ナメクジに塩を掛けると溶けるというのは本当でしょうか?
そんなことをしたらかわいそうだと思う方もいるかも知れませんが、暗くジメジメした所にいる、気味の悪いネバネバした生き物・・とても直接手では触りたくないし、見るのもおぞましい・・と、そんなイメージを私は持っています。
実は虫好き少年であった私の場合には、ナメクジはどうも苦手で、見つけるたびに何度も塩をかけたことがあります。
でもそれはダンゴムシなどを突つくように面白がって遊ぶということではなく、ナメクジを本気で退治してやろうという思いが強かったのです。
ですから塩まみれになって見る見るうちに溶けていくようなナメクジに対して、かわいそうだというような感情はまったく湧いてきませんでした。
近い種であるカタツムリは大好きで、「お友だち」だったんですけどね・・(笑)
余談ですがカタツムリに塩を掛けるとナメクジと同じことになります。
ナメクジは本当に塩で溶けるの?
さて、この塩で溶けるという話なのですが、みなさんお試しになったことはありますか?
溶けると言うのは正しくはないのですが、塩を掛けるとナメクジの身体は確実に体積が小さくなり、しぼんでしまいます。
もとの大きさの数分の1以下に縮んでしまいますので、はたから見ると溶けたように見えるという事になりますね。
因みに何故塩を掛けると縮んでしまうかと言うと、これは塩分濃度の違いによる浸透圧によるもので、ナメクジの体内にある水分が、体外に排出される結果なのです。
ナメクジは身体の85~90%が水分からなります。
人間だと約70%(赤ちゃんは80%近い)ですから、いかに水分が多いかわかりますよね。
ヒトには皮膚という素晴らしい組織がありますので、たとえ塩をすりこんでも内部からほとんど水分は出てきませんが、軟体動物であるナメクジは表皮が単純で、粘液に覆われて守られているだけなので、それを防ぐ手段がありません。
内外の濃度差が大きいほど、水分はどんどん抜けていってしまい、少しの水と残りの10%ほどの有機物だけが残る・・そんな感じになってしまうのです。
これはなにも塩だけに限って起こる現象ではありません。
砂糖などの吸水性のある粉末であっても、焼酎や酢などの化学的な液体であっても、濃度に大きな差があれば、浸透圧によって水分は排出されてしまいますので、ナメクジの身体はしぼんでしまいます。
その後、すぐに水を与えるとある程度は復活できると言えるのですが、ナメクジの体内のダメージはとても大きく、数日以内に死んでしまうことが多いようです。
ナメクジが塩で溶ける理由のまとめ
以上、説明したようにナメクジに塩を掛けると溶ける言うのは間違いという事にはなりますが、「目の前から消したい」と思った時に塩を掛けると小さくなって見えなくなり、精神的には消えたのと同じ効果が得られるとも考えられます。
なお、人間の体もナメクジ同様に大部分が水分で出来ていますので、鼻の穴などの粘膜に塩を擦り込むと浸透圧で水分が奪われヒリヒリするでしょう。
ナメクジは全身が人間の鼻の穴よりも抵抗力の弱い粘膜で覆われている為、ほんの少しの塩でも体に大きなダメージを受けてお亡くなりになってしまうのです。
かわいそうだと思う方は、ナメクジを見かけてもそっと草むらなどに返してあげて下さい。
(ライター まるお)