私たちの身の回りには、様々なところに「ダニ」が生息していますね。
屋外のみならず、布団や絨毯などを棲み家としているものもいます。
それでは、人間の「顔」に生息しているダニがいることは知っていますか?
その名も「ニキビダニ」と言って、私たち人間の皮膚に住み着いているダニがいるのです。
今回はそんなニキビダニについてまとめてみました。
ニキビダニってどんな生き物?
ニキビダニは人間の皮膚上に生息しているダニの一種です。
主に顔に生息していることから「顔ダニ」とも呼ばれています。
「私は清潔にしているし、顔にダニなんかいない!」という反論が聞こえてきそうですが、残念ですがニキビダニはほぼ100%に近い確率で人の顔に寄生しているんですよ。
その数なんと30万匹以上。
全くいないのは生まれたての新生児のみ。
それも次第に母親や周囲の人との接触で感染していきます。
人間だけではなく、ほぼすべての哺乳類に寄生していると考えられており、それぞれが特異的に種分化しているそうです。
そのため、ニキビダニの種類は5千種以上いると考えられています。
全哺乳類は約4千種類なのですが、ニキビダニの種類がそれより多いのはなぜなんでしょうか。
じつは、同一哺乳類に寄生しているものでも、寄生する部位によって種分化している場合もあるのです。
人間にも2種類のニキビダニが生息していて、一種は皮脂腺内部、もう一種は皮脂腺の導管部やそれより浅い部分に生息しているんだとか…。
駆除したほうがいい?
「ダニ」と呼ばれるからには、なにか人間にとって悪いもののようなイメージがありますね。
しかしニキビダニは、顔の余分な皮脂や皮質を食べてくれる、人間にとって必要不可欠な存在なのです。
想像したらちょっと気持ち悪いですが、私たちの役に立ってくれていることは確かですね。
ただ、免疫不全が生じる疾患にかかったりステロイド外用薬を使用した場合、過剰にニキビダニが増殖してしまい、それにより「ニキビダニ症」と呼ばれる症状が出ることがあります。
この症状はニキビにとても良く似ており、そもそもニキビダニの増殖によって症状が出たのか、それともニキビを引き起こす何らかの原因がニキビダニの増殖をもたらしたのか、その原因を検証するのは困難を極めるそうです。
そういうわけで、むやみにニキビダニを駆除しようとしても、症状が良くなるかどうかはわからないんですね。
それにまずニキビダニを完全に駆除してしまうということが不可能に近いと思われます。
何らかの方法でいったん完全に駆除できたとしても、人と接触すればそれだけで移ってしまいますからね。
気持ち悪いからと躍起になって排除しようとするよりも、上手く共生して健康な肌を保つ方が得策ではないでしょうか。
他にもいた!人間の顔に寄生する生き物
人間の顔に寄生している生き物は、ニキビダニだけではありません。
その名も「毛根原虫」。
こいつは名前の通り毛根に寄生している虫ですが、ニキビダニと違って感染しているのは日本でも200万人ほど。
(と言っても結構な数ですが…。)
毛根原虫も余分な皮脂や皮質を食べてくれるいいやつなんですが、ニキビダニと決定的に違うのはその大きさ。
ニキビダニが約0.1mmで肉眼ではほぼ見えないのに対し、毛根原虫は普通に肉眼で見えちゃうんです…。
ある薬品を塗るとそいつらがウネウネと這い出してくるらしいのですが、その映像はトラウマものですよ。
もし興味がある人は、自己責任で検索してみてくださいね。
ニキビダニについてのまとめ
虫嫌いの人にはぞっとするような話ですよね。
しかし、実際に見えなければいないのと一緒。
「ダニ」だと思うから気持ち悪いのであって、何か他の微生物だとか思っていれば、肌を清潔に保ってくれる非常にありがたい存在として受け入れられるのではないでしょうか。
(ライター もんぷち)