カタツムリとナメクジは親戚なのかとよく聞かれます。
はい、その通りです。同じ系統の軟体動物に属します。一般的には、殻を持つものがカタツムリで、持たないものがナメクジという分け方をしています。
でも、カタツムリの殻を取るとナメクジ・・というわけではありませんし、ナメクジがヤドカリのように殻を見つけてその中に入ればカタツムリになるというわけでもありません。
カタツムリは殻と身体が一体になっていますので、殻をはずしてしまうと死んでしまいます。
ナメクジもカタツムリも、もともとは貝だった
元々、カタツムリとナメクジの共通のご先祖様は、陸に上がった貝でした。
その後、進化の過程で、徐々に殻を失くす方向にカジを切ったのがナメクジなのです。
つまりカタツムリの進化形といってもよい存在なのです。
ナメクジにはいわゆるナメクジと一般に言われるナメクジ科のほかに、コウラナメクジ科などの種が多数存在します。
これらは同じ系統のものではなく、それぞれ元々のカタツムリ(陸貝)の種が殻を失っていく方向で進化していったものと考えられています。
殻をまったく失ってしまったものがナメクジ科の種ですが、ヒラコウラベッコウガイではまだ薄く平たい殻を持っています。
つまりカタツムリとナメクジの中間種のような位置にいます。
また、コウラナメクジ科では薄い楕円形の殻が体内に埋もれています。
ベッコウガイよりも更に進化して、よりナメクジに近付いてきた感じの種です。
こういった進化の過程を「ナメクジ化」と称することもあります。
海に生きているウミウシやアメフラシなどの軟体動物も、貝殻を失いナメクジのように進化した巻貝の仲間だと考えられています。
このような殻を失うという進化は、殻を背負うよりも動きがを自由になることにもつながっているはずですが、ナメクジが特別活発に動き回るようなことはありません。
ただしカサカムリナメクジ科の種などは、ミミズを捕食するため地中に入りこみますので、そういった環境に適応した進化だと言えます。
ナメクジに割合似ている生物に、ミミズやヒルが挙げられます。
薄暗いじめじめした所にいて、ヌルヌルした感じがよく似ていますよね。でもミミズは環形動物貧毛綱、ヒルは環形動物門ヒル綱ですので、まったく違う系統になります。
カタツムリに似たナメクジの生態
ナメクジとカタツムリは系統も同じですが、その形態や特徴もよく似ています。
ナメクジにはカタツムリ同様、触角が2対あります。大触角と呼ばれる長い方は先端に目があります。
ただし視力はほとんどなく、明暗を感じ取る程度です。
その分、嗅覚がとてもよく発達しています。
またカタツムリ同様、おろし金のようなギザギザである歯舌と呼ばれる小さな歯が多数存在しています。
その数は数千から2万本を超える種もいます。
ナメクジは夜行性と言われていますが、実はカタツムリ同様、暑さ寒さと乾燥に弱いので、夏の暑い時期の日中などは活動を控える傾向があるのです。
涼しい時期であれば日中に活動することもよくあります。
ナメクジは雑食性です。
場合によっては共食いをすることもありますし、生物の死骸などを食べることもあります。
カタツムリとナメクジの違いのまとめ
というように、カタツムリとナメクジは違う生き物だということがお分かりいただけたでしょうか?
くれぐれも無理やりナメクジにカタツムリの殻や、ヤドカリの殻などを押し付けたり、中に入れてみたりするのはおやめくださいね!!
もちろん、ナメクジにカルシウムを沢山与えても殻は生えてきませんよ。(たぶん・・・・)
(ライター まるお)