じめじめした梅雨の時期になるとよく見かけるカタツムリは、わたしたちにとって最も身近な巻貝といっても過言ではありません。
飼育方法をご紹介する前に、まずはカタツムリについて簡単におさらいしていきたいと思います。
そもそもカタツムリってどんな生き物?
ひとくちにカタツムリといっても、じつに様々な種類が存在しています。
正確にいうと、分類学上カタツムリという種の生き物は存在しません。
陸地に棲息する巻貝の仲間を総称してカタツムリと呼んでいるのです。
今回は、市街地や田畑でよく見かける「オナジマイマイ」をカタツムリの代表格として扱い、その生態や飼育方法をご紹介していきます。
カタツムリの生態
カタツムリは、有肺目マイマイ科に属しており、伸び縮みする触覚と大きな貝殻が特徴的です。
貝殻には全身を収めることができるようになっており、危険を察知すると貝殻の中で身を潜めます。
休眠時には「エピフラム」と呼ばれる粘膜で殻の口を塞いで乾燥を防ぎます。
寿命は平均して三年前後です。
カタツムリは枯葉や藻、苔など植物性のものを餌としていますが、貝殻を生成するために多くのカルシウムを必要とします。
雨上がりなどブロック塀にカタツムリが群がっているのは、細かい歯でコンクリートを削り取り、カルシウムを摂取するためです。
カタツムリの捕まえ方
梅雨の時期になると、カタツムリは市街地のブロック塀などに集まる習性があります。
紫陽花など大きな葉をもつ植物の周辺でもよく見られますので、そういったところを探せば、見つけることは難しくないでしょう。
カタツムリを捕まえるときには、本体ではなく貝殻を優しく掴んでください。
飼うために必要なもの
まずは飼育容器ですが、カタツムリは壁面をのぼることができますので、プラケースや爬虫類ケージなどしっかりと蓋をすることのできる容器を選んでください。
木の枝や石など、ちょっとした隠れ家になるものを用意するとベターです。
また産卵をさせたいという場合は、植木鉢など深めの容器に湿らせた土を入れたものを飼育容器内に置いてください。
カタツムリの飼い方
国内に棲息するカタツムリは日本の気候に適応していますので、温度管理は不要です。
直射日光のあたらない場所に飼育容器を置いて、朝晩一度ずつ霧吹きをして湿度を与えます。
霧吹きのしすぎには気をつけてください。壁面がうっすらと濡れる程度で十分です。
餌は飼育容器内の清潔を保つため小皿などに乗せて、切らすことのないように与えてください。
カタツムリの餌はなにがいい?
カタツムリの食性は植物性なので、野菜や果物などを与えます。
ニンジンの皮やキャベツの芯など、くず野菜を与えると経済的です。
高湿度を保つ飼育容器内では腐敗が進行しやすいので、傷んできたら新しいものと交換するようにしてください。
また、前述したようにカタツムリは貝殻を生成するために多くのカルシウムを必要とします。
アサリやシジミなどの貝殻や卵の殻などを、綺麗に洗ってから与えると良いでしょう。
カタツムリの飼い方や餌のまとめ
しっかりと蓋のできる容器に隠れ家と餌皿を用意します。
直射日光のあたらないところに飼育容器を置いて、乾燥を防ぐために適宜霧吹きをしてください。
餌はくず野菜など植物性のものと、貝殻や卵の殻といったカルシウム源の二種類を与えます。
飼育容器内を清潔にしておくこと、そして湿度を保ちつつ飼育容器内を蒸らさないようにすることが、カタツムリを上手に飼育するポイントです。
カタツムリは雌雄同体なので、2匹以上を同じ容器で飼育していれば、高い確率で産卵します。
カタツムリの赤ちゃんが誕生する瞬間を、是非その目で確かめてみては如何でしょうか。
(ライター 國谷正明)