

(ライター ナオ)

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